2025年夏に発表されたダイバーズウォッチから、時計ライターの佐藤しんいちがオススメを5本選出

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2025.07.31

2025年も各社から季節に合わせた新作腕時計が発表されており、夏に向けてはスポーティーなダイバーズウォッチや、海にマッチするような、鮮やかなカラーのモデルが多くラインナップされている。そこで今回は、たとえ暑くても着用して出かけたくなるような、“夏時計”として注目の新作ダイバーズウォッチを紹介しよう。

佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
[2025年7月31日公開記事]


夏に着用したくなる、2025年新作ダイバーズウォッチに注目

 Tシャツやポロシャツのスタイリングが多くなる夏は、手首にボリューム感やインパクトを加えるダイバーズウォッチを着用したくなる方も多いのではないだろうか。スタイリング以外の理由を考えても、汗ばみやすく、夕立も多くなる季節には防水性能の高い腕時計が安心だ。また、夏に向けて各ブランドは、海辺のリゾート地にマッチするような鮮やかなモデルを提案しており、それらを日々のスタイリングに取り入れれば気持ちまで明るくなってくる。

 そこで今回は、夏に着用したくなるような新作ダイバーズウォッチをピックアップして紹介してゆこう。

ブランパン「フィフティファゾムス オートマティック」にコンパクトなモデルが登場

ブランパン フィフティ ファゾムス オートマティック

ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」Ref.5007 1130 71S
自動巻き(Cal.1150)。28石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約100時間。SSケース(直径38.2mm、厚さ12mm)。30気圧防水。262万9000円。(問)ブランパン ブティック 銀座 Tel.03-6254-7233

 モダンダイバーズウォッチの祖として知られるブランパンの「フィフティ ファゾムス」に、直径38mmケースのモデルが登場した。近年のフィフティ ファゾムスは、その歴史的背景に加え、機能性・審美性の高いムーブメントを、同じく作り込まれたケースに収めた名作ダイバーズウォッチとして高く評価されている。長らくはケース径45mmが主としてラインナップされてきたが、2024年にはケース径42mmモデルが登場し、選択の幅が広まっていた。

 ここに2025年に追加されたのが、ケース径38mmモデルである。サファイアクリスタルに覆われた逆回転防止ベゼルやポリッシュ仕上げの丸みを帯びたケースといった、従来モデルのデザインコードを守ったスタイリングで、フィフティ ファゾムスのサイズ感に躊躇していたユーザーにとっては朗報となることだろう。従来モデルと異なるのは文字盤の仕上げで、ケース径45mmモデルでは中央と外周で異なる仕上げを組み合わせていたのに対して、本作はサンバースト仕上げが施されており、ツールウォッチのテイストが強められている。

 いくつかのバリエーションが展開されている中で、本記事で紹介するのはステンレススティールの外装にブラック文字盤、そこにブレスレットを組み合わせたモデルである。この他、セイルキャンバスストラップやラバーストラップ、NATOストラップとの組み合わせが用意される。さらに、チタン製ケースにブルー文字盤を、18Kレッドゴールド製ケースにブルー文字盤を組み合わせたモデルも同時に発表されている。

 夏場にピッタリなモデルであるのと同時に、王道的デザインや長袖にも合わせやすいコンパクトなデザインと、季節を問わずコーディネートできるモデルとして活躍してくれることであろう。

オレンジを取り入れたオメガの「シーマスター ダイバー 300M」

オメガ「シーマスター ダイバー 300M」

オメガ「シーマスター ダイバー 300M」Ref. 210.32.42.20.01.006
自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.8mm)。300m防水。97万9000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087

 ダイバーズウォッチの中で高い人気を誇るのが、オメガの「シーマスター ダイバー 300M」である。「シーマスター」は1940年代後半、当時としては高い防水性を備えたマルチパーパスモデルとして登場し、オメガのコレクションの中核を成すモデルに発展した歴史を持つ。オメガは、1957年にプロフェッショナルラインを創設し、そこにダイバーズウォッチの「シーマスター 300」をラインナップ。それが派生して現在のシーマスター ダイバー 300Mや、より高深度対応の「シーマスター プラネットオーシャン」へと系譜がつながっている。

 さて、取り上げるのはオレンジカラーをデザインに取り入れたシーマスター ダイバー 300Mの新作モデルである。オレンジは水中での視認性を確保し、安全のための機能を目立たせるために、「シーマスター プラネットオーシャン 6000M」Ref.215.30.46.21.06.001をはじめとして、オメガのダイバーズウォッチに過去20年にわたって取り入れられてきたカラーである。新作の文字盤デザインは従来モデルを引き継ぎつつ、秒針と3時、6時、9時、12時のインデックスの縁取り、“Seamaster”のロゴにオレンジが用いられている。また、目を引くのが、組み合わされるオレンジのラバーストラップだ。

 歴史から考えれば、本作に用いられるオレンジは機能のための色(他に例を挙げれば、フライトジャケットのライニングに目立つオレンジを用いるなど)が起源であるが、夏場に鮮やかなラバーストラップを着用するのは鉄板のコーディネートであり、オレンジの映える夏の海や青い空を背景に本作を選びたくなる。

刷新されたブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ」

ブライトリング スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40

ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40」Ref.AB3110361L1S1
自動巻き(Cal.B31)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約78時間。SSケース(直径40mm)。200m防水。90万2000円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707

 ラバーストラップが魅力のモデルとして、本年にブライトリングが刷新した「スーパーオーシャン ヘリテージ」をピックアップする。この刷新にあたって、デザインは1957年にリリースされた初期モデルを踏襲しており、針やベゼルのデザイン、メッシュブレスレットが本作のアイコンとなっている。当時のモデルが持つクラシカルなテイストと、近年のブライトリングが持つエレガントさが調和したデザインと言えるだろう。

 注目はデザインだけではなく、搭載ムーブメントのCal.B31も忘れてはならない。自動巻きムーブメントのCal.B31は、3月に発表された「トップタイム B31」でデビューしたばかりの最新ムーブメントである。そのベースは、ブライトリングの代表的な自動巻きクロノグラフムーブメントのCal.01であり、機能を時刻表示に絞りつつ、その基本性能や信頼性を引き上げることをコンセプトとしてCal.B31は開発された。

 基本性能の代表例として、約78時間のパワーリザーブとスイス公式クロノメーター検定協会によるCOSC認定機であることが挙げられ、現代基準で申し分ないものであるほか、5年間の保証が付与される。これらは、ユーザーにとって安心材料となることだろう。

 ピックアップするのは、ケース径40mmの「スーパーオーシャン ヘリテージ B31 オートマチック 40」のグリーンモデルだ。ブライトリングは各コレクションでグリーンモデルをラインナップしており、その色調をコレクションによって調整しているなど、グリーンの使い方がうまいブランドだと筆者は感じている。本作では、彩度を抑えつつ明るさがあり、グレーっぽさも感じられるシックな色調となっている。ここに組み合わされるのが、コレクションのアイコンになっているメッシュブレスレットを模したテクスチャーのラバーストラップで、文字盤と同色のラバーストラップが、本作にポップさを加えている。

不朽の名作『ジョーズ』の公開50周年を祝う、セイコーの記念限定モデル

セイコー プロスペックス JAWS 50周年記念 限定モデル

セイコー プロスペックス「JAWS 50周年記念 限定モデル」Ref.SBDY137
自動巻き(Cal.4R36)。石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径45mm、厚さ13.2mm)。200m防水。世界限定5,000本(うち国内700本)。11万円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室Tel.0120-061-012

 夏と言えば海。海と言えばサメ映画である。そして、本年はサメ映画の金字塔である『ジョーズ』の公開50周年にあたり、それを記念したコラボレーションモデルとしてセイコー プロスペックス「JAWS 50周年 限定モデル」が発売された。本企画で取り上げるならば、これしかない。

 1975年公開のジョーズはスティーヴン・スピルバーグ監督による作品で、スリラーやパニック、アクションといった要素を備え、当時の世界最高興行成績記録を残すまでに至った不朽の名作である。作品を見たことがないユーザーでも、恐怖をあおるBGMを一度は聴いたことがあることだろう。

 コラボレーションモデルのベースとなっているのはセイコーの“タートル”の愛称で親しまれるモデルで、元をたどれば1976年発売の“3rdダイバー”Ref.6306のデザインであり、ジョーズ公開と同時期に販売されていたものとなる。全体のデザインは、海を思わせるネイビーのベゼルインサートと見返し、ラバーストラップと、ジョーズのキービジュアルを思わせるブルーからシルバーに変化するグラデーションで彩られた文字盤によって、爽やかな印象に仕立てられ、作品冒頭の穏やかなリゾート地を思わせる。

 文字盤中央には“JAWS”の赤いロゴが配され、型打ちによって波を模した模様が施されている。よく観察すると、この型押しにはサメが隠れており、光の当たり具合によって浮かび上がってくる仕掛けとなっている。これらは、作中ではサメがほとんど姿を現さず、姿の見えないものに対する恐怖心を煽ったという演出のオマージュなのだ。

爽やかさなら本特集No.1のチューダー「ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”」

チューダー ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”

チューダー「ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”」Ref.M79000-0001
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径37mm、厚さ11.2mm)。200m防水。61万9300円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570

 最後に、ダイバーズウォッチのカテゴリーでありながら、インフォーマルウォッチのようにコーディネートできる爽やかな1本を取り上げよう。チューダーの「ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”」である。ブラックベイは、コレクションの起点となった「ブラックベイ(ケース径41mm)」を中心に、ケース径43mmの大型モデルである「ブラックベイ 68」や、ケース径39mmのクラシカルな「ブラックベイ 58」、回転ベゼルを排した「ブラックベイ ワン」……そのほかGMTモデルやクロノグラフモデルなど、幅広く展開されている。

 今回取り上げるブラックベイ 54は、ケース径37mmのコンパクトなダイバーズウォッチだ。ラインナップの最初となったモデルでは、ブラックのベゼルインサートにゴールドカラーの針やスケール、リベットタイプのブレスレットによってクラシカルな印象に仕立てられていた。これに対してブラックベイ 54 “ラグーンブルー”では、淡く爽やかなターコイズカラーの文字盤全体に細かな波を思わせるテクスチャーを設け、ミラーポリッシュ仕上げのステンレススティール製インサート、5列リンクブレスレットが組み合わされ、ドレッシーなスタイリングに仕立てられている。

 防水性能は本格的なダイバーズウォッチに準ずる200m防水で、COSC認定クロノメーターである自動巻きムーブメントのCal.MT5400を搭載するなど、基本性能は申し分ない。また、女性の着用を想定したカラーリングとサイズ感、高い実用性によって、ユニセックスなダイバーズモデルとして注目のモデルである。

 ケース径37mm、厚さ11.2mmと、一般的なダイバーズウォッチよりもむしろインフォーマルウォッチのサイズ感に近く、5列ブレスレットもその趣を醸し出している。オーナーのコーディネート次第でリゾートにもスーツスタイルにもマッチする1本となるのではないだろうか。


装って街に出たいカラフルなダイバーズウォッチ ランキング10

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