【80点】ジラール・ペルゴ / ヴィンテージ 1945 XXL

FEATUREスペックテスト
2012.05.29

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デザインの基盤は1945年のモデル。平面からフワッと浮き上がらんとするかのような“スウィングした"シェイプと、四角、三角、円の組み合わせに、ジラール・ペルゴならではの風格が漂う。

丸ごと見える爽快感

いささか強気な価格のもうひとつの理由は、自動巻きのマニュファクチュールキャリバーGP3300にもあるのだろう。温度変化に強いグリュシデュールテンプを使用し、ムーブメントの厚さは極限まで抑えられ、たったの3・2mm。ブリッジを駆使した伝統的な設計だ。センセーショナルな構造ではまったくないが、それだけに繊細な加工が映える。ローターには年輪状に装飾研磨が入り、エングレービングされた文字は金色に彩られている。自動巻き機構のブリッジには細やかなペルラージュが施され、隣のブリッジはコート・ド・ジュネーブ仕上げ。さらに、地板もペルラージュで埋め尽くされている。ムーブメントをケースに固定するネジを除いて、外周沿いのネジはすべて青く加工されている。とはいえ、ネジ頭部のスリットまでは青くなっていないのだが。そして、ほとんどの縁は面取りの上、艶やかに磨かれている。

なんといっても、それらがトランスパレントバックゆえに眺められるのがうれしい。完璧なまでにきっちりとサイズを合わせたサファイアクリスタル製の窓のおかげで、ムーブメントが丸ごと見られる。また、裏蓋の両サイドに傾斜をつけているところからも、ゴツゴツしない感触に細心の注意を払っていることがうかがえるだろう。
さて、精度はどうだろうか。歩度測定機にかけた結果、長所と短所の両面が現れた。テストした個体の平均日差はプラス2・8秒。これはほとんどパーフェクトと言って差し支えないだろう。通常、およそ2秒程度は進み寄りに調整しておくことが多いからだ。一方、“文字盤下"と“3時上"の最大姿勢差は10秒というデータが出ている。この開きの大きさは手放しでは評価し難い。これだけの差が出たということは、少なくとも理論上、着用状況によっては、ある程度安定したデータにはならない可能性もあるということになる。

しかし、着用テストでは最大姿勢差は4秒にとどまった。夜、時計を外して、構造上不自然のない置き方である“3時上"にしておくと、毎日コンスタントに4秒の遅れが見られた。逆に、“3時下"にしてタンスに置いていた場合は、電波時計でチェックして分かる差はまったく出ていない。それとはっきり同じ結果となったのは、抜群の装着感にあやかって夜間も腕に巻いたままにしてみた時だった。