ファッション界隈で始まり、現在では時計業界でも話題に上るようになった「クワイエットラグジュアリー」。『クロノス日本版』2024年11月号の第1特集では「クワイエットな時計概論」として、時計製造や時計市場におけるこの潮流をひもといた。この特集の最後に、「21本のクワイエットな時計」を掲載した。“ラグスポ”ともドレスウォッチとも違う、新潮流の時計たちとは?

鈴木裕之:編集
[クロノス日本版 2024年11月号掲載記事]
現行モデルから選んだ21本のクワイエットな時計
ここまではクワイエットラグジュアリーを定義しつつ、その定義に合うさまざまな時計のディテールや特徴を考えてきた。しかし時計業界では定着していない言葉なだけに、まだその全容を掴めていないという方も多いだろう。そこで特集の最後に、「現行モデルから選んだ21本のクワイエットな時計」をお送りしたい。ここに挙げたモデルは、いわゆる“ラグスポ”とも、ドレスウォッチとも一線を画した特徴を持つ、新潮流の時計たちだ。
カルティエ「サントス デュモン」

サテンとポリッシュに仕上げ分けた18Kイエローゴールドケースに、ブルーのダイアルが際立つモデル。中央には放射状のギヨシェ装飾が施され、ゴールドカラーのローマンインデックスとの調和を見せる。レイルウェイミニッツのはっきりとした印字も含め、細部まで抜かりがない。
グランドセイコー「ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル」

グランドセイコー初の手巻きハイビートモデル「45GS」が復刻。歪みのない鏡面を主体に構成されたケースや温かみのあるダイアル、オリジナルを踏襲したロゴなど、ファン垂涎の要素が満載だ。
ヴァシュロン・コンスタンタン「フィフティーシックス・オートマティック」

1956年に登場したRef.6073のデザインコードを受け継ぐ、「フィフティーシックス」の2024年新作。エレガントなブラックダイアルは、中央にオパーリン仕上げ、フランジ部にサンバーストサテン仕上げを施すことで、メリハリを効かせている。
ショパール「L.U.C XPS フォレスト グリーン」

落ち着きのあるフォレストグリーンによって、セクターダイアルをモダンに仕立てた2024年新作。スモールセコンド外周の彫り込みや、サテン仕上げに変化を付けた丁寧な作り込みが魅力だ。ケースは高い光沢性が特徴のルーセントスティール™製。
グラスヒュッテ・オリジナル「セネタ・エクセレンス・パノラマデイト・ムーンフェイズ」

4時位置にパノラマデイト、10時位置にムーンフェイズを配した、アシンメトリーなダイアルが特徴。グレイン仕上げのグレーダイアルが、控えめながらも上品な印象をもたらす。伝統的なブルースティールの時分針を備える。
オメガ「デ・ヴィル トレゾア」

12時位置にパワーリザーブインジケーター、6時位置にスモールセコンドを配したモデル。ダイアルから高さを一段下げたインダイアルにはレコードの溝状の仕上げが施され、立体的な表情を生み出している。短いラグと薄いケースが織り成す装着感も魅力。
IWC「ポートフィノ・オートマティック」

イタリアの高級リゾート地、ポルトフィーノに由来した、ミニマルなデザインを有するIWCの「ポートフィノ」コレクション。ふくよかなリーフ型の時分針と立体的なゴールドカラーのインデックス、丸みを帯びたケースの組み合わせは、世代や性別を問わず愛されている。
パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF マイクロローター」

至上の純粋主義者に向けて開発されたという、ノンデイト仕様の「トンダ PF マイクロローター」。控えめなインデックスが配されたゴールデン・シエナカラーのダイアルには、同社を象徴するバーリーコーンのギヨシェ装飾が施されている。
ロレックス「パーペチュアル 1908」

現行ロレックスで唯一のクラシックラインである「パーペチュアル 1908」。本作は、プラチナケースとアイスブルーダイアルを備えたモデルだ。ライスグレインモチーフのギヨシェダイアルや、ドームとフルーテッドを組み合わせたベゼルが華やかさをもたらす。
ブランパン「ヴィルレ ウルトラスリム」

ブランド創業地の名を冠したドレスウォッチ。歪みのないポリッシュ仕上げのラウンドケースや純白のダイアルに並ぶ艶やかなローマンインデックス、クリアランスを詰めたセージ型の時分針など、シンプルなデザインの中に同社の技術が光る。
チャペック「プロムナード ギョーシェ ブルー・ニュイ」

チャペックの新コレクション、「プロムナード」のギヨシェダイアルモデル。スモールセコンドから放射状に広がるギヨシェ装飾は、同社のパートナーであるメタレム社との共同開発によるものであり、太陽のフレアのように複雑に反射する光を楽しむことが可能だ。
ヴァン クリーフ&アーペル「ピエール アーペル ウォッチ」

純白のダイアルの中央にブランドのロザンジュロゴで織り上げたような“ピケ”モチーフをあしらい、その周囲に繊細なローマンインデックスを配した薄型ドレスウォッチ。ベゼルの角を落とすことで、シャツの袖口に自然と滑り込ませることができるようにしている。
タサキ「フェイス オブ タサキ」

レクタンギュラーケースは、TASAKIのルーツである真珠養殖場のいかだをモチーフとしたもの。ライトグリーンのダイアルには、海に浮かぶ真珠に見立てた円形のディスクが配され、自動巻きローターに連動して回転するという遊び心にあふれた仕掛けが盛り込まれている。
ローマン・ゴティエ「C by ローマン・ゴティエ プラチナ エディション」

わずかにオフセットされたダイアルや徐々に細くなるインデックスによって、連続性を表現する「C by ローマン・ゴティエ」のプラチナケースモデル。ラグと一体化したラバーストラップやファセットカットを与えた立体的なベゼルが、スポーティーな印象を添える。
エルメス「エルメスH08」

2021年の発表と同時に一躍注目を浴びた、エルメスが手掛けるスポーティーウォッチ。独自のフォントがエルメスらしい上品さを与えつつ、蓄光塗料を塗布したインデックスと針、シャープに磨き込まれた10気圧防水のチタンケースが、優れた実用性を発揮する。
エルメス「アルソー グランド・リュンヌ」

上下非対称のラグや躍動感あふれる斜体のアラビア数字インデックス、立体的なリーフ針が特徴のエルメス「アルソー」。本作ではトリプルカレンダーとムーンフェイズを備え、サンバースト仕上げのブルーダイアルが、夜空のようなロマンティックな情景を映し出している。
エルメス「スリム ドゥ エルメス」

丸みを帯び、切り欠きのあるアラビア数字インデックスが、エルメスらしい優美な印象をもたらす薄型ドレスウォッチ。ダイアルの中央部とスモールセコンド、外周部で仕上げに変化を付けることにより、モノトーンながらもメリハリを効かせることに成功している。
キクチナカガワ「ムラクモ」

スモールセコンドにスペード型の針を組み合わせた、一見して王道のようなクラシカルなデザイン。しかし、にじみなくプリントされたインデックスやシャープなケース、ケースと針に施されたブラックポリッシュが、モダンな印象と唯一無二の存在感を示す。
アーミン・シュトローム「トリビュート1 フュメ」

オフセットされたフュメダイアルとブランドを象徴するフィンガーブリッジを備えた、立体的な構造が特徴。プレートに施されたギヨシェ装飾は、独立時計師カリ・ヴティライネンのアトリエで、手作業によって彫り込まれたものである。
レイモンド ウェイル「ミレジム ムーンフェイズ」

古典的なディテールに現代的な要素を融合させた、“ネオ・ヴィンテージウォッチ”。2024年には、ムーンフェイズ搭載モデルがコレクションに登場。細かく仕上げ分けられたセクターダイアルや、シャープな造形のケースに注目。
バルチック「マイクロローター ルーレット サーモン」

ドーム状のヘサライトクリスタル風防とサーモンカラーダイアルが特徴の、クラシックウォッチ。複数のセクションに分割されたダイアルは、中央と外周部、スモールセコンドのそれぞれに異なる仕上げが施され、豊かな表情を持つ。





