【92点】グラスヒュッテ・オリジナル/セネタ・クロノメーター

FEATUREスペックテスト
2009.11.29

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ドイツ工業規格8319に準拠したドイツのクロノメーター検定
テューリンゲン州測量校正局の出先機関であるクロノメーター検定所、DKDドイツ計量検定所の計量検定研究室(DKD-K-09801)は、グラスヒュッテにあるザクセン州測量校正局との協力の下、15日間にわたる精度試験を実施している。C.O.S.C.(スイスクロノメーター検定協会)の検定基準との違いは、ケースに入れずにムーブメントだけを5姿勢でテストするのではなく、ケーシングした状態でテストすることである。ドイツ検定基準のその他の特徴は、試験対象となる個体すべてが秒単位で正確に時刻合わせできなければならないことである。日差は、全姿勢でマイナス4秒からプラス6秒の間でなければならず、平均日差は2秒、最大日差は5秒を超えてはならない。測定は、湿度50パーセントで気温を23℃、8℃、38℃にした環境で行われる。24時間経過したら、それぞれ日差を測定し、ゼンマイを再度巻き上げる。

精度安定試験では理想値との差が限りなくゼロに近かった

精度においても、セネタ・クロノメーターは十分期待に応えてくれた。歩度測定器を使用し、フルに巻き上げた状態でテストした場合は、6姿勢のすべてでほとんど日差が観察されなかった。3時左の姿勢でマイナス1秒/日、文字盤上でプラス1秒/日が観察されただけで、他の4姿勢ではゼロという理想値を達成した。
クロノスドイツ版編集部は、香箱を半分しか巻き上げていない状態でもテストを試みたが、ここでもやはり、2姿勢でプラス2秒/日、1姿勢でマイナス1秒/日、3姿勢でゼロという結果を得ることができた。さらに、実際の着用テストでセネタ・クロノメーターが見せた精度は、クォーツウォッチと比肩するものであった。もちろん、この卓越した精度には、輪列全体が摩擦を抑えた構造になっていることや、大型のチラネジ付きテンプとブレゲ式ヒゲゼンマイを採用していることも大きい。ちなみに、グラスヒュッテ・オリジナルはブレゲ式ヒゲゼンマイをプレシジョン・エンジニアリング社(Precision Engineering AG)から購入している。スイスのノイハウゼン・アム・ラインファルを拠点とするモーザー・グループ(Moser Group AG)の子会社である。分針がレイルウェイ分目盛りの上を正確に動き続けることも、ムーブメントの高い精度と同じように重要な要素だ。
秒針と分針の、運針における相関関係は、この上なく精密である。これはまた、どれほどの綿密さをもって文字盤を製造し、針をセットしたか、また357もの部品点数から成るメカニズムをいかに設計したかを物語っている。

■スペック

製造者:グラスヒュッテ・オリジナル
Ref.:58-01-01-01-04
機能:時、分、秒(ストップセコンド仕様)
ムーブメント:キャリバー58-01、58石、スイス式レバー脱進機、チラネジ付きテンプ、ブレゲ式ヒゲゼンマイ(プレシジョン・エンジニアリング社製)、2万8800振動/時、耐震軸受(インカブロック使用)、拘束角53°、スワンネック型緩急調整装置、シングルバレル、パワーリザーブ約45時間、部品点数357個、直径35mm、厚さ6.47mm
ケース:18Kソリッドゴールド製スリーピース構造、5箇所ネジ留め式サファイアガラス製ケースバック、リュウズ、日付修正ボタン、両面無反射コーティングを施したサファイアガラス、5気圧防水
ストラップとバックル:アリゲーターストラップおよびコンビ仕上げのゴールド製ダブルフォールディングバックル

精度安定試験 (日差 秒/日及び振り角)
フル巻き上げ時/半巻き上げ時
文字盤上:+1/+2
文字盤下:0/0
3時上:0/-1
3時下:0/+2
3時左:-1/0
3時右:0/0
最大日差:2/3
平均日差:0/+0.5
平均振り角:
水平姿勢:303°/283°
垂直姿勢:277°/258°

サイズ:直径42mm、厚さ12.3mm、総重量164g
価格:328万1000円
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。