セラミックスを高級素材に高めたシャネルのクリエイティビティ

2017.03.16

「J12 ハイ ジュエリー」に使用されたバゲットカットが施されたブラック ハイテク セラミック。シャネルは工業用素材として多用されていたファインセラミックスを高級素材として腕時計に採用し、普及させたパイオニア。このバゲットは、高純度なハイテク セラミック特有の美しさと光沢をたたえた“ハイ ジュエリー”と呼ぶにふさわしい輝きを放つ。「インテンス ブラック」の別名を持つJ12の歴史に残る逸品。
矢嶋修:写真
Photographs by Osamu Yajima
鈴木幸也(本誌):取材・文
Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)

「デザインの自由な発想こそが強み」と公言するシャネル。クチュリエとして、多くの人々を魅了してきたメゾンが、腕時計で見せた創造性。それを最も象徴するモデルが、最も新しく、最も成功したコレクション「J12」である。そして、そのクリエイションになくてはならないのが、J12をデザインしたジャック・エリュが追求した「時代を超え、不滅であり、輝くような黒か、まぶしい白」を実現した「ハイテク セラミック」である。今や、シャネルを代表するアイコンとなったJ12が、時計業界に与えた影響をセラミックスの観点から考察する。