【オープンワークのエレガントウォッチ】革ジャン×エレガントウォッチという美学

定番をただ守るだけでは、スタイルは更新されない。ラフに羽織れる革ジャンの強さと、エレガントウォッチの落ち着いた上品さ。異なるふたつの表情をあえて重ねることで、装いは新しい均衡を見せる。強さが上品さを引き立て、上品さが強さを洗練へと導く。そんな“ギャップの妙”こそが、時代の感性に寄り添う大人にふさわしい美学だ。革ジャン×エレガントウォッチという組み合わせに、定番を進化させるためのヒントがある。ここでは、6つのカテゴリーに分けて、その“最適解”となるスタイリングを提示する。

開放的な構造とオリーブスエードが交わり、互いを引き立て合う

　開放的なスケルトン構造が視界に広がるラドーの「トゥルー スクエア スケルトン」。マット仕上げのハイテクセラミックケースとモノブロック構造による端正な佇まいが印象的なタイムピースだ。ムーブメントの規則的な動きが立体的に見えることで、腕時計そのものの存在感が装いの軸になる。そこに合わせたのは、L-2Bに着想を得たラムスエードのジャケット。オリーブの落ち着いた色調がスケルトンの可視性とよくなじみ、質感の違いがその魅力を引き立てている。

オープンワーク × カラーレザー系

　内部構造をそのまま可視化し、複雑さを造形の静けさへと転じた、ラドーの「トゥルー スクエア スケルトン」。ムーブメントに施されたサンドブラスト仕上げの水平ライン装飾が奥行きを生み、マットプラズマ仕上げを施したハイテクセラミックケースが輪郭の強さを与える。そんな腕時計に合わせたのは、定番色とは異なるカラーレザーを採用した革ジャンだ。

ハミルトン／ジャズマスター オープン ハート
幾何学的なカットアウトがブラックダイアル上にムーブメントの精緻な鼓動を浮かび上がらせる人気作。約80時間連続駆動する自動巻きムーブメントCal.H-10が安定した動きを支え、SSケース＆ブレスレットのシャープな造形が視覚的な緊張感を引き立てる。自動巻き（Cal.H-10）。2万1600振動／時。パワーリザーブ約80時間。SSケース（直径36mm、厚さ10mm）。5気圧防水。16万6100円。（問）ハミルトン／スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7371

ラドー／トゥルー スクエア スケルトン
ハイテクセラミックケース＆ブレスレットにマットプラズマ仕上げを施し、金属のような深い光沢と軽さ・耐傷性・色褪せにくさを兼ね備える。水平サテンやサンドブラストの仕上げを施すムーブメントは、耐磁性を備えたニヴァクロン™製のヒゲゼンマイを採用。自動巻き（Cal.R808）。25石。2万1600振動／時。パワーリザーブ約80時間。セラミックケース（縦44.2×横38.0mm、厚さ9.7mm）。5気圧防水。49万600円。（問）ラドー／スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7330

　ラムスエードで仕立てられたアルマのシャツジャケットは、「ミスティライラック」と名付けられた淡い発色が映える1着。胸元のフラップポケットが程よいカジュアル感をたたえ、レザー特有の上品さも併せ持つ。レギュラーフィットの素直なシルエットがスタイルの幅を広げてくれる（写真1）。フライトジャケットL-2Bをベースにしたヘリルの逸品は、ラムスエードのオリーブが印象的だ。シガレットポケットやフロントのストームフラップなどの伝統的なミリタリーの意匠を採用しつつ、土臭さを抑えた都会的な仕上がりとなっている（写真2）。レデッリのトラッカージャケットは、ダークウェーブと命名された深いブルーが印象的なラムスエードで仕立てられている。袖口と背面裾を同色のレザーリブでまとめ、一体感と高級感のある設計に（写真3）。

　構造が“見える”時計と、色が“語る”革ジャン。ふたつを重ねることで、装いは強さでも派手さでもなく、確立した個性へと導かれる。 スケルトンが描く機能美は、カラーレザーの余白と調和し、大人の装いに深みをもたらすのだ。