PIAGET ドレスウォッチ薄型化の変遷 / [マイクロローター新時代]ピアジェが見せる極限の技術力

2017.07.06

「ピアジェ アルティプラノ」
自動巻スケルトンモデル

世界最薄の自動巻きスケルトンムーブメントCal.1200Sを搭載した、世界最薄の自動巻きスケルトンウォッチ。ケース厚5.34mmという薄さも驚きだが、優美なカーブを描く、細く削られた地板と受けの美しさは圧巻。彫り込みや空洞を入れる専門職人の技術力の高さを物語っている。直営ブティック限定。18KWG(直径38mm)。3気圧防水。700万円。

Cal.1200S
マニュファクチュール・ド・オート・オルロジュリ・ピアジェにより設計・開発・製造される薄型自動巻きスケルトンムーブメント。Cal.1200Pをベースとして剛性を持たせながら、高度な専門技術によってオープンワークを施している。回転錘にはプラチナ950製のマイクロローターを採用。直径31.9 mm、厚さ2.40mm。自動巻き。2万1600振動/時。26石。パワーリザーブ約44時間。


 1950年代半ばから60年代初頭にかけて、ユニバーサル・ジュネーブやビューレンといったウォッチメーカーが、マイクロローターを採用した自動巻きの開発に力を入れていた。そんな薄型化の波に乗り、伝説的なムーブメントを手掛けたのがピアジェである。

 ピアジェ=薄型高級時計という、現在にも受け継がれる称号を手に入れたのが、1957年に発表された薄型手巻きムーブメントのキャリバー9Pである。厚さわずか2㎜という現在から見ても非常に薄いムーブメントであった。高級時計にふさわしい薄型ではあったが、意外にも堅牢性も兼ね備えていた。大きな3枚の受けは優れた整備性と剛性をもたらし、香箱と干渉して薄型化を妨げないように2番車をオフセットした輪列が特徴だ。そうすることで、受けを薄くすることなくムーブメントを薄くできたのである。