カルティエを代表するコレクションのひとつ、「パシャ」を紹介する。その歴史や現行モデルまで、カルティエのスポーティーとエレガンスが融合した腕時計として、老若男女から愛されてきたパシャには、どのような魅力があるのだろうか?

Text by Tsubasa Nojima
[2025年12月18日公開記事]
カルティエの腕時計「パシャ」とは?
「サントス」や「タンク」をはじめ、多くのアイコニックなコレクションを擁するカルティエ。そのひとつである「パシャ」もまた、唯一無二の魅力を放つモデルだ。その登場は1985年。ラウンド型ケースに小さなチェーンでつながれたリュウズプロテクターを備え、アラビア数字インデックスを配したダイアルを採用したパシャは、100m防水を備えたスポーティーウォッチとして誕生した。リュウズプロテクターはねじ込み式となっており、解放することで内部に収められた小さなリュウズを操作できるようになるという仕組みだ。かつてのミリタリーウォッチにならった防水システムを独自の個性にまで昇華させている。
正式な登場自体は1985年であったものの、実はその原型は1943年の時点ですでに確立されていた。パシャという名前こそ与えられていなかったものの、リュウズプロテクター付きのラウンド型のケース、特徴的なラグ、さらにはダイアルまで、そのデザインは瓜二つである。
現在では、「パシャ ドゥ カルティエ」の名称で展開されているパシャ。2020年にリニューアルを遂げ、基本的なデザインを変えることなくブラッシュアップされた。オーソドックスな3針モデルやクロノグラフ、トゥールビヨン、宝飾モデルまで、幅広いニーズに応えるラインナップをそろえている。この後、その一部を紹介しよう。
「パシャ ドゥ カルティエ」Ref.WGPA0031

ダークグレーダイアルと18Kローズゴールド製ケースが上品さを感じさせる。交換用のストラップが付属し、付け替えて楽しむことが可能だ。自動巻き(Cal.1847MC)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KRGケース(直径41mm、厚さ9.6mm)。10気圧防水。322万800円(税込み)。
上品な色合いが魅力のモデル。パシャを象徴する優雅なアラビア数字インデックスをあしらったダイアルをダークグレーに仕上げ、さらにサンレイブラッシュ加工を施すことでエレガントにまとめ上げている。
ケースは18Kローズゴールド製。存在感を与える幅広のベゼル、サファイアをセットしたリュウズ、特徴的なラグなど、一目でパシャだと分かるアイコニックな意匠が魅力。「クイックスイッチ」交換システムが採用されており、気分や着用シーンに合わせてベルトを交換することも可能だ。セミマットグレーのアリゲーターレザーストラップと、ブラックのアリゲーターレザーストラップが付属するため、買い足すことなく付け替えを楽しむことができる。ストラップには18Kローズゴールド製のフォールディングバックルが装着され、腕への着け外しが簡単にできることも魅力だ。
ムーブメントは、機械式自動巻きのCal.1847MCを搭載。カルティエの創業年を冠した、デイリーユース向きのスタンダードなムーブメントだ。
「パシャ ドゥ カルティエ」Ref.WHPA0007

大胆なスケルトンダイアルを採用したモデル。モノトーンのクールなカラーリングやステンレススティールブレスレットなど、汎用性の高さも魅力だ。自動巻き(Cal.9624MC)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径41mm、厚さ10.45mm)。日常生活防水。483万1000円(税込み)。
スケルトン仕様のダイアルとムーブメントを採用した、遊び心あふれるモデル。ダイアルは、インデックスとミニッツトラックを残して大胆に削ぎ落としたうえで、グレーに仕上げている。ブルースティール製のローザンジュ型時分針は、モノトーンの中にアクセントを加えつつ、視認性を向上させることにも寄与している。
ダイアルを通して見ることができるのは、自動巻きムーブメントのCal.9624MCだ。ダイアルの形状に合わせた幾何学的な受けや大きくスケルトナイズしたローター、動力を伝達する歯車の数々を鑑賞することができる。シースルーバック仕様のため、裏面からも楽しむことが可能だ。
ケースはステンレススティール製。リュウズにセットされたサファイアが、時分針とのカラーリングの統一感を生んでいる。スポーティーなステンレススティールブレスレットが装着され、悪天候時でも安心して着用できることもポイントだ。このブレスレットには「スマートリンク」機構が搭載され、オーナー自身で簡単にコマの抜き差しを行い、サイズ調整することができる。クイックスイッチ交換システムによって、ケースからワンタッチでブレスレットを脱着することも可能だ。
「パシャ ドゥ カルティエ」Ref.WSPA0013

男女問わず着用しやすい小径ケースを採用したモデル。ノンデイト仕様のクラシカルなダイアルが、タイムレスな魅力を備えている。自動巻き(Cal.1847MC)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径35mm、厚さ9.37mm)。10気圧防水。112万2000円(税込み)。
直径35mmのコンパクトなケースを採用したモデル。フランケ装飾をあしらったシルバーダイアルに、アラビア数字とバータイプのインデックスとスクエア型のミニッツトラック、ブルースティールのローザンジュ針を組み合わせた、パシャらしいオーソドックスなデザインが魅力。デイト表示がないため、よりクラシカルな印象だ。
パシャを象徴するチェーンで繋がれたリュウズプロテクターは、小径ケースのためか、41mmケースモデルに比べて強調されている。リュウズトップにはシンセティック スピネルがセットされ、さりげない輝きを添える。防水性能は、しっかりと10気圧を備えており、天候や季節を問わず着用しやすい。
スマートリンクシステムを搭載したステンレススティールブレスレットの他、ネイビーのアリゲーターレザーストラップが付属し、クイックスイッチ交換システムによって簡単に交換することができる。
ムーブメントは、自社製自動巻きのCal.1847MCを搭載し、シースルーバックから鑑賞することが可能だ。
「パシャ ドゥ カルティエ」Ref.WHPA0010

フライングトゥールビヨンを搭載したコンプリケーションウォッチ。温かみのある色合いが、手元を上品に飾る。手巻き(Cal.9552MC)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KPGケース(直径41mm、厚さ10.45mm)。日常生活防水。1504万8000円(税込み)。
パシャ ドゥ カルティエにラインナップするコンプリケーションウォッチ。温かみのあるフランケ仕上げのダイアルに、立体的なインデックスを備え、6時位置にフライングトゥールビヨンを配した、繊細さと大胆さを兼ね備えたデザインが魅力だ。
トゥールビヨンは60秒で1回転し、開口部の周囲に配された目盛りと合わせることで秒針として機能する。上部からブリッジで支えないフライングトゥールビヨンのため、内部構造をじっくりと鑑賞できることに加え、浮遊しているかのようなミステリアスな印象に仕上がっている。アラビア数字インデックスとミニッツトラックはブラックカラーを採用し、視認性も十分に確保されている。
ケースは18Kピンクゴールド製。直径41mm、厚さ10.45mmと、複雑機構を搭載しながらも日常使いしやすいサイズ感を実現している。シースルーバックを採用し、機械式手巻きムーブメントのCal.9552MCを鑑賞することが可能だ。ストライプ装飾と面取りが施されたメインプレートや、ダイアル側へ光を取り込みつつフライングトゥールビヨンを支えるためのブリッジなど、職人技の冴え渡るムーブメントを楽しむことができる。
ベルトは、ブラックとダークグレーの2本のアリゲーターレザーストラップが付属し、クイックスイッチ交換システムによって交換することができる。
「パシャ ドゥ カルティエ」Ref.WHPA0006

フライングトゥールビヨンを搭載したハイエンドなパシャ。スケルトン仕様のダイアルとムーブメントを採用し、内部機構をじっくりと鑑賞することができる。手巻き(Cal.9466MC)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KPGケース(直径41mm、厚さ10.45mm)。日常生活防水。1834万8000円(税込み)。
フライングトゥールビヨンを搭載したスケルトンウォッチ。インデックスとミニッツトラックを梁のように残してスケルトナイズされたダイアルを採用し、内部のムーブメントを詳らかにしたデザインが与えられている。
ダイアル6時位置にはフライングトゥールビヨンが配され、精緻に組み上げられたキャリッジが、ゆったりと回転する様子を楽しむことが可能だ。インデックスやミニッツトラックをグレーで仕上げ、ブルースティールの時分針を組み合わせることで、スケルトンウォッチでありながらも実用的な視認性を保っている。
内部に搭載された手巻きムーブメントCal.9466MCは、表側だけではなく、裏側からも鑑賞することが可能だ。隅々まで仕上げられた部品や輪列の流れを視覚的に楽しむことができる。
ケースは、18Kピンクゴールド製。コンプリケーションウォッチにふさわしい華やかさと、日常生活防水を備えている。リュウズトップで輝くのはサファイアだ。
ブラックとダークグレーの2本のアリゲーターレザーストラップが付属し、クイックスイッチ交換システムによって、好みに合わせてワンタッチで交換することが可能。



