ハリー・ウィンストン 「女もすなるダイヤモンドウォッチ といふものを男もしてみむ」

2017.02.03

ハリー・ウィンストン HW オーシャン・クロノグラフ オートマティック 44mm
3万6000振動/時の高振動ムーブメントを搭載し、ザリウムケース仕様で2015年に発表された「プロジェクト Z9」のケース素材を18Kローズゴールドに変更し、ベゼルとラグにバゲットダイヤモンドを配した世界限定20本のモデル(合計約6.31ct)。フライバッククロノグラフ機能搭載。自動巻き(Cal.HW3304)。37石。パワーリザーブ約50時間。18KRG(直径44mm)。10気圧防水。1479万6000円。

 ジュエラーの意匠にウォッチメーカーのムーブメントを搭載するというコラボレーションはかねてから存在したが、両者がより緊密になり、ジュエリーウォッチとしてだけでなく、時計としても魅力的なクリエイションが実現されているのが最近の傾向と言うことができるだろう。中でも記憶に新しいのが、2013年に話題となった〝キング・オブ・ダイヤモンド〟と称されるダイヤモンドジュエラー、ハリー・ウィンストンのスウォッチ グループへの参入だ。ブランパンとの共同開発ムーブメントを搭載することで一流の専業ウォッチメーカーに比肩する耐久性と高精度を追求するなど、これまでのジュエラーが歩んできた単なるコラボレーションから一歩踏み込んだ意気込みを感じさせる。高品質のVVS+クラスのダイヤモンドを使用することはもちろん、2013年以降のモデルではシリコン製ヒゲゼンマイを採用したムーブメントを搭載するなど、従来のハリー・ウィンストンからさらに進化した実力を発揮している。

「ダイヤモンドジュエラーとしてのハリー・ウィンストンの歴史を決して壊すことのないウォッチメイキングを目指す」とハリー・ウィンストンCEO兼スウォッチ グループ会長のナイラ・ハイエック氏が語ったように、宝石とムーブメント、つまりはジュエラーの感性とウォッチメーカーの技術力が単なる足し算ではなく、極めて掛け算的な相乗効果を見せている点が、昨今のジュエラーによる時計製作の方法論と言うことができる。

 こうした新しい試みが目を引く一方で、老舗ウォッチメーカーが自社内においてダイヤモンドセッティングを強化しているという傾向も見逃せない。宝石に光を取り込むジュエリーとは異なり、時計のセッティングにおいてはムーブメントを守りつつ、いかに限られた空間でダイヤモンドを輝かせるかという制限が課題となる。専門のセッターを抱えて技術を高めようとするその姿は、ダイヤモンドという表現手法が現在、時計業界において見直され、向き合うべき大きなテーマと考えられていることを物語る何よりの証左だろう。ウォッチメーカーとジュエラーという垣根を越えた技巧が求められている今、ダイヤモンドウォッチは新たな展開を迎えているのだ。

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