Nivachron™製ヒゲゼンマイがスウォッチ「システム51」に搭載! 革新的素材と呼ばれる所以とは

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2019.09.19

量産機としてNivachron™を初採用した「システム51」

システム51

スウォッチ「システム51 アイロニー SISTEM THOUGHT」
自動巻き。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。SS(直径42mm、厚さ13.8mm)。3気圧防水。3万500円(税別)。

 2019年2月に発表されたスウォッチの自動巻きモデル、「フライマジック」。世界で計1500本の限定モデルとして発売された同作は、18万円(税別)というスウォッチとして破格の価格ながら、日本割り当て分の45本が瞬く間に完売した。なぜ、これほどまでに同モデルが時計愛好家から注目を集め、そして支持を得られたのか。その最大の魅力は間違いなく、フライマジックが初めてNivachron™製ヒゲゼンマイを搭載したモデルであったからだ。

 そして限定モデルでの採用を経て、ついに同素材が初めて量産機に使用されることとなった。スウォッチを代表する自動巻きモデル、「システム51」のヒゲゼンマイで用いられるのである。

磁気と温度変化への高い耐性

 Nivachron™とはスウォッチ グループでヒゲゼンマイの製造を担うニヴァロックス・ファーが開発した合金だ。多くのヒゲゼンマイで採用されるニヴァロックスやエリンバーは鉄を含有しているため、磁気帯びと経年変化による性能の低下という課題がつきまとうが、Nivachron™はその大半をチタンとニオブで構成されており、鉄は極めて微量しか含まない。

 結果、ニヴァロックス製ヒゲゼンマイと比べて10〜20倍ほど磁気に強く、また経年による性能低下も基本的に起こらないとされている。また開発をしたニヴァロックス・ファーの説明によれば、エリンバーと同様に温度変化にも強いとのこと。その特性をして、2019年6月公開の「ついにベールを脱いだ革新素材 Nivachron™」(https://www.webchronos.net/special/swatch-flymagic/)では、クロノス日本版編集長の広田雅将が「機械式時計の在り方を変える」とまで評している。

システム51 SISTEM PILOTE

スウォッチ「システム51 アイロニー SISTEM PILOTE」
自動巻き。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。SS(直径42mm、厚さ13.8mm)。3気圧防水。3万500円(税別)。

シリコン製ヒゲゼンマイとの違いとは

 なお、磁気に強いヒゲゼンマイ素材としては、スウォッチ グループ内でも多くのブランドが取り入れているシリコンも代表的なものとして挙げられる。こちらはケイ素を主とした化合物(=非磁性素材)のため、ヒゲゼンマイ自体が磁気帯びすることがない。しかし脆いため、フリースプラングを採用するムーブメントにしか搭載できないという制約があった。

 その点、合金のNivachron™製ヒゲゼンマイは従来のニヴァロックス製ヒゲゼンマイのようにメンテナンスが容易なうえ、加工もしやすい。当然ながら緩急針で調整を行う、オーソドックスなムーブメントにも積極的に載せられるのだ。

 まさにNivachron™製ヒゲゼンマイは、完全オートメーション化によって、安価ながら約90時間というロングパワーリザーブを実現した自動巻きムーブメントを搭載するシステム51にとって最良の選択だと言えよう。

 そんなNivachron™製ヒゲゼンマイを使用した新生システム51は、システム51 アイロニー コレクションションの「SISTEM THOUGHT」「SISTEM PILOTE」「SISTEM KNIGHT」の3モデルを中心に展開中。いずれは全てのシステム51シリーズで同素材のヒゲゼンマイが使われる予定だ。

システム51 SISTEM KNIGHT

スウォッチ「システム51 アイロニー SISTEM KNIGHT」
自動巻き。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。SS(直径42mm、厚さ13.8mm)。3気圧防水。2万3000円(税別)。




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