27年の追求が培った〝セラミックスのオーソリティ〟の精度

2017.03.14

2011年発表の「D-スター」のベゼル(上)と腕時計の完成品(下)。素材は90%のハイテクセラミックスと10%のメタルで構成される「セラモス」。上のベゼルは、セラモスを射出成型後、焼結しただけの状態。複雑な形状を精密に成型できるようになったため、仕上げの切削は1/10mm程度で済むという。ケースとブレスレットの連結部の切り欠き部を見ると、完成品の方が若干面積が広いことから、仕上げのため、表面がわずかに切削されたことが分かる。
矢嶋修:写真
Photographs by Osamu Yajima
鈴木幸也(本誌):取材・文
Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)

ラドーが“セラミックスのオーソリティ”と呼ばれるゆえん。それは、セラミックスの“精度”と言い換えてもいいだろう。
果たして、セラミックスの精度とは、具体的に何を指すのだろうか? ひとつは、セラミックスそのもののクォリティだ。
原料の粒子が均一かつ純度が高くなければ、焼結後、セラミックスは高い硬度を得ることができない。
だが、より困難なのは、複雑なケース形状を切削に頼らず、射出成型と焼結のみによって実現するノウハウである。
ここにこそ、27年の歳月をハイテクセラミックス開発にかけてきたラドーの真骨頂がある。