【93点】ロレックス/オイスター パーペチュアル シードゥエラー

FEATUREスペックテスト
2017.11.18
サブマリーナーはグライドロックを備えているが、
シードゥエラーでは加えてエクステンションシステムを有し、より潜水に適している。

ケース径の増したシードゥエラー(左)に合わせ、ブレスレットの幅も改善された。比較すると、ケース径の小さなサブマリーナー デイト(右)のブレスレットの方が、幅が狭いのがわかる。


1976年から今日まで

 1976年当時、その少し前にケース径が拡大されたサブマリーナー同様、シードゥエラーのケース径はまだ40㎜だった。だが、1969年にサブマリーナーで導入されたサイクロップレンズはシードゥエラーには装備されなかった。その後、ロレックスは、プレキシガラスをサファイアクリスタルに変更し、1978年にシードゥエラーの防水性能を2倍の1220mに引き上げた。

 2008年、44㎜のケース径を備え、3900mの防水性能を誇るロレックス ディープシーが登場する。ロレックスは2014年になってようやく、ケース径40㎜、防水性能1220mを備え、新しいセラミックス製の逆回転防止ベゼルを搭載したオイスター パーペチュアル シードゥエラー 4000をリバイバルさせた。その3年後、このモデルに代わり、ケース径のより大きな現行シードゥエラーが登場したのである。

 ロレックスが最適化したのはプロポーションだけではない。ディテールについても常に進化させている。今回のテストモデルでは、例えば、回転ベゼルの三角マーカーに配された丸い発光ポイントの突起を抑え、回転ベゼルの表面とほぼ同じ高さにしたことから、ドア枠などにぶつけて破損するといったリスクもかなり低くなったはずだ。

 視認性については改善の余地はほとんどないほどに高くなっている。ロレックスが「クロマライト」と呼ぶ蓄光塗料は発光力が極めて強く、夕闇が迫ってくる時間帯でもはっきりと認識することができる。青く発光する蓄光塗料は極めてスタイリッシュで、目にも心地よい。文字盤12時位置の三角マーカーと6時位置と9時位置のバーインデックスは、暗所で時計の向きを確認するのに役立つ。回転ベゼルのゼロ位置に配されたドットも明るく発光する。また、秒針のポイントにも蓄光塗料が塗布されており、暗所で時計が機能しているかを確認するのに有用である。

セーフティークラスプには細かく調節のできるグライドロック エクステンション システムが、ブレスレットにはフリップロック エクステンションリンクが装備されており、ブレスレットは最大約46mmまで延長することができる。


 装着性も良好である。とりわけ、ケース裏側の滑らかな表面や、同じく滑らかな仕上がりのクラスプ内側、そして、しなやかなステンレススティール製ブレスレットがこれに貢献している。ブレスレットのコマはひとつひとつ、アーチ型に成形されていて、手首によくなじむ。また、コマとコマの間の遊びも一定になるように調整されており、ブレスレットが曲がっても一定の間隔が保たれるため、手首の毛が挟まることはない。グライドロックは堅牢で、クラスプの内側にある刻みをスライドし、長さを調節することができる。これは、スポーツをした後や暑い日など、手首に汗をかいた時にありがたい。また、フリップロック エクステンションリンクにより、ブレスレットはさらに約26㎜延長することが可能で、ダイビングスーツの上からでも着用することができる。これは、シードゥエラーとロレックス ディープシーに共通するが、サブマリーナーにはない特徴である。

 クラスプは、セーフティーロックと、その下にある指の爪で簡単に持ち上げられるレバーによって、不用意に開かないように設計されている。それでも、操作の簡単なリュウズや回転ベゼルと同じように扱いやすい。また、時計全体に共通することだが、加工品質の高さにも感心させられる。ブレスレットとクラスプの側面にはポリッシュ仕上げが、上面にはサテン仕上げが施されている。

新しいムーブメント

 シードゥエラーを買おうとした場合、外観的なクォリティが購入の決め手になることは間違いない。とはいえ、ロレックスは内部機構にもいくつか手を加えている。シードゥエラーにはプロフェッショナルモデルでは初めて、キャリバー3135に代わる新型キャリバー3235が搭載されている。ロレックスの新世代ムーブメント、キャリバー3235はまず、2015年にデイデイト40とデイトジャスト パールマスター 39のプレシャスメタルモデルに導入され、2016年にはデイトジャスト41のロレゾールモデルにも拡大された。そして今年になってようやく、デイトジャスト41のホワイトロレゾールとステンレススティールモデル、新作のシードゥエラーにも採用された。これにより、キャリバー3235はゴールドを使用していないモデルにも搭載されることとなった。

 キャリバー3235は、精度が極めて高く、堅牢で、耐久性の高い先代キャリバー3135をベースに改良されたムーブメントである。構成部品の90%以上が見直され、ロレックスはこのムーブメントで合計14の特許を取得している。