H.モーザーのプレミアムなCPO(正規認定中古)ウォッチを取り扱うことで時計愛好家から熱い視線が注がれている「NX ONE」。しかも、同店が支持されている理由は、単に稀少で価値のある時計を扱っているからではない。ブランドによって真正と認められ、品質が保証された時計のみを販売しているからこそ、高い信頼を得ているのである。
Photographs by Eiichi Okuyama
竹石祐三:編集・文
Edited & Text by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2025年11月号掲載記事]
H.モーザーのプレミアムなCPOウォッチ

“ブルーホライズン”と名付けられた、色鮮やかなブルーでダイアルを彩った日本限定モデル。ブランドを象徴する“フュメ”ダイアルと、流麗なラインを描くケースとのコンビネーションが優美な表情を生み出す。2018年に20本のみ発売されたモデルだが、こうしたレアピースに出合えるのもNX ONEの醍醐味だ。
ブランドロゴに掲げられた〝VERY RARE〞のスローガンが示す通り、H.モーザーはブランドの再興以来、稀少性の高い時計をリリースし続けてきた。現在、年間の生産本数は約4000本。1モデルにおける流通本数は少なく、しかも近年では、少量生産かつ個性的な時計製作を行うスモールメゾンの時計に注目が集まっている。そのため、H.モーザーの時計もこれまで以上に注目されることとなり、入手はより困難を極めることとなった。

こうした状況に風穴を開けたのが、2012年に東京・銀座にオープンしたNX ONEである。「プレミアムウォッチセレクトショップ」を謳う同店ではオープン以来、リシャール・ミルに代表される稀少性の高いCPOウォッチを扱ってきたが、20年からは、同店におけるもうひとつの柱として、H.モーザーのCPOウォッチの取り扱いも開始。つまり、中古ではあるものの、H.モーザーの超稀少なタイムピースを手に入れられる、新たな道筋が示されたのである。
もっとも、単に中古品であるならば、品揃えを充実させた中古時計の専門店に行けば手に入るかもしれない。だが、NX ONEで購入できるのは、ブランドによってその時計が真正であることが認められ、なおかつ品質も保証されたCPOウォッチである。そのため、NX ONEで扱っている時計はすべて、厳密なプロセスを経てから販売される。
ミッドナイトブルーのグラデーションダイアルが目を引く2019年発売モデル。ケースは18KレッドゴールドとブラックDLC加工を施したチタンを組み合わせた独創的なクリエイションながら、スポーツモデルらしく12気圧の高い防水性を備える。
NX ONEのH.モーザーのCPOウォッチは、スイス・シャフハウゼンにあるH.モーザーの本社、またはブランドの公認を受けている日本国内の時計師に送られ、精度調整や品質検査はもちろん、外装の仕上げも行ったうえでNX ONEへと戻される。しかも、こうした丁寧なプロセスを経て販売されているという事実を明らかにするべく、CPOウォッチの購入時にはH.モーザー本社が発行する正規認定中古時計の保証書が付き、購入から2年間はブランドのアフターサービスが受けられるようになっている。ブランドを介さない業者によって販売されている、どのようにメンテナンスされているのか分からない一般的な中古品とは異なり、絶対的な安心感を与えてくれるのはNX ONEの大きなメリットと言えるだろう。

そしてもうひとつ重要なのが、価格設定だ。異常な高騰が続く二次流通市場に対し、NX ONEはオープン以来、貴重なモデルを適正な価格で販売するという姿勢を崩さない。時計への安心感だけではない。本当に価値のあるモデルを、適正な値付けを行いながら次の世代につないでいくという確固としたスタンスがあるからこそ、NX ONEには愛好家の厚い信頼が寄せられているのである。
住所/東京都中央区銀座8-4-2
営業時間/11:00~19:00
定休日/火曜
www.nxone.jp