出演作品が次々とヒットしてきた阿部寛。ファッションモデルからキャリアをスタートさせた阿部寛は、いまやカンヌ映画祭やニューヨーク・アジアン映画祭に出席するなど、海外でも注目される日本を代表する俳優のひとりとなっている。そんな阿部寛の最新出演ドラマが、マスコミの裏側や報道のあり方を鋭い目線で表現する「キャスター」だ。そして阿部寛がドラマの中で着用する時計が、またもやイタリア・ローマにゆかりのあるブランド、ブルガリなのである。

Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年5月11日掲載記事]
高身長と大振りの時計、完璧な調和を生み出す阿部寛のブルガリ愛
日本を代表する俳優のひとりとして、いまや海外の映画祭やイベントにも出席する阿部寛。彼が2016年のカンヌ国際映画祭において着用したのが、ブルガリの「オクト オリジナーレ ウルトラネロ」だった。日本人には若干大振りな41mm径ケースのオクト オリジナーレを、かつてモデルとしても活躍した189cmの高身長ゆえに、阿部寛は難なく着けこなしていた。その姿は実に印象的だったのである。
2012年に誕生したブルガリの「オクト」コレクションは、パテック フィリップの「ノーチラス」やオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」をデザインしたことで知られるジェラルド・ジェンタが2004年に手掛けたモデルを元に、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニが再デザインしたもの。現在、ブルガリの時計コレクションを代表するアイコニックなシリーズとなっているのは、広く知られている通りだ。
報道番組の顔として輝く、阿部寛の腕元に宿るブルガリの存在感
阿部寛が出演する最新TVドラマ作品が、TBS系列で現在放送中の「キャスター」である。このドラマの中で、阿部は視聴率が低迷する報道番組のニュースキャスターとして抜擢される新キャスターを演じている。“世の中を動かすのは真実!”という信念のもと、手段を選ばず圧倒的な存在感と影響力で周囲を巻き込んでいく痛快なストーリーだ。
劇中のエピソードには、実際に起きた事件がインスピレーションの源になっていると推測できるものもあり、またサプライズゲストが登場することでも話題となっている。
阿部寛はこのドラマ作品でもブルガリを愛用していることが、非常に興味深い。
極限の薄さと実用性能を両軸で追求する「オクト フィニッシモ」
キャスターという役柄上、手元がアップになることが多いが、そんな阿部寛の左腕にはブルガリ「オクト フィニッシモ」が確認できる。
ブルガリ「オクト フィニッシモ」は「オクト」コレクションに追加された派生シリーズだ。2014年の登場以来、数多くの時計賞を受賞してきたことでも知られている。薄型時計は普段使いに適さない、という概念を覆し、ムーブメントの薄さでも世界屈指の競争力を誇る。
では、どのようにしてこの薄さを追求してきたのか……。これが「オクト フィニッシモ」のケース径が大ぶりである理由のひとつである。ムーブメントのサイズを拡大することにより、部品を分散させ、積層させないことで薄さを実現する。この手法を極限まで突き詰めた作品が2022年春に発表された「オクト フィニッシモ ウルトラ」だ。

自動巻き(Cal.BVL138)。36石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径40mm、厚さ5.15mm)。30m防水。248万6000円(税込み)。
「オクト フィニッシモ ウルトラ」のケース厚はわずか1.8mmであったが、その発表のわずか3ヶ月半後にリシャール・ミルが発表した「RM UP-01 フェラーリ」の1.75mmに記録が更新されることとなった。しかしその後、再びブルガリの「オクト フィニッシモ ウルトラCOSC」が1.7mmという記録で機械式腕時計の世界最薄記録を再更新。薄さ競争の頂点を競うデッドヒートを繰り広げた。
こうした記録塗り替えの応戦に注目が集まったのは確かだが、「オクト フィニッシモ」コレクションの本懐は、あくまでも実用的な薄型時計という点にある。
ローマを発祥の地とするブルガリに、阿部寛は特別な思いあり?
阿部寛の代表作にも数えられる主演映画「テルマエ・ロマエ」。そのストーリーは、古代ローマを舞台としていた。その接点もあり、阿部寛はローマを発祥の地とするブルガリに、特別な思いを抱いているのではないだろうか。過去にカンヌ映画祭で着用するのみならず、今回は劇中でも着用しているとなると、本人の強い思い入れを感じずにはいられない。
2017年の第2回「ブルガリ アウローラ アワード」。ここで阿部寛は「テルマエ・ロマエ」原作者のヤマザキマリを推薦し、話題となった。この賞は、文化・芸能・政治・経済・医学・社会貢献・スポーツなど様々な分野から比類なき才能と創造性に輝く10名の女性を選出するブルガリ主導の催しだ。もちろんこの時にも、阿部寛はブルガリの時計を着用し、被写体として収まっている。
そんなテルマエ・ロマエは、2013年4月で『コミックビーム』(エンターブレイン)での連載が一旦終了したものの、最終回の20年後を舞台とした続編「続テルマエ・ロマエ」が2024年2月より『少年ジャンプ+』(集英社)で再スタート。連載は2025年5月現在も続いている。このことから、次の映画作品の制作も期待できるだろう。
その映画で、阿部寛が左腕に着けるものは……。想像を膨らませながら、続報を楽しみに待ちたい。
2016年の第69回カンヌ国際映画祭でもブルガリの腕時計を着用!
なお、阿部寛は2016年5月に第69回カンヌ国際映画祭に招待された際にも、ブルガリの腕時計を着用していた。その腕時計とは2016年にオクトシリーズの新作として発売されたブルガリ「オクト オリジナーレ ウルトラネロ」だ。カラーなどからDLC(ダイヤモンドライクカーボン)加工が施されたステンレススティールケースモデルだと推測できる。であれば、発売時期は第69回カンヌ国際映画祭の2カ月前。つまり、阿部寛は当時の最新時計を着用しての晴れ舞台だったということになる。
ジェラルド・ジェンタのDNAが感じられるオクト(八角形)フォルム
1884年創業という長い歴史を誇るイタリアのハイジュエラー、ブルガリ。1970年代より本格的な時計製造を始めた同社は、80年初頭に時計製造会社「ブルガリ・タイム」を設立。2000年には「ジェラルド・ジェンタ」「ダニエル・ロート」を傘下におさめ、創業125周年を迎えた10年には初の自社製ムーブメントを携えて「ウォッチメーカー宣言」をした。

自動巻き(Cal.BVL193)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS+DLCケース(41mm、厚さ10.6mm)。10気圧防水。
オクトの初デビューは2012年である。パテック フィリップの「ノーチラス」やオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」のデザインで知られるジェラルド・ジェンタが04年に手掛けたモデルを元に、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニが再デザインした。オクトは今やブルガリの時計を表現するアイコニックなコレクションだ。