ロレックス エアキングの魅力とは。系譜や現行モデルの特徴を紹介

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2021.03.23

リーズナブルなエントリーモデルとして人気を獲得し続けてきたロレックス「エアキング」は、2016年発売モデルで本格パイロットウォッチとして生まれ変わった。エアキングの主な歴代モデルや、オンリーワンの魅力を獲得した現行モデルの特徴を紹介しよう。

ロレックス エアキング


ロレックス エアキングとは

ロレックス エアキングは「オイスター パーペチュアル」コレクションなどと並び「エアキング」コレクションに分類されるが、エアキングはペットネーム(愛称)であり、正式には「オイスター パーペチュアル エアキング」と呼ぶ。まずは、このペットネームからエアキングの位置付けを確認していこう。

現行で最も古いペットネーム

オイスター パーペチュアル

オイスターケースに、両方向回転のパーペチュアルローターを搭載した自動巻き機構を組み合わせ、1931年に発表された「オイスター パーペチュアル」のファーストモデル。

ロレックスは1926年に世界初の防水腕時計「オイスター」を発売し、31年には世界初の自動巻きメカニズム「パーペチュアルローター」を開発した。

ここに「オイスター パーペチュアル」の原型が誕生し、以降のモデルにはさまざまなペットネーム(愛称)を与えている。

53年には「エクスプローラー」と「サブマリーナー」、63年には「デイトナ」が発売されたが、「エアキング」が登場したのは40年代である。

エアキングは現行コレクションの中で最も古いペットネームであり、初代オイスターの直系であるオイスター パーペチュアルに次いで歴史の古いコレクションとなる。


エアキングの系譜

エアキングは1940年代に誕生し、50年代に発売されたモデルで象徴的なロゴを獲得。その後さまざまな派生モデルを生み出したものの、2014年にはエアキングのロゴが一斉に消え、事実上の生産終了となった。しかし、2年後の16年に大きく様変わりして復活を果たしている。

比較的大きなモデルチェンジ時のベースモデルを軸に、現行モデルに至るまでのエアキングの系譜を紹介しよう。

ロゴが印象的な初期モデル

初代エアキング(Ref.4365やRef.4925)は1940年代に登場し、50年代には印象的な「Air-King」ロゴをダイアル中央に配した「Ref.5500」が発売された。

このロゴはRef.5500のために特別にデザインされたフォントで描かれており、現行コレクションも含め、数々の歴代モデルに配されている。

Ref.5500はシンプルで視認性の高いダイアルと直径34mmのオイスターケースをベースとし、幾度ものマイナーチェンジを繰り返しながら90年ごろまで販売が続いたロングセラーモデルだ。

大幅なモデルチェンジをしたRef.14000

後期のRef.5500には1万9800振動/時のCal.1520を搭載していたが、1990年に発売されたRef.14000ではムーブメントを変更。2万8800振動/時のCal.3000を搭載し、ハイビート化・高精度化が図られた。

ただし、C.O.S.C.(スイスクロノメーター検定協会)のクロノメーター認定は受けていないため、ダイアルには変わらず「PRECISION」(正確な)と表記されている。

基本的なデザイン要素はRef.5500と共通するが、プラスチック風防は耐傷性の高いサファイアクリスタル風防になり、ペンシル針はよりシンプルなバー針に変更されるなど、随所に改良が加えられた。

一時的な生産終了と現行モデル

エアキング

ロレックス「エアキング」
自動巻き(Cal.3131)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。オイスタースチール(直径40mm)。100m防水。61万5000円(税別)。

Ref.14000は2000年まで販売が続き、01年にはCal.3130を搭載したRef.14000Mが発売された。片持ちだったテンプは両持ちになり、耐久性が向上。さらに、テンプの微調整が容易になったことで精度も向上した。

07年にはRef.114200にモデルチェンジを果たし、ダイアルデザインを一新したほか、ベゼルやラグ、ブレスレット、クラスプにも改良が加えられた。

このモデルからクロノメーター認定を取得したCal.3130を搭載し、信頼性も向上。販売は14年まで続くが、その後はオイスター パーペチュアルコレクションに吸収され、ダイアルのAir-Kingロゴもなくなった。

コレクションとして一時的に姿を消したエアキングだが、16年にはRef.116900として復活を果たし、あらゆる要素を一新させて現在も販売が続いている。


エアキングの魅力

エアキングはリーズナブルなエントリーモデルとして人気を博してきたが、最新モデルでは実用的な耐磁性能も獲得した。ほかのコレクションにはない、エアキングならではの魅力を見ていこう。

優れた耐磁性能

Cal.3131

搭載するのは「ミルガウス」用に作られたCal.3131。ロレックスが特許を取得したブルー パラクロム・ヘアスプリングを使用しており、耐磁性に加え、耐衝撃性もある。

最新のエアキングRef.116900は、高耐磁性モデル「ミルガウス」用に設計されたCal.3131と、ミルガウスと同じ構造のオイスターケースを採用している。

高耐磁性のムーブメントは軟鉄製のインナーケースに収め、専用工具でしか開閉できないねじ込み式裏蓋で固くロックする。

ロレックスは特に言及しないが、堅牢な二重構造のケースと高性能ムーブメントにより、ミルガウスと同等の耐磁性を獲得している点は特筆すべきであろう。

シンプルな設計

ロレックスには高級なケース素材をはじめ、特徴的なベゼルやダイアルを採用したモデルも多いが、エアキングはデザインも機能も至ってシンプルだ。

Ref.116900や多くの歴代モデルは時刻表示機能のみを備えた3針モデルであり、オイスタースチール製のケースとベゼルには目立った装飾がない。

それでいて100m防水や高い視認性を備え、Ref.116900に至ってはミルガウス並みの耐磁性も確保するなど、シンプルデザインでありながら高性能である。

エントリーモデルとしておすすめ

エアキングは長らくシンプル設計の時計として人気を博してきた。ほかのモデルに比べて価格は控えめであり、生産数も多いため入手しやすい。

ロレックス時計の価格は一部モデルを除いて100万円を超えるが、Ref.116900は67万6500円(税込)と比較的購入しやすい価格設定である。

性能面の向上もあって過去モデルより価格は上がったが、高度な耐磁性や視認性を備えるため実用性が高く、エントリーモデルとしておすすめだ。