2021年の人気ユーズドウォッチランキングから、ロレックスやオメガなど上位10本を紹介

FEATUREWatchTime
2022.10.26

近年、活気を帯びているユーズドウォッチ市場。今回、世界最大の高級時計を専門とするオンラインマーケットプレイス「Chrono24」の協力のもと、2021年で数多く取引された腕時計のランキングを作成した。そのなかから、上位10本を紹介する。

Originally published on watchtime.net
Text by Katharina Studer
2022年10月26日掲載記事


「Chrono24」のデータから割り出した、2021年の人気ユーズドウォッチトップ10

 ユーズドウォッチの市場は活況を呈している。これにはいくつか理由があり、ひとつには、通常の販売ルートで入手できなくなったモデルや、販売店で長い待ち時間が発生しているモデルをすぐに入手できるからである。また一方では、一旦誰かの所有となった時計であるがゆえに、購入時の価格が節約できるからだ。ユーズドウォッチを安全に購入したいという人向けに、ブランドやディーラーはいわゆる認定中古時計を提供している。これらのユーズドウォッチには、鑑定書や保証書が付随する。

 今回は、2021年で最も人気のあったユーズドウォッチのうち上位10本を紹介する。世界最大の高級時計専門オンラインマーケットプレイス「Chrono24」の協力のもと、2021年1月から12月の間にドイツ、オーストリア、スイスで最も多く取引された腕時計を割り出した。多くの時計愛好家が利用するこのサイトは、目当ての時計の価格を比較したり、世界の時計市場を把握する際に有用だ。希少なモデルのユーズドウォッチが、新品を上回る価格で取引されることもある。

 人気モデル上位10本を見ると、オーデマ ピゲや、ウブロ、パテック フィリップというメジャーブランドの腕時計がランク外にあることは興味深い。やはり人気なのは、オメガ、そしてロレックスだ。


10位 タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ ポルシェスペシャルエディション」

タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ ポルシェスペシャルエディション

タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ ポルシェスペシャルエディション」
自動巻き(cal.ホイヤー02)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。80万3000円(税込み)。(問)LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7054

 タグ・ホイヤーの伝統的なコレクションである「カレラ」が、2021年発表の「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ ポルシェスペシャルエディション」で初めてこのランキングに加わった。

 ポルシェとのコラボレーションにより誕生したこのモデルのデザインは、赤、黒、グレーという特徴的な配色に加え、アラビア数字のフォント、ダイアルの加工など、ポルシェの車やモータースポーツからインスパイアされている。「カレラ」はスペイン語で「レース」を意味し、メキシコで開催されていた伝説のロードレース「カレラ・パンアメリカーナ・メヒコ」にちなんで名付けられたコレクションだ。タグ・ホイヤーは、1988年に復活したカレラ・パンアメリカーナ・メヒコの公式パートナーを務めている。


9位 チューダー「ブラックベイ セラミック」

ブラックベイ セラミック

チューダー「ブラックベイ セラミック」
自動巻き(Cal.MT5602-1U)。パワーリザーブ約70時間。セラミックケース(直径41mm)。200m防水。58万9600円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570

 2021年、チューダーはマットブラックのセラミックケースに、METASによるマスター クロノメーター認定を受けた自社製ムーブメントを搭載した「ブラックベイ セラミック」を発表した。METASによるマスター クロノメーター規格では、ケーシング後の日差が5秒以内(0~+5秒)に抑えられ、1万5000ガウスの超耐磁性能を備えるなど厳しい条件が求められる。それまでオメガが独占していたこの認定をチューダーが獲得したとあって、発表当時、時計業界において大きな話題を呼んだ。

 チューダーは1954年以来、ダイバーズウォッチの生産を続けている。ブラックベイ セラミックにも、12時位置の三角形をはじめラウンドとバー型の混在したインデックスや、時針のスノーフレイク針など特徴的な要素が継承されている。


8位 ブライトリング「クロノマット B01 42」

クロノマット B01 42

ブライトリング「クロノマット B01 42」
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径42.00mm)。200m防水。104万5000円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707

 2020年にリニューアルを果たしたブライトリングの「クロノマット」は、1980年代の魅力的なディテールを再び備えることとなった。これがクロノマットの魅力であり、また人気の理由でもある。

 80年代の特徴を最も明確に表わしているのは、独特の形状を持つルーローブレスレットで、長い筒状のリンクが連なったものだ。回転ベゼルに取り付けられたライダータブも復刻され、「15」「45」表示のものはオリジナル同様に取り外しと付け替えが可能となっている。ムーブメントは、ブライトリングのコラムホイール制御・垂直クラッチを採用した自社製キャリバー01を搭載し、約70時間のパワーリザーブを備えている。キャリバー01は、C.O.S.C.を取得した高精度のムーブメントだ。


7位 ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」

ナビタイマー B01 クロノグラフ 43

ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径43mm)。3気圧防水。107万2500円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707

 2020年のランキングでは15位だったブライトリングのアイコンウォッチ「ナビタイマー」が、21年は7位にランクインした。特徴的な航空用回転計算尺と積算計を特徴とするナビタイマーは、パイロットのみならず多くの時計愛好家を魅了し続けるパイロットウォッチのひとつだ。

 パイロットのための腕時計として1952年に開発されたナビタイマーは、発表当時は燃料消費量や高度、ドリフト角、対地速度などが機上で計算できる、画期的な機能を備えた腕時計であった。ナビゲーション(航法)とタイマー(計時)を組み合わせた名前が、その歴史を物語っている。現在のナビタイマーにはクロノグラフ機能の備わったモデルと備わっていないモデルがあるが、回転計算尺は標準仕様となっている。

 ナビタイマー誕生70周年を祝う2022年に、ブライトリングはコレクションのケースサイズやカラーバリエーションを大きく拡充させた。アイスブルーの文字盤を備えた「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」は、その一例である。ケース径43mmのモデルには、他にもグリーンやカッパー(赤褐色)の新色ダイアルが採用されている。


6位 ロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」

オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ

ロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」
自動巻き(Cal.3285)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。オイスタースチールケース(直径40mm)。100m防水。

 1982年に誕生した「GMTマスターⅡ」は、世界を旅する旅行者や飛行機で各地を飛び回るジェットセッターから、高い支持を得ている。時針、分針、秒針に加えて、先端が三角形になった24時間針を備えており、時針だけを単独で動かせる。ホームタイム(基準時刻)とローカルタイム(現地時間)、またローカルタイムと別のタイムゾーンの時刻、といったように、ふたつのタイムゾーンを同時に表示することが可能だ。

 2022年に発表された、グリーンとブラックの回転ベゼルを備える「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」は、左側にリュウズを配したことで話題を呼んだ。現在、ロレックスのステンレススティール製スポーツモデルに対する需要は非常に高く、ほとんどすべてが新品を上回る価格で取引されている。