時計業界において、チタンおよび光発電テクノロジーを先駆けて確立し、これらの発展をリードしてきたシチズン。その先進技術の恩恵を大いに受ける「シチズン アテッサ」より、「ACT Line エコ・ドライブ GPS衛星電波時計」Ref.CC4107-80Hが新たに発表された。本記事では、唯一無二のパターンを持つ素材「結晶チタン」を主役に据えつつ、オールブラックの力強いルックスに仕上げられた本作の魅力を深掘りする。

Text by Kento Nii
[2026年6月23日公開記事]
八角形ベゼルを持つ大胆なフォルムに結晶チタンが融合
2026年、シチズン アテッサより登場した「ACT Line エコ・ドライブ GPS衛星電波時計」Ref.CC4107-80Hは、製品名にも冠された「Crystal Octagon(クリスタル オクタゴン)」をコンセプトとする限定モデルだ。発売は2026年7月2日(木)が予定されており、世界限定で1800本のみが販売される。

光発電エコ・ドライブ(Cal.F950)。フル充電時約5年駆動(パワーセーブ作動時)。スーパーチタニウム™ケース(直径44.0mm、厚さ13.7mm)。10気圧防水。世界限定1800本。38万5000円(税込み)。2026年7月2日(木)発売予定。
本作では、その名の通り、八角形を意識したダイナミックなシルエットに「結晶チタン」を取り入れている点がトピックとなる。ケースおよびブレスレットには、デュラテクトDLCを施したスーパーチタニウム™ケースを採用。オールブラックの外観に仕上げられた一方で、結晶チタンが持つ結晶模様を前面に押し出したデザインとすることで、ストイックさの中に目を引く個性が演出されている。

併せてダイアルにも注目したい。結晶チタンをモチーフにした独自の成形パターンが施されており、その上からガンメタリックカラーのメタリック塗装を重ねることで、いっそう一体感のある表情が構築されているのである。さらに、インジケーターリングにも金属さながらの質感が与えられるなど、各要素の調和が強調されている。

時計全体のデザインベースは、2025年の「グッドデザイン賞」に続き、2026年の「iF デザインアワード」も受賞したRef.CC4104-53E(およびRef.CC4105-69E)だ。エッジの効いた多面体ケースと八角形のベゼルが組み合わされており、ブレスレットへとシームレスに連なる一体型のフォルムは、フラットにまとめられながらも、ソリッドな印象を有している。
ムーブメントはベースモデルと同様に、Cal.F950を搭載する。GPS衛星電波受信機能と光発電機能を併載するアナログ式腕時計として、世界最速クラスの最短3秒で時刻情報受信をこなす、現行のシチズン アテッサにおけるハイエンドな高性能モデルである。さらに、簡単なリュウズ操作で世界中の現地時刻に合わせられる「ダブルダイレクトフライト」機能を有するほか、ホームタイムとローカルタイムのふたつの都市時刻の同時表示を可能としており、それらを1ステップで入れ替えられるようになっている。
シチズンのチタンテクノロジーが光る「結晶チタン」
さて、本作の主役とも言える結晶チタンは、これまでも民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」とのコラボレーションモデルをはじめ、シチズン アテッサの限定モデルを中心に採用されてきた素材である。しかしながら、筆者の記憶する限り、本作のようにベゼルおよびブレスレットの中駒へ用いた大胆な仕様は、今回が初めての試みではないだろうか。

この素材は、チタン材を高温で熱処理し、再度冷却するプロセスを経て生成されるが、独特な結晶パターンは、温度変化の過程でチタンの組成が不均一に結びつくことで生まれるものだという。ひとつひとつの粒の大きさを除き、その仕上がりを人為的にコントロールすることは不可能であるため、本作では1800本の個体すべてが異なる表情を持つことになる。この唯一無二のテクスチャーに出合える点は、数量限定モデルを持つ満足感を高めてくれるだろう。
一方で、本素材を時計のパーツとして利用するうえで、その製造ハードルは極めて高い。金属は高温で熱処理を行うと膨張して体積が変化してしまう特性があるためだ。つまり、本作が持つエッジの効いた八角形ベゼルやブレスレットの中駒を作り上げるには、熱処理による体積の変化をあらかじめ逆算した、精密な設計・加工を行う必要があるのだ。業界に先駆けてチタン素材を採用し、その開発をリードしてきた、シチズンならではのノウハウが息づく仕様である。結晶パターンモチーフのダイアルも相まって、同社のチタン使いのノウハウの結実を、腕時計全体で構築していると言える。
本作を着用すれば、デュラテクトDLCによる、漆黒のカラーリングがなされた力強いケースとともに、まるで手元に未知の鉱物の塊を載せているかのような、神秘的かつ重厚な感覚を味わうことができるはずだ。
圧倒的な存在感と、日常使いに寄り添う充実の実用性
本作はケース直径44.0mm、厚さ13.7mmという堂々たるパッケージングを持つ。全体をブラックで統一した、落ち着いたカラーリングではあるものの、その存在感はかなりのものだ。筆者は手首に装着してじっくりと観察したわけではないが、その目を引く佇まいを生かし、オフスタイルのファッションの外しとして選びやすいように思えた。
機能面においては、先述の通り現在のシチズン アテッサにおけるハイエンドムーブメントCal.F950が搭載されているため、当然ながら非常に充実している。挙げられるだけでも、デュアルタイム機能、20分の1秒単位で計測可能なクロノグラフ、アラーム、月末のカレンダー修正を不要とするパーペチュアルカレンダーなど、実に多種多様だ。さらに、電波非受信時でも月差±5秒で駆動する高精度や、それを守るための耐衝撃性・耐磁性・針自動補正機能を兼ねる独自技術「パーフェックス」、フル充電時で約5年にわたって駆動する省エネ性など、実用時計として隙がない。

シチズンの技術力と多様性を体現する、アテッサという選択肢
世界的な評価を得たパッケージングに、唯一無二の模様を描く結晶チタンを取り入れ、最上位ムーブメントで機能性をも突き詰めた「Crystal Octagon」の「ACT Line エコ・ドライブ GPS衛星電波時計」Ref.CC4107-80H。本作は、デュラテクトDLCを施したスーパーチタニウム™の恩恵により、優れた耐傷性と耐食性、そしてサイズ感に反した軽やかさをも備えている。抜群の利便性と魅力的なルックスは、日常使いにおいて存分にその真価を発揮してくれるだろう。
今期のシチズン アテッサの新作では、ハイエンドたる本作をはじめ、皆既月食がテーマの限定モデル、無駄を削ぎ落としたミニマルな3針モデル、そしてSFの世界観を楽しめる「スター・ウォーズ」とのコラボレーションモデルに至るまで、実にバラエティー豊かな顔触れがそろっている。これらすべてに共通しているのは、シチズンの最大の持ち味であるスーパーチタニウム™と光発電エコ・ドライブというコア技術を盤石の基盤に据えつつ、そのうえで驚くほど多様な意匠を実現している点だ。
この強みは、全方位に膨大なラインナップを展開するシチズンにおいても稀有であり、アテッサは同社の持つ技術的な強みや先進性を最もダイレクトに知ることができる、実に魅力的な腕時計である。ビジネスウォッチとしても定評のある同ブランドだが、これからも実用面とデザイン面の両方で我々を引きつける頼もしい存在であってほしい。




