ポルシェデザインが新たな試みを発表。時計のパーソナライズサービス「カスタムビルド・タイムピース」プログラム

FEATUREWatchTime
2020.07.15

2020年、ポルシェデザインは顧客がケースやベゼル、インナーリングの色やストラップの種類などを組み合わせることで時計をパーソナライズできる「カスタムビルド・タイムピース」プログラムの開始を発表。車と時計のデザインの世界を境なくつなげる同プログラムについて、WatchTime編集部のマーク・ベルナルドがレポートする。

ポルシェデザイン「カスタムビルド・タイムピース」

カスタムビルド・タイムピース

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo

まるで「ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクトゥール」の時計版

 スポーツカーのアイコンとして長きにわたって愛され続けているポルシェ911。このクルマをデザインしたことで知られるフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェは、1972年に“ポルシェデザイン”こと「スタジオ・F.A.ポルシェ」を設立。以降、ラグジュアリーな車のデザインを時計のような他のアクセサリーの分野へと広げた。

 そんな同社が新しい試みとして発表したのが「カスタムビルド・タイムピース」プログラムだ。これは簡単に言えば時計のパーソナライズサービスである。そして同プログラムはポルシェが行っているカスタマイズサービス、「ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクトゥール」と同様の方式が採られる。つまりボディーの塗装色はもちろん、シートやステッチのカラー、さらにはインストゥルメントパネルの素材を911をはじめとするポルシェのオーナーが選べるように、ポルシェデザインの顧客が自身の時計を150万以上もの組み合わせから選ぶことができるのだ。

 このシステムはドイツを皮切りにヨーロッパの各国の導入を経て、日本でもいずれは採用される予定だ。各国で導入される際にルールは変わるかもしれないが、少なくとも7月から同サービスを開始したドイツでは、発注にはポルシェのディーラーが参加し、ユーザーがポルシェデザインの「クロノタイマー シリーズ1」をベースに、ポルシェ911に合う自分の「夢のタイムピース」を作り上げる。

カスタムビルド・タイムピース

ポルシェのスポーツカーに使われる塗装が、特別に時計に使われる。

150万通りは伊達じゃない

 ではどのようにオーダーができるのか? 購入希望者はポルシェデザインの公式ページ内に設けられた専用ページより、好みの時計のスタイルを小さなディテールに至るまでグラフィック化できる。

 最初のステップは直径 42mmのケースの選択で、チタンもしくはチタン+ブラックDLCから選ぶことができる。チタンはスティールより43%も軽量だが頑丈で腐食に強く、金属アレルギーの心配も少ない。DLCコーティングが施されたケースでは、さらに素材が硬化されており、耐摩耗性が強くなっている。

 次にベゼル上に表記されるスケール、クロノグラフ針の色、見返しのリングカラー、ストラップカラーとステッチのカラー、ストラップサイズの順番で選択していく。なお、ストラップについては、レザーだけではなく、ブレスレットも使用可能だ。ストラップもしくはブレスレットはそれぞれ細かく仕様が分けられているため、300以上の選択肢が用意されている。大雑把に紹介するならば、メタルブレスレットはリンクがネジ留めされており、ケース同様チタン製またはチタン+DLCから選ぶことができ、バックルのサイドにプッシュボタンがあるものと7段階の調節が可能なバタフライクラスプが用意されている。

 レザーストラップはというと、オーナーの期待に応えるようにポルシェのカーインテリアに使用されるものと同じ素材が使用され、コントラストを成すポルシェのステッチが効いている。またクイックチェンジシステムが採用されているため、ツールを使用せずにストラップ交換が可能である。

カスタムビルド・タイムピース

ストラップにはポルシェのインテリアに使用されているものと同じレザーが使われている。

自動巻きローターのデザインは911ファン必見

 そして見逃せないのが、その後可能なムーブメントのカスタマイズだ。自動巻きローターのデザインを6種類から選ぶことができるのだが、うち5種類は現行911カレラシリーズなどで使用されるホイールがモチーフとなっている。また、ローターのエッジカラーも変更可能のため、自分の車のホイールエッジとあわせることもできる。なお、ムーブメントはスイスのゾロトゥルンにある自社工場にて開発したCal.WERK 01.100である。C.O.S.C.認定のクロノメーターを取得している同ムーブメントは、約48時間のパワーリザーブを保持している。

ポルシェの縫製で使われているものと同じステッチがコントラストを成す。

 911のクラシックなスピードメーターのスタイルとマッチするミニッツトラックも、27もの選択肢から車の塗装やインテリアのディテールと合わせるように選択できる。最後の仕上げに、ケースバックとスペシャルコレクターズボックスにレーザーエングレービングで入れる、文字を入力する。

カスタムビルド・タイムピース

 コンフィギュレーター上でデザインや仕様を変更するごとに、その仕様にあった価格が表示されるため、予算感を掴みやすいのはありがたい。ポルシェデザインのカスタムビルド・タイムピースで注文した時計の価格は当然オプションによって異なるが、大体6000ドルから1万2500ドルの間に収まる。

 発注から納品までは、ポルシェデザインによるば8〜12週間かかるとのことだ。システム上の選択が終了するとオンラインプロセスが稼働し、部品の調達からデザイン・生産への流れをスケジューリングする。この一連の生産工程の為に、ポルシェデザインは全く新しいシステムを導入する必要があった。

「150万以上もの選択肢のある時計を量産体制に乗せるには、現在の発注・生産システムを大きく見直す必要があった」とポルシェデザインのマネージングディレクター、ロルフ・ブレグマンは語る。「そこではオーナーが自分の車とマッチするクロノグラフをカスタマイズすることができるのです」。

カスタムビルド・タイムピース

ドイツを皮切りに順次スタート

 別のマネージングディレクター、ゲルハルト・J・ノヴァックは、この新しいプログラムをブランド創業者が描いた車づくりのビジョンと時計づくりを近づけるために何年にもわたって行われた努力の結果と位置付ける。「ポルシェデザインの創業者、そしてポルシェ911を生み出したフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェの存在に加え、アイコニックなタイムピースと車製造技術の粋をきちんと融合させる強力なコネクションと術を我々は持ち合わせていました」とノヴァックは語る。「ポルシェデザインにとって、会社の50年にもわたる歴史の中で、時計は常にテーマの中心にあったのです。」

カスタムビルド・タイムピースプログラムは2020年7月にまずドイツでスタートし、その後2020年9月にアメリカが続く予定だ。日本での開始日時は確定していないが、日本のディストリビューターであるノーブル スタイリングによれば導入自体は決定しているとのこと。


Contact info: ノーブル スタイリング Tel.03-6277-1604

【2020新作時計】ポルシェデザイン「1919 クロノタイマー・フライバック ブルー & レザー」


https://www.webchronos.net/news/42669/
ポルシェ・デザインの機能美を感じさせるカラーをまとった「ポルシェ・デザイン カラー・エディション」


https://www.webchronos.net/news/40448/