100年近いユンハンス製腕時計の歴史をたどる特別展、ドイツ・シュヴァルツヴァルト地方で開催中

FEATUREWatchTime
2025.08.14

ドイツ・シュヴァルツヴァルトの時計ブランド、ユンハンス。自社の歴史的な腕時計を集めた特別展「ユンハンスの腕時計──時計史のマイルストーン」を、本拠地である町のシュランベルクに位置する企業博物館、ユンハンス・テラスンバウ博物館で開催中だ。1927年に登場した初の本格的な腕時計から、現代の電波・ソーラーモデルまで、約370点の貴重な作品を通して、100年近くにわたる同社の歩みと革新を体感できる。

耐衝撃性を備えたCal.j80を搭載した腕時計。1940年代ごろのものと思われる。
Originally published on watchtime.net
Text by Rüdiger Bucher
[2025年8月14日公開記事]

まもなく100年を迎えるユンハンス製腕時計の歴史

会場のパネル展示は年代ごとに区切られており、それに加えて歴代のユンハンス製腕時計も展示されている。

 ドイツを代表する腕時計ブランド、ユンハンス。このブランドはドイツ南西部、シュヴァルツヴァルト(黒い森)に位置するシュランベルクを本拠地としている。2018年には企業博物館と呼ぶべき、階段状(テランスバウ)が特徴的なユンハンス・テラスンバウ博物館が会館した。ユンハンスが手掛けた腕時計の歴史が100年を迎えることを受けて、この博物館では特別展「ユンハンスの腕時計──時計史のマイルストーン」が開催中だ。そこには数々の記録や革新、そして時代を形作ったデザインが刻まれてきたのである。

初のユンハウス製本格腕時計は1927年に登場

 ユンハンスは1920年代に初めて腕時計を製作した。1927年に発表された同社初の本格的な腕時計は、多くの他ブランドに比べて登場がやや遅かった。世紀の変わり目前後には女性向けの小型腕時計がすでに存在していたが、男性用の懐中時計が腕時計へと置き換わっていったのは第一次世界大戦以降のことである。

耐衝撃構造を備えたNOBRK仕様の腕時計に関するパネル展示。

 1900年ごろ、ユンハンスは年間300万個以上を販売し、一時的に世界最大の時計メーカーとなったが、その中心は目覚まし時計や懐中時計であった。1927年には北米市場向けに、文字盤に「NOBRK(ノン・ブレイカブル=壊れにくい)」と記された耐衝撃構造の腕時計も開発している。

1920年代から2000年代までの約370点

ユンハンス広告

1957年のユンハンスの広告。

 展示は1920年代から2000年代までの年代ごとに区切られて構成されている。ユンハンスのアーキビスト、ノルベルト・グリュンベルガーが収集した約370点が展示され、各年代ごとにテキストや写真、当時の広告、さらには試作機や量産化直前のモデルも並ぶ。スポーツファンにとって興味深いのは、1972年ミュンヘン五輪でユンハンスが公式計時を務めた記録だ。

歴代モデルのハイライト

ユンハンスの手掛けた電波時計「メガ」(左)と「メガ1」(右)。1990年に発表されたデジタル表示の「メガ1」の方が、アナログ表示の「メガ」よりも先に発表された。

 展示品には数多くのハイライトがある。NOBRKのほか、1949年製の自社製コラムホイール・クロノグラフ(Cal.J88を搭載)、1967年に発表された初の電子時計、そして現代の電波・ソーラー腕時計まで幅広い。さらに、初期の「マイスター」や「マックス・ビル」、そしてアップルコンピューターによるパソコン、アップル・ツーシーを手がけたデザイナー、ハルトムート・エスリンガーが設計した初の電波腕時計「メガ1」も展示されており、その左右非対称のケースは、今もなお独特の存在感を放つ。


展覧会開催概要

 ドイツ連邦共和国、バーデンヴュルテンベルク州に位置するユンハンス・テラスンバウ博物館は火曜日から日曜日まで、毎日10時から16時まで開館している。所在地はラウターバッハー通り68番地、シュランベルク(郵便番号78713)。入館料は一般8ユーロ(割引4ユーロ)で、ガイドツアーは事前予約制、最大25名まで、料金は一律50ユーロとなっている。会期は当面の間継続される予定で、終了日は未定だ。



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