タフなカーボン系素材とブルーの配色が心を鷲掴み! パネライ「ルミノール マリーナ カーボテック™️」【クロノス編集部お気に入りの1本】

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2022.12.27

『クロノス日本版』の編集部が、本当に好きで所有している時計について語る。今回、編集部の土井が挙げた1本は、昨年購入したパネライ「ルミノール マリーナ カーボテック™️」。タフな“異素材”ケースが頼もしく、アウトドアや旅行のお供として頼りにしている存在だ。

土井康希(クロノス日本版):文
Text by Kouki Doi(Chronos-Japan)
2022年12月27日公開記事

ルミノール マリーナ カーボテック™️

パネライ「ルミノール マリーナ カーボテック™️」
自動巻き(Cal.P.9010)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。カーボテック™️ケース(直径44mm)。300m防水。183万9200円(税込み)。


「好き」が詰まった1本に出逢う

 振り返れば、2021年はパネライにどハマりした年だった。

 今回紹介する「ルミノール マリーナ カーボテック™️」の購入は昨年の5月16日のことであったが、その2週間前にも「ルミノール マリーナ 8デイズ チタニオ」を購入しているのである。我ながら狂っていたと思う(ちなみにチタニオは知人から安く譲ってもらったもので、今は手元にはない)。

ルミノール マリーナ カーボテック™️

 カーボテック™️を買うきっかけを作ってくれたのは、もちろんチタニオだった。チタニオ用の純正ラバーストラップを探しに、渋谷の某正規販売店に足を運んだところ、前々から気になる存在だったこのカーボテック™️が並んでいたのだ。店員さんの巧みな話術もあってか、その場で即決したことを覚えている。

 しかし、時計を購入する際の高揚感とは恐ろしいもので、金銭感覚が麻痺してしまうのだ。特に、目の前に何としてでも欲しいモノがあると見事にバグる。

 当時の私に(今もだが)100万円をはるかに超える時計を買う余裕などないというのに、入店から30分も経たないうちにカーボテック™️を着けて店を出ていた。


パネライという底なしの沼

ルミノール マリーナ カーボテック™️ ケースバック

チタン製のソリッドなケースバックで見えないが、搭載するのは自社製のCal.P.9010。Cal.P.9000の後継機で、不具合や使いやすさが見直された。およそ1年半が経過した今でも問題なく動作し、購入時から変わらず日差+4~5秒を維持している。時針単独で動かせるが、その代わりカレンダー単体で調整できないため、日付修正の際は少し面倒だ。

 好きで買った時計なので基本的にベタ褒めになってしまうが、無理してでも購入しておいて良かったと思っている。今ではブティックに行けば大抵並んでいるが、購入した当時は流通して間もなく“ちょいレア”な存在だった。

ケース素材はカーボテック™️

 筆者の場合、時計を選ぶ基準は見た目9割、性能が1割だ。機械は二の次で、デザインが良ければそれでいいと思っている。ルミノール マリーナ カーボテック™️は、その名の通りパネライが開発したという独自の素材、カーボテック™️製のケースを採用している。

 このカーボテック™は、カーボンファイバーの薄いシートを、管理温度下で高分子ポリマーPEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)とともに高圧圧縮した層で形成された複合素材であると説明されている。

カーボテック™️ 仕組み

 比較的多いフォージドカーボンケースとは外観で大きく異なり、カーボンファイバーの繊維がそれぞれの層で異なる角度で重ねられているため非常に美しい。筆者はこういう異素材ケースが大好物である。

 素材の特性として衝撃や傷、水分、腐食に強く、炭素繊維であるため軽い。ステンレススティールのルミノール コレクションは130グラム前後だが、本作は96グラム。“デカ厚”が代名詞のパネライだが、見た目の重厚さと筆者にとって重要な「軽さ」を両立している。

カーボテック™️ 素材

 見た目の話で言えば、ダイアルは購入の決定打となった重要な要素だ。パネライ伝統の「サンドイッチダイアル」を採用しており、針同様、アラビア数字を含むインデックスのすべてにスカイブルーがあしらわれた。SIHH2017で突如発表されたコンセプトモデル「LAB-ID™️」を彷彿とさせるカラーリングで、正直この配色に最も引かれた。

 スカイブルーの部分はスーパールミノバが塗布されており、潜水時計らしく明るく発光する。それも通常のグリーンではなく青みがかったグリーン。言わずもがな、暗所での視認性も抜群だ。

ルミノール マリーナ カーボテック™️

44mmの大型ケースは、ラグが短いためか外周14.7cmの細い手首にも収まり良く載ってくれる。このリストショットの通り、蓄光塗料は青みがかかったグリーンだ。

 1分単位のミニッツスケールまでは刻まれていないが、このくらいのユルさが休日時計らしくて良いではないか。表面のザラついた質感も、艶消しのケースとの相性がいい。


着用シーンの広さが楽しい

 パネライの良さは、シーンを気にせずにさまざまな場面で着用できる“気軽さ”だと思っている。筆者がメインで(休日に)使っている時計は5本程度だが、その中でパネライを選ぶ時は大抵、大雨の日・アウトドア・旅行のいずれか。

 カーボテック™️製ケースの軽さ、サンドイッチダイアルの高い視認性、300mの防水性と3拍子そろっている本作は、休日に気兼ねなく使う時計として秀逸な存在だ。パワーリザーブは約72時間であるため、旅行先で時計を止めてしまうことはまずない。

“海の時計”であるパネライは着けて潜ってもいいのだが、船旅との相性が抜群。大洗から苫小牧を結ぶフェリー「さんふらわあ さっぽろ」で過ごすのんびりとした時間は、インデックスで1分を刻まないくらいの時計がちょうどいい。もはや秒針を気にしたこともない。

 購入から1年半以上が経過し、カーボテック™️への愛着は増す一方だ。昨年の夏頃から社外品のストラップに交換して使用しており、スカイブルーが映える自分仕様が気に入っている。

 前述のようにパネライの手持ちは本作1本のみとなってしまったが、パネライ沼とは恐ろしいもので今後また増える可能性が高い。候補は、同じくカーボテック™️ケースの「サブマーシブル」か、ホワイトダイアルにブルーのインデックスを組み合わせた「ルミノール ドゥエ」あたりか。


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