100周年を迎えるチューダーの魅力とは? 知っておくべき歴史と現行傑作時計3選

FEATURE WatchTime
2026.07.02

チューダーの歴史は、1926年にロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフが、高い信頼性を誇る時計を手頃な価格で提供する第2のブランドを設立したことから始まる。時計業界の多くが希少性を追い求める中、チューダーは現在も「パフォーマンス・堅牢性・手の届きやすさ」という絶妙なバランスを保つことで、他社との明確な差別化に成功している。では、このロレックスの姉妹ブランドは、いかにして創設理念を100年もの間維持し、独自の発展を遂げてきたのだろうか。

チューダー、自動巻きムーブメント搭載のチタン製ダイバーズウォッチ
Text by Zen Love, originally published by watchtime.com
[2026年7月2日掲載記事]

初期の時代と体制の強化

 ブランドの設立は、「黄金の20年代」と呼ばれる経済成長期であった。技術の進歩、モビリティの向上、そして工業化の進展が、日常生活を根本から変えつつあった。腕時計は機能的な道具(計器)になりつつあった。しかし、その好調な発展は長くは続かない。1930年代の世界恐慌により社会状況は一変する。

ハンス・ウィルスドルフ

ロレックスおよびチューダーの創業者ハンス・ウィルスドルフ

 この時期に、チューダーの戦略的な方向性が明確になった。不安定な時代にあっても手頃な価格を保ちつつ、高い信頼性と品質を誇るタイムピースを提供することで、ブランドとしての存在感を示し続けたのである。当時のロゴはすでにこれらの強みを象徴しており、精度と職人技の質を象徴する「チューダーローズ」と、堅牢性を意味する「盾」が組み合わされていた。

戦争、復興、そして別会社化

チューダーのダイバーズウォッチ

チューダーのダイバーズウォッチは、創業当初からその堅牢性で知られていた。

 1940年代は第二次世界大戦によって特徴づけられる。多くの企業が生産の停止や方向転換を余儀なくされた。しかしチューダーは、スイスの中立性の恩恵を受け、事業を継続することができた。終戦後、信頼性が高く、かつ手頃な価格の腕時計への需要が著しく増加する。

フランス海軍も愛用のチューダー

フランス海軍も、チューダーの腕時計を強く信頼していた。

 この時期、同社は次第に独立したブランドとしての地位を確立していく。1946年、チューダーは組織的にロレックスから分離され、アメリカなどでの独自の販売網の構築を開始する。技術面では、防水性を備えたオイスターケースなど、実績のあるソリューションが採用された。堅牢な構造と機能的なデザインの組み合わせは、時計を日常の中で実際に「ツール(道具)」として使うターゲット層の支持を集めた。

過酷な現実環境での実証

 ブランドの発展において決定的な一歩を踏み出したのは1950年代である。チューダーは、耐久性に特化して設計された自動巻き腕時計「オイスター プリンス」を市場に投入した。その性能を実験室でのみテストするのではなく、過酷な現実環境で使用することで実証したのだ。

グリーンランド探検隊

英国北部グリーンランド探検隊。チューダー製タイムピースは驚異的な負荷に耐え抜かなければならなかった。

 英国北部グリーンランド探検隊(1952年〜1954年)では、極端な低温や物理的な負荷に耐え抜いた。これらのテストは、さらなる開発のための具体的なデータをもたらした。

ダイバーズウォッチの誕生と拡大

チューダー「プリンス オイスターデイト クロノ」

1976年製のチューダー「プリンス オイスターデイト クロノ」。

 1954年には、ブランド初のダイバーズウォッチが発表された。これは、民間および軍事の両面でスキューバダイビングが重要性を増していた時代に生まれたものである。その後間もなくフランス海軍も顧客となり、ブランドの長期的な方向性を決定づける新たな活躍の場が開かれた。これらの時計は特定のシナリオに合わせてデザインされたのではなく、現場の特別な要求から自然発生的に生まれたものである。

 その後の数十年間で、チューダーは自らの地位をさらに強固なものにしていく。特に軍事分野でこのブランドの時計が多く採用された。米海軍特殊部隊(Navy SEALs)などの部隊がチューダーの「サブマリーナー」を使用し、海中居住施設に関する「シーラブ(Sealab)」計画などのプログラムでも活用された。また、回収任務に参加する軍事部隊などを通じて、宇宙開発プログラムにも間接的に関与している。同時に、国際的なプレゼンスも拡大した。例えば1960年代後半からは中国でも販売が開始され、グローバル展開がさらに強化された。

クォーツショックから現代の統合へ

 1970年代のクォーツ式時計の登場は、業界に根本的な変化をもたらした。多くの伝統的メーカーが巨大な圧力に直面し、機械式ムーブメントの重要性が低下した。この状況に対し、チューダーは独自のアプローチをとる。

チューダー「オイスターデイト クロノグラフ」

1970年製のチューダーの「オイスターデイト」。

 クォーツモデルも開発したものの、引き続き機械式時計に焦点を当て続けたのだ。同時に、手巻きムーブメントを搭載したクロノグラフをラインナップに追加した。モータースポーツの分野でも新たな市場が開拓され、「チューダー・ウォッチ・レーシング・チーム」はポルシェ906などの車両で参戦し、アジアのサーキットで成功を収めた。これにより、時計と技術の結びつきがより強固なものとなった。

ブラックベイの登場と自社製ムーブメント

 その後の数十年も、チューダーはその方針を貫き、ダイバーズウォッチとクロノグラフに明確な焦点を当て、ポートフォリオを発展させていく。2000年代初頭の経済危機なども他メーカーほど深刻な影響を与えず、「高品質でありながら比較的入手しやすい腕時計」という位置づけが安定した基盤となった。

 2010年代に入り、機械式時計への関心が再び高まるにつれて、ブランド自身の歴史がより強く製品開発に組み込まれるようになった。特に「ブラックベイ」の登場は特筆すべき点であり、ブランドの転換点となった。このモデルは初期のダイバーズウォッチのデザイン要素を取り入れつつ、それを現代的なフォルムへと翻訳している。これと並行して、現代的な素材と構造を採用した、技術的に革新的なダイバーズウォッチ「ペラゴス」も開発された。2015年のマニュファクチュール(自社製)ムーブメントの導入も重要なステップであり、チューダーは技術的な独自性を獲得した。

影からの脱却への長い道のり

 これまで述べてきたように、チューダーの歴史はロレックスの歴史と密接に結びついており、そこにこそ最大の課題があった。何十年もの間、ブランドはこの「近さ」の恩恵を受けてきたが、同時にそれが完全に独自のプロフィールを確立する妨げにもなっていた。今日、チューダーが独立した存在として認知されているのは決して偶然ではなく、長年にわたって一貫して追求されてきたプロセスの結果である。

 チューダーはロレックスのケースを使用し、同様の構造原理に依存していたため、多くの顧客から「手頃な代替品」と認識されるようになった。しかし、1950年代から1960年代にかけて具体的な使用現場を通じて独自のプロフィールを築き始め、単なる代替品ではなく、実際の状況で使われる「道具」として認知されるようになった。

 2010年代以降の戦略的な方向転換と、「Born to Dare(挑戦者の精神)」というスローガンのもとで従来のラグジュアリーの物語から距離を置く独自の主張を展開したことで、ブランドは明確に再構成された。今日、チューダーは明確に定義された役割を担っている。もはやロレックスの直接の競合でもなく、典型的なエントリー向けブランドでもない。ロレックスとの近さは依然として感じられるが、それはブランドを定義する特徴というよりも、むしろ品質のアンカー(拠り所)として機能しているのだ。

周年記念イヤーに向けた新作の可能性

 2026年はチューダーにとって特別な年である。100周年という節目は、伝統的に重要な新作発表の余地を残している。公式な発表はまだないものの、現在の動向や歴史的な背景から、いくつかの現実的な方向性が見えてくる。

チューダーのマニュファクチュール

スイスのル・ロックルにあるチューダーのマニュファクチュール。

 注目されるのは、クラシックなクロノグラフが復活する可能性だ。1970年代の「オイスターデイト」あるいは「ビッグブロック」モデルの再解釈は特に現実味を帯びている。これらは誕生50周年を機に復活するだけでなく、新しいクロノグラフムーブメントへの道を切り拓くかもしれない。

 また、プロフェッショナルセグメントでのラインナップ拡充も予想される。すでに技術的に特化したダイバーズとして確固たる地位を築いている「ペラゴス ウルトラ」には、カラフルなバリエーションが追加される可能性がある。既存ラインの意図的な進化も考えられ、「ブラックベイ 58」には現行世代のMETAS認定技術を組み合わせた新しいカラーバリエーションが登場するかもしれない。

 同時に、より目を引くデザインを採用するというチューダーの近年の戦略も健在であり、「ブラックベイ 54」にピンクやグリーンといったバリエーションを追加することで、このアプローチが継続される可能性もある。

 これらのシナリオがどのような形で実現するかは、今後の展開を待つしかない。しかし確かなことは、この周年記念イヤーが、ブランドの歴史と現在の技術的進化の両方を可視化する絶好の機会になるということだ。

特に魅力的な現行モデル3選

それでは、チューダーの現行モデルから、特に魅力的な3モデルを紹介していこう。

ペラゴス FXD GMT

「ペラゴス FXD GMT」は、妥協のない機能性とミリタリーから着想を得た精度を象徴している。フランス海軍航空隊の要求に基づいて開発されており、軽量な直径42mmのチタンケースと、過酷な条件下でも最適な視認性を発揮する高い堅牢性を兼ね備えている。

チューダー ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME” M2542G247NU-0002

チューダー「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」Ref.M2542G247NU-0002
自動巻き(Cal.MT5652-U)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径42mm、厚さ12.7mm)。200m防水。75万5700円(税込み)。

 ムーブメントには、約65時間のパワーリザーブとGMT機能を内蔵するマニュファクチュール ムーブメントCal.MT5652-Uを採用している。METAS規格に準拠した「マスター クロノメーター」であり、200mの防水性を誇る。24時間目盛り付きの両方向回転ベゼルや耐性のあるテキスタイルストラップを備え、技術的な信頼性と機能的デザインが見事に融合した現代のツールウォッチだ。非常に安全な装着感をもたらす削り出しの固定式ラグも高く評価できる。

ブラックベイ 54

「ブラックベイ 54」は、しばしば見落とされがちだが、クラシックなダイバーズウォッチを非常にコンパクトな形で再解釈し、このラインの歴史的起源に様式を合わせている。37mmのステンレススティール製ケースとすっきりとしたベゼル、ドーム型のブラックダイアルが、無駄を削ぎ落とした純粋でありながらエレガントな美学を体現。

 内部には約70時間のパワーリザーブを持つCOSC認定マニュファクチュール キャリバーMT5400を搭載し、200m防水を備える。「T-fit」クラスプを備えたラバーストラップによる格別な装着感も魅力だ。ヴィンテージの美学と現代的なテクノロジーを見事に融合させた本格的なダイバーズウォッチであり、ブレスレット仕様モデルの価格は65万4500円(税込み)である。

チューダー「ブラックベイ 54」

チューダー「ブラックベイ 54」Ref.m79000n-0001
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径37mm)。200m防水。65万4500円(税込み)。

ブラックベイ クロノ

「ブラックベイ クロノ」は、スポーティーなクロノグラフ機能と、ブラックベイラインの特徴であるダイバーズウォッチの遺産を組み合わせたモデルだ。41mmのブティック限定モデルでは、ダイアルとベゼルに施された「チューダー ブルー」が際立つアクセントとなっており、ブランドの長いデザインの伝統を踏襲している。

ブラックベイ クロノ “ブルー”

チューダー「ブラックベイ クロノ “ブルー”」Ref.79360B
自動巻き(cal.MT5813)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm)。200m防水。83万1600円(税込み)。

 約70時間のパワーリザーブを持つCOSC認定のマニュファクチュール ムーブメントCal.MT5813を搭載し、ねじ込み式プッシャー、タキメーターベゼル、200m防水といった特徴を備える。スポーティーな技術とクラシックなデザインのバランスが取れた多用途なクロノグラフであり、日常使いから過酷な条件下まで幅広く活躍する。



Contact info:日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570


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