最近購入した古いシチズン製の時計を紹介します。星座早見盤の付いた置き時計、蛍光表示管を表示装置に採用したクロック、子供向けのオープンワークウォッチなど、個人的なお気に入りばかりです。
[2025年4月30日公開記事]
天体モチーフのふたつのクロックとオープンワークな腕時計
それではお気に入りの時計を紹介していきましょう。
「クラブ・ラ・メール」の星座早見盤付きクロック
まずは「クラブ・ラ・メール」の置時計。星座早見盤を文字盤上に備えた「コスモサイン」コレクションの原型的な時計です。あちらは腕時計ですが、こっちはクロックです。掛け時計のバージョンは比較的よく見かけます。ですが、置き時計タイプは本当にレア。アルミ製のしっかりしたボディは高級感のある作りでお気に入りです。
ムーブメントはさすがに古い設計なのか、カチカチ音は大きめ。夜の静寂を破ってしまう印象があり、そこは玉に瑕でしょうか。
なんといっても、早見盤上の夜空にきらめく多数の星々には見惚れてしまうこと必須。色使いも良いですね。印刷の質感という観点から見てみると、かなりインクの乗りが良いように思えます。タンポ印刷かシルクスクリーンでしょうか。見ていて飽きません。なお、早見盤はムーブメントと歯車で連動しており、季節の星座を表示する仕組みになっているようです。
光る板(スマートフォンのこと)ばかり見ていないで、遠い宇宙の星々に思いをはせたいものです。ほら、人間なんて宇宙のスケールから比べたらとても小さな存在ではないですか。宇宙的なスケールの大切さを教えてくれるクロックです。
蛍光表示管採用の「トワイライト」

お次は蛍光表示管(VFD)を使用したクロックシリーズ、「トワイライト」の赤いモデル。時間の経過に伴って、星座や日の出など、空の景色をアニメーションを用いて表示させるクロックなのです。
蛍光表示管は個人的にかなり好きな表示機構のひとつ。ニキシー管と異なり、まだまだ現役の仕組みではありますが、デジタル表示の主流は現在では電力の消費が少ない液晶です。70年代に蛍光表示管が電卓に使われていたものの、その後液晶に取って代わられてしまったのです。
消費電力に加えて、もうひとつの短所が「劣化」。まばゆい光を放つ蛍光表示管は、長期間使用していると、徐々にくすみ、電力量は少なくなります。かなり気に入っているものの、そこが気がかりで、結局使うことなくしまい込んでしまっています。
90年代ごろのオーディオや映像機器には、決まったように蛍光表示管が搭載されていました。自分にとっての原風景的なデジタル表示機構なので、やはりどこかで使用したいなあと思います。
ところで、シチズンというブランドの特徴のひとつに「チタン」が挙げられると思います。それまで腕時計に用いられていなかった素材を巧みに取り入れ、強靭さと軽量さを同時に手に入れたのです。
それと同様に、「天体モチーフ」を製品に使用する傾向にあるのも、その特徴として挙げられるのではないか、と勝手に思っています。確かに、時計と天体の結びつきは強固で、天体モチーフの時計は世の中に数多くあります。しかしながら、その中でもシチズンは特に、天体モチーフを取り入れがちな印象があるのです。
子供向けオープンワーク仕様のウォッチ
そして最後に紹介するのは、このQ&Qブランドの銘が入った腕時計。オープンワーク仕様です。ケースサイズからして、子供向けの腕時計でしょう。クォーツムーブメントの世間への浸透具合からして、遅くとも80年代前半頃の製品でしょうか?
オープンワーク仕様のため、針や歯車といった内部機構がどのように動いているのかを、鑑賞することができるのです。おそらく、腕時計の動きを解説する教育的な目的で設計されたように思えます。
この腕時計を眺めていると、量産品のスケルトンやオープンワーク仕様の腕時計は、いつ頃から一般的になったのだろう、と思うのです。確かに、懐中時計の名作にはスケルトンもしくはオープンワーク仕様のものは多数あり、その歴史そのものは古くからあるに違いないでしょう。では腕時計は、と思うのです。