【87点】パテック フィリップ/ アクアノート・クロノグラフ Ref.5968A

FEATUREスペックテスト
2019.07.07

 1997年に導入されたアクアノートは、99年に発表されたフェミニンなレディスラインTwenty~4に次いで、パテック フィリップで新しいコレクションである。ステンレススティール製ケースは丸みを帯びた八角形の特徴的なベゼルを持ち、その内部ではキャリバーCH28-520 Cが時を刻む。このクロノグラフムーブメントは2006年に発表されたものを2018年登場の「アクアノート・クロノグラフ Ref.5968A」用に改めたものである。

 外観上、まず目を引くのはやはり、「トロピカル・ストラップ」と呼ばれるコンポジット素材で出来たオレンジカラーのストラップだろう。パテック フィリップによれば、この素材は摩耗に強く、海水や紫外線にも強いらしい。そしてストラップを留めるのは、新型のダブルフォールディングバックルである。このバックルは特許を取得しており、閉じる際には4つの独立した留め金が確固たる安全性を提供し、開く時にはふたつのプッシュボタンが快適な操作を保証する。ステンレススティール製のバックルは、それぞれ2本のバネ棒でストラップの端部に取り付けられているため、ストラップは手首のサイズに合わせてカットしなければならない。ここは間違いを犯したくない瞬間である。なお、アクアノート・クロノグラフには、控えめな外観を求めるユーザーのニーズに応え、交換用の黒のコンポジットストラップも同梱されている。

 スポーティーな腕時計により一層の堅牢性を与えるため、ストラップのケース側の端部は、これまでのように通常のバネ棒だけで留めるのではなく、さらに2本のピンによってケース本体に固定されている。そのため、ユーザーにとってやや面倒なことではあるものの、パテック フィリップはストラップを交換する際は専門店に依頼するよう勧めている。

 だが、ストラップを交換する必要はほとんどないだろう。オレンジカラーのストラップは、クロノグラフ搭載モデルであることが一目で分かる文字盤のカラーアクセントとの相性が抜群に良いのである。また、長くスリムなクロノグラフセンター秒針、文字盤の外周に刻まれた1秒をさらに細分化する目盛り、6時位置にある大きな60分積算計の針とミニッツスケールの大半も、オレンジカラーで統一されている。6時位置にあるサブダイアルは、アクアノート・クロノグラフを特徴付ける丸みを帯びた八角形のベゼルの独特なフォルムを再現している。表面がなめらかなので、地球の経度と緯度を想起させるアクアノートならではのメインダイアルのレリーフ彫りともよく調和する。文字盤は、サンバースト模様が施されていることから、光の当たり具合によっては漆黒に見えたり、ライトグレーに輝いたり、変化が面白い。

 文字盤とは異なり、アプライド式のアラビックインデックス、12本のアプライド式バーインデックス、そして力強いバトン型の時分針は、色使いが明確である。すべて18Kホワイトゴールドで出来ており、蓄光塗料のスーパールミノーバが塗布されているため、どんな光の条件下でも時刻は読み取りやすい。日中は白と黒の強いコントラストにより、また暗所では緑色に発光する蓄光塗料の恩恵により、優れた視認性が確保されている。また、クロノグラフ用の2本の針はいずれも真鍮製で、オレンジで塗装されている。発光はしないが、測定時間を極めて高い精度で表示する。