“フルメタル”G-SHOCKは、従来は樹脂素材が用いられてきた外装に、文字通り“メタル”を使ったコレクションである。外装をフルメタル化しつつ、耐衝撃性も確保するため、ケースや緩衝パーツの設計を見直さなくてはならなかった。本記事では、“フルメタル”G-SHOCKが誕生した背景や、使われている技術についてまとめるとともに、代表的なモデルについて紹介しよう。

“フルメタル”G-SHOCKって何?
“フルメタル”G-SHOCKは、文字通り、外装に金属素材を用いたG-SHOCKだ。1983年に登場した、“オリジン”とも称される初代G-SHOCK「DW-5000C」は、「衝撃を与えても壊れない」という画期的なキャラクターを有する腕時計であった。この耐衝撃性は、弾むゴムボールから着想を得られたもので、内部のモジュールをいくつかの小さな点で支えることで浮かせる中空構造を採るとともに、ベゼル全体やストラップに受け身を取らせてショックアブソーバーとした、樹脂製ケースが大きな役割を果たしていた。このキャラクターであるがゆえに、G-SHOCK=カジュアルな樹脂製モデルという印象が強かったかもしれない。しかしカシオ計算機は1996年、「MRG-100」で初のフルメタル外装のG-SHOCKを実現。そして2018年の「GMW-B5000」がヒットを飛ばしたことから、以降、メタルもまた、G-SHOCKにとって欠かせない素材へとなっていく。

2018年の登場以来、高い人気を誇る定番の“フルメタル”G-SHOCK。タフソーラー。フル充電時約22カ月駆動(パワーセーブ時)。SSケース(縦49.3×横43.2mm、厚さ13mm)。20気圧防水。8万4700円(税込み)。
では、樹脂ケースでの耐衝撃性を、フルメタルでどのように実現したのか? カシオ計算機は衝撃を受け止める“オリジン”の意匠は守りつつ、ベゼルとケースの間にファインレジン製の緩衝材を実装。フルメタル外装ならではの硬質な質感と、G-SHOCKが持つ耐衝撃性を両立させた。
さらに外装の金属化に伴い、表面仕上げも多様化している。外装パーツを分割し、複雑な造形でありながら、ポリッシュ仕上げ、ヘアライン仕上げ、再結晶化に深層硬化処理など、従来の樹脂モデルにはない外装表現が可能となった。

現在はGMW-B5000のほか、八角形のフォルムを持つ「GMW-B2100」がメインのラインナップとなっている。Bluetoothを搭載しており、スマートフォンと連携のうえ、スマートフォン上での自動時刻修正やワールドタイム設定、そしてG-SHOCK側での携帯電話探索などに対応した利便性がデフォルトとなっているのも、大きな強みだ。
“フルメタル”G-SHOCKからおすすめを紹介!
現行の“フルメタル”G-SHOCKの中から、代表的なモデルを紹介する。いずれもフルメタル外装を有しつつ、G-SHOCKの設計思想に基づく耐衝撃性を備えるとともに、外装素材の違いが各モデルの個性として反映されている点が選択時のポイントだ。
GMW-BZ5000GD-9JF

タフソーラー。フル充電時約22カ月(パワーセーブ時)。SSケース(縦49.3×横43.6mm、厚さ13mm)。20気圧防水。10万2300円(税込み)。
「GMW-BZ5000GD-9JF」は2025年に登場したGMW-B5000系の“フルメタル”G-SHOCKであるが、人とAIが共創したジェネレーティブデザインモデルだ。40年以上にわたるG-SHOCKの耐衝撃構造データを基に新たなフルメタル構造が採用されており、ベゼルとセンターケースを上下で連結したうえで、弾性変形で衝撃を吸収する樹脂製のインナープロテクターが実装されている。この新構造によって、複雑な造形を有したメタルパーツが噛み合ったサイドからのフォルムやふたつのパーツを結合するフロントビスなど、まったく新しい外装表現を獲得した。
また、メモリインピクセル(MIP)液晶が搭載されており、さまざまな角度や光源下での視認性が確保されているのも特筆すべき点だ。
「GMW-B5000D-1CJF」

タフソーラー。フル充電時約22カ月(パワーセーブ時)。SSケース(直径43.2mm、厚さ13mm)。20気圧防水。8万4700円(税込み)。
「GMW-B5000D-1CJF」は、1983年に登場した“オリジン”のカラーリングをまとった、シリーズの中でも定番と呼べる構成を持つモデルだ。角型の外装デザインをステンレススティールで再構成し、ケース、ベゼル、バンドに統一感のある仕上げを施すことで全体の質感を整えている。
耐衝撃性は、ケース内部に樹脂パーツを配置した緩衝構造によって確保している。また、ケースとバンドが接続する部分を3本足構造とし、連結パイプに加わる衝撃を分散させることで、衝撃の影響を受けやすいこの部分もカバーしている。
機能面ではBluetooth、タフソーラー、標準電波受信を備え、幅広い地域で正確な時刻を取得できる。
“フルメタル”らしい質感と“オリジン”の雰囲気を楽しめる、唯一無二の1本となっている。
GMC-B2100D-1AJF

タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)。SSケース(縦51.3×横46.3mm、厚さ12.4mm)。20気圧防水。10万4500円(税込み)。
2100は“カシオーク”のニックネームでも知られており、八角形ベゼルがアイコニックなG-SHOCK。この2100をフルアナログ表示&クロノグラフデザインとしたうえで、フルメタル外装を採用したのが「GMC-B2100D-1AJF」だ。また、薄型ながらも高機能なモジュールを搭載することで、縦51.3×横46.3mm、厚さ12.4mmというコンパクトなサイズ感ながら、クロノグラフ(ストップウォッチ)やタフソーラーはもちろん、デュアルタイムやBluetoothによるスマートフォンとの連携機能といった、従来の高機能性も備えている。
大きすぎないサイズ感と“フルメタル”らしい質感によって、ビジネススーツにもマッチさせやすいG-SHOCKと言える。
まとめ:カシオのテクノロジーの象徴。“フルメタル”G-SHOCK
フルメタルシリーズは、G-SHOCKが培ってきた耐衝撃構造を“フルメタル”、すなわち金属外装で実現させた。金属は衝撃が伝わりやすく重量も増すため、ケースやベゼルを多層構造化し、内部に樹脂製の緩衝パーツを組み合わせる設計が採用された。この構造によって初代モデルのコンセプトを保ちながら、素材特性に合わせた耐衝撃性を確保したのだ。また金属外装の仕上げはミラーやヘアライン、IP処理など多様化し、樹脂モデルとは異なる表情を与える要素となった。5000系と2100系の両ラインに展開が広がったことで選択肢が増え、高い質感とG-SHOCKらしいキャラクターをともに楽しめる腕時計となっている。



