1975年のクォーツモデルでのデビューから今日の38mm自動巻きモデルに至るまで、ジラール・ペルゴの「ロレアート」は、ラグジュアリースポーツウォッチという土俵において、確固たる地位を築くまでに成熟した。本誌のこのクローズアップ記事では、その起源、進化、そしてこのジャンルにおける現代のベンチマーク(指標)として真にふさわしい存在かどうかを検証する。

[2026年6月10日掲載記事]
8角形ベゼルがもたらす熱狂
8角形のベゼルは、時計コレクターの脳に奇妙な作用をもたらし、思考をフル回転させる。シナプスが発火し、有名な腕時計、とある著名なデザイナー、ラグジュアリーなライフスタイルへの言及が飛び交うだけでなく、熱狂、論争、そして様々な感情までもが引き起こされるのだ。そして、これらはしばしば強烈な意見へと集約される。ジラール・ペルゴの「ロレアート 38mm」は、この大渦の中心に静かに鎮座している。
1970年代のモデルをベースとし、今日最もホットな現代的時計カテゴリーに属するロレアートには、重厚な背景がある。しかし、いかなる時計もそれ単体で評価されるべきではないだろうか? その点において、ロレアートは間違いなく自立しており、38mmのバリエーションにおいては、現代の多くの愛好家が渇望するプロポーションを見事に捉えている。これらすべてが完璧な腕時計へと繋がっているのだろうか? ここでは、知っておくべき必須事項をまずは伝えていこう。
定番としての地位
多くの時計は、ダイビング、ドライビング、飛行、ドレスアップなど、その目的に応じて定義される。しかし、ジラール・ペルゴの「ロレアートの直径38mmモデルはどのような種類の時計なのだろうか。世間と隔絶した生活を送っていない限り、時計愛好家であれば、その呼び名を正確に答えるのは難しくても、大抵はその答えを知っているはずだ。
ロレアートのような時計に対して、「インテグレーテッド・ブレスレット」や「スティール製スポーツウォッチ」といった曖昧な言葉を使う人もいれば、「スポーツ・シック」や「アーバン・シック」といった少し気恥ずかしい表現を使う人もいるだろう。これらはすべて、ジェラルド・ジェンタという人物が1970年代にデザインした2本の記念碑的モデル、すなわちオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」とパテック フィリップの「ノーチラス」に影響を受けた腕時計に、何らかのレッテルを貼ろうとする試みである。
このジャンル全体は、長きにわたりこの2つのアイコン(ロイヤル オークとノーチラス)を中心に回ってきた。そのため、少しでも類似性を匂わせる特徴を持った時計であれば、この2大名機を引き合いに出さずに語ることはできないほどである。ここで言う特徴とは、ファセット加工されたベゼルや、露出したネジ、そして専用設計のブレスレット(いわゆる「インテグレーテッド」)にフィットするように作られたケースなどを指す。

1972年にロイヤル オークがデビューした際、ラグジュアリースポーツを定義付けた個々の要素がまったく新しいものであったわけではない。しかし、ジェンタとオーデマ ピゲは、それらを魅力的な方法で組み合わせ、特定のスタイルとして体系化することに貢献したのだった。
ステンレススティールを高級品へと昇華させた革新
しかし、真の革新は、ステンレススティール製の「スポーツウォッチ」を、実際のスポーツという本来の目的を気取ることなく、ラグジュアリーアイテムとして位置付けたというコンセプトにある。そして、それまで貴金属で作られたエレガントな腕時計にのみ許されていたような、きめ細かなディテールと洗練された仕上げを吹き込んだのだ。この概念こそが、今日私たちが知る、クォーツショック後の時計産業の創出に寄与したと評価する声すらある。
とはいえ、それらのプレステージウォッチは、その稀少性と価格の高さで特に知られている。最も代表的な形であるステンレススティール製で機能的にもベーシックなものであることを考えると、最初は直感に反するように思える。
それぞれの小売価格は概ねロレアートの約2倍から始まるが、市場価格はさらにその2倍以上になることもしばしばである。これらはエリートセレブたちにとってもステータスシンボルとして機能しているため、2020年代初頭までに、ほぼすべての時計メーカーがこの熱狂に便乗し、独自の解釈による同ジャンルのモデルを提供しようとしたのも無理はない。
これらはすべて、愛好家の間では語り尽くされた話題であるが、ロレアートのような時計を議論する上では不可欠な背景知識である。しかし、近年このスタイルが急増するにつれて、ジャンル自体も成熟・進化を遂げ、2025年現在では数年前とは全く異なる性格を帯びるようになった。もはや単なる模倣や、ロイヤル オークやノーチラスに手が届かない人々のための妥協の産物という見方は薄れつつある。それらは時計メーカーにとって、正真正銘の(ほぼ必須とも言える)ジャンルであり、創造性を発揮する場となっているのだ。
ジェラルド・ジェンタのデザインではない

最初のロレアートは1975年に発表された。8角形のベゼル、ケース一体型ブレスレットのデザイン、そしてクル・ド・パリ模様の文字盤という、何十年にもわたって変わらない特徴を備えていた。これらはまた、愛好家たちの心の中で必然的にロイヤル オークやノーチラスの系譜に分類される要素でもある。

しかし、同年代にジェンタがデザインした腕時計とは一線を画す要素も多く存在する。まず、デザインしたのはジェンタではない。また、過去に誤って報道されたような、イタリア人建築家アドルフォ・ナタリーニのデザインでもない。ジラール・ペルゴは『ウォッチタイム』誌に対し、彼がデザイナーではなく、同ブランドに雇用されていた事実もないと認めている。大半の時計と同様に、そのデザインの功績はブランド自身のみに帰属し、「共同作業の賜物」とされている。
「卒業生」という名の由来
名前の由来に関しても同様の混乱が見られた。「Il Laureato」はイタリア語で「卒業生」を意味し、1967年のダスティン・ホフマン主演映画(邦題『卒業』)へのオマージュであると主張する声もあった。一方で、イタリアで卒業祝いの贈り物として人気を博したことに由来するという説もある。
ブランド側は、「卒業証書のようにCOSC認定証と共に納品された」ことに由来する可能性があると言及している。1975年モデルは単に「クォーツ・クロノメーター」と呼ばれており、ジラール・ペルゴが正式に「ロレアート」という名称を採用したのは1995年のことだった。
ロイヤル オークとの決定的な違い
ロレアートは、3年前に発売されたロイヤル オークの成功に影響を受けたのかもしれないが、それを明確に立証するのは困難である。そして何よりも重要なのは、両者には決定的な違いがあるということだ。ロイヤル オークの際立つサテン仕上げのベゼルは、よりアグレッシブで男性的な存在感を与えていた。さらに、クォーツが台頭しつつあった時代に、あえて自動巻きを採用していた。
対するロレアートは、薄くポリッシュ仕上げされたベゼルによる、よりエレガントなキャラクターを備えており、自社製クォーツムーブメントで駆動していた。当時、クォーツはまだ新しい分野であり、ジラール・ペルゴはそのパイオニアであった。ロレアートに自動巻きムーブメントが搭載されるのは、それから20年後のことである。1984年にはノーチラスを彷彿とさせるポリッシュ仕上げのセンターリンクが登場し、自動巻き化と名称変更が行われた1995年頃には、現在私たちが知るスチール製ラグジュアリースポーツウォッチの姿がほぼ完成していた。
2017年の転機と「38mm」の不遇
しかし、ロレアートが真の開花を迎えたのは2017年のことである。その前年には、2003年以降コレクションの主流となっていた「Evo」バリエーションのアグレッシブなデザインから、より控えめなサイズとスタイルへの回帰が見られた。2016年の限定モデルは初期モデルのような薄いポリッシュベゼルを備えていたが、翌2017年には、微細でありながらも効果的なデザイン変更を施したコレクションが即座に発表された。
ベゼルはわずかに幅広くなり、上面にサテン仕上げが施された。2017年のロレアート・コレクションには、42mm、38mm、その他のサイズ展開による複数のバリエーションが含まれていた。当時、38mmは女性用またはユニセックスとして位置づけられており、その後ラインナップから姿を消してしまった。ロレアート・コレクションは、Evoのエッジの効いたデザイン、スポーティーな外観、大胆なサイズ、代替素材、そしてスケルトン仕様という方向へと進んでいった。
時代が追いついた2023年の再評価

38mmモデルの「ロレアート」は当初コッパー文字盤モデルで2023年に登場した。翌2024年にはブルーとグリーンの文字盤が加わった。自動巻き(Cal.GP03300)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径38mm、厚さ10.02mm)。100m防水。222万円(税込み)。
2023年にコッパー文字盤のバリエーションのみでロレアート 38mmが再導入された時、時計業界はついにそれを受け入れる準備ができていた。ロレアートがついに原点に回帰し、そのポテンシャルを開花させたと絶賛され、ブルーとグリーンの文字盤オプションが追加された2024年のラインナップも熱狂的に歓迎された。

自動巻き(Cal.GP03300-2476)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径38mm、厚さ10.02mm)。100m防水。222万円(税込み)。
しかし、例えば2024年のブルー文字盤の38mmモデルは、2017年のリリースモデルとほとんど見分けがつかない。決定的な違いは何だろうか? それは、世間の受け止め方である。今日では、ロレアートのような時計がその真価やスタイルにおいて評価されることがずっと容易になっており、38mmの時計を女性用やユニセックスと呼ぶこと自体、ますます時代遅れになりつつある。

自動巻き(Cal.GP03300-2476)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径38mm、厚さ10.02mm)。100m防水。222万円(税込み)。
名作たらしめる「Xファクター」は存在するのか
ロレアートは、歴史、ブランドの威信、薄さ、ベゼル、ブレスレット、スタイルなど、モダンクラシックとなるためのすべての要素を備えているように見える。しかし、特別でエキサイティングな存在にするための「Xファクター」を持っているのだろうか?
2025年現在、プレステージウォッチ、インテグレーテッド・ブレスレット、8角形ベゼルなど、愛好家の欲求を満たす時計は、ほぼすべての価格帯で手に入る。魅力的な選択肢は無数にあるが、本物の1970年代の系譜という由緒と、「ロレアート」という歴史的で格式高い名前の両方を提供するものは極めて稀である。
現実世界でロレアートを身に着けて過ごすのは、有名である意味象徴化してしまったデザインの腕時計をつけるよりも、ずっと控えめな体験である。確かに、ロレアート 38mmは人目を引き、「すごくいいね」といった反応を引き出すが、ロイヤル オークほど攻撃的なスタイリングではなく、それこそが1975年以来のキャラクターなのだ。それがあなたにとって長所となるか短所となるかは、好みの問題である。
完璧な日常使いを約束する絶妙なバランス
何よりも、ロレアート 38mmは日常使いに最適な、素晴らしい腕時計である。スポーティーさと洗練さのバランスが取れており、センスの良さを漂わせる。興味を引きつけるだけのユニークさを持ちながらも、その存在を声高に主張したり、重大なセキュリティリスクを招いたりすることもないだろう。
仕上げと構造は、まさにラグジュアリースポーツウォッチのデザインの教科書通りである。スポーティーで実用的なイメージを打ち出すサテン仕上げの表面が、ラグジュアリーとエレガンスを伝えるポリッシュ仕上げの要素を引き立てている。厚さ10mm、完全に可動するリンクを備えており、快適でバランスの取れた装着感を実現している。

ケースバックから覗く自社製自動巻きムーブメントCal.GP03300は、ポリッシュ仕上げの面取り、コート・ド・ジュネーブ、スネイル仕上げ、そしてゴールドのローターが特徴である。約46時間のパワーリザーブを備え、堅実な性能を維持しているが、アップデートがあればさらに競争力は高まるだろう。

222万2000円というスイートスポット
222万2000円からという価格設定において、ロレアート 38mmは絶妙なポジション(スイートスポット)にいる。上質でありながら、日常使いに十分な実用性を備えているからだ。このスタイルに引かれ、この価格帯で時計を探している人々にとって、このセグメントの中で最も控えめで、バランスの取れた、多目的に使える選択肢のひとつであり続けている。



