【パイロットウォッチ特集】ブライトリングを相棒に、空の安全を守る

2025.06.02

現代におけるパイロットウォッチの在り方を再考する。そんな『クロノス日本版』Vol.98「パイロットウォッチ礼賛」特集を、webChronosに転載。本記事では、実際のパイロットにインタビュー。活動内容や現場での現実とともに、彼らの“時”との向き合い方に注目する。取り上げるのは、ブライトリングとともに空の安全を守る、大小原健さんの話だ。

【パイロットウォッチ特集】現役パイロットは、どのように“時”と向き合っているのだろうか?

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【パイロットウォッチ特集】フライトの大半を共に過ごしたロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」

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三田村優:写真
Photographs by Yu Mitamura
小泉庸子:取材・文
Text by Yoko Koizumi
[クロノス日本版 2022年1月号掲載記事]


Pilot’s Interview 3 大小原健さん

大小原健

 39歳から飛行機に乗り始め45歳で自家用操縦士免許を取得してから空の時間を楽しんでいる大小原健さん。そして現在は8代目AOPA-JAPANの会長として、空の安全管理を守る。そんな彼の左手にはいつも「ブライトリング」がある。


「小型飛行機だからこそナビタイマーの機能を存分に生かせる、そう感じています」

大小原健

大小原さんの愛機、「セスナ 182 スカイレーン」。6気筒エンジンと2枚のプロペラによる、パワーがありながら安定感ある飛行が特徴だ。いまAOPAでは、福島薬剤師会とともに災害時の医薬品輸送訓練の実証実験を行うほか、災害時に小型機が果たすべき役割も考察しており、愛機も実験に参加している。最大の自慢は「丸い計器類が映える美しい内装」とのこと。とくにクルミ材同様に仕上げたコックピットは自慢だ。

 大小原健さんは絵を描くことと精密な機械が好きな少年だった。

「小学校6年生のとき、学習研究社(現学研ホールディングス)の科学雑誌の企画で〝未来の飛行機の構想〞を募集していたんです。当時いつも考えていたのがV/STOL機(垂直/短距離離着陸機)で、オスプレイに似た小型機をデザインして応募しました」

 作品はめでたく最高位に選出され、そのご褒美として贈られたのが飛行機による羽田−伊丹往復の旅だった。

「機体はDC-6B。4発のエンジンを積んだプロペラ機で、バフッと吐き出される煙やバリバリという音はいまでも鮮明に思い出せます」

セスナ 182 スカイレーン

 前回の東京五輪の前年、1963年のことである。だが大人になった大小原さんが進んだのは工学系の道。仕事に邁進すること25年、そんなときにブライトリングと出合う。

「精密機器としてのブライトリングは美しいし、見ていて飽きない。小さい目盛りやダイアルもメカ好きにはたまらない魅力です」と手放しの褒めようだ。最初のブライトリングを手に入れたのは80年代後半、王道の「オールド・ナビタイマー」であった。そして90年、ここでようやく〝パイロット〞という単語が大小原さんの人生に登場する。

「仕事仲間が『飛行機に乗ろうよ、買おうよ』って言い出したんです。すっかりそそのかされちゃって(笑)。乗るなら操縦免許が必要。というわけで免許を取ることになりました」

航空日誌

パイロットの必携品である航空日誌。写真は1990年当時のもの。トレーニングの時間等が細かく書かれ、「これがないと免許が取れない」ほど大切なものだ。

 トレーニング初日は同年9月11日。教官が同乗する飛行訓練を経て、単独飛行訓練に入ったころには飛行機も購入し、操縦練習許可証を持って日本中を自家用機で飛び回っていたという。

「私はブライトリングを持ってから操縦免許を取り、そして飛行機との暮らしが始まりました。だからブライトリングと飛行機はセット。毎日は飛行機に乗りませんが、それでもブライトリングがあれば、『飛行機に乗っているぞ』と、自分の心に証明できる」

 いまの愛機は1975年製「セスナ 182 スカイレーン」。内装は自身で手をかけて最上の仕様に仕上げている。

「最近の小型機はグラスコックピット(アナログ計器やランプ等がなく、すべて液晶ディスプレイに表示される)に代わっていますが、でも私は丸いメーターがいい。飛行機も時計もすべてアナログならば、構造が理解できますから、気持ちが落ち着くんです」

ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ」「オールド・ナビタイマー2」「ナビタイマーB01 クロノグラフGMT」

左から大小原さんにとって3本目となるブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ」。ブライトリング ブティック 東京を訪れた際に「ほかにない柔らかなブルーに引かれた」とのこと。中央は2本目となった1990年代に高い人気を誇った「オールド・ナビタイマー2」。右は4本目の「ナビタイマーB01 クロノグラフGMT」。「ボリュームはありますが、フィット感がいいので、重さを感じませんね」。

 そしてナビタイマーのバックアップ機器としての能力を高く評価する。

「計器類のすべてがダメになっても、左手にある回転計算尺を使えば、飛行時間からスピードが簡単に分かります。そういう高い性能を持っていることが、いまも〝プロフェッショナル仕様〞といわれる理由なんだと思います。回せばいいだけという簡便さもすばらしいし、液晶が消えることもない。むしろ小型機だからこそ、ナビタイマーの真の性能が生きてきますね」

 いま大小原さんはAOPA-JAPANの会長を務めている。活動の柱に置かれているのが小型飛行機の事故をなくすこと、である。

「飛行機はつねに命懸けです。私自身、友人も亡くしましたし、怖い目にも遭っています。でもその一方で空でしか味わえない爽快さは何物にも代えがたく、この相反する魅力が飛行機に乗る最大の理由です。ただ、その魅力を謳歌するには安全確保が最優先。小型飛行機の未来をいまよりも大きく、子どもたちがパイロットを夢見られるように、私のように大人になってからでも夢を叶えられるようにするために安全に飛ぶことが第一条件なんです」

 その安全のためにも、ブライトリングは左手にいるべき相棒なのである。

※Aircraft Owners and Pilots Association/日本オーナーパイロット協会


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