創業者にオマージュを捧げたロジェ・デュブイ「オマージュ ラ プラシード」。原点回帰した30周年記念モデル

2025.12.09
PR:ROGER DUBUIS

2025年に創業30周年を迎えたロジェ・デュブイ。今でこそ革新性を前面に打ち出した実力派ブランドとして知られるが、その原点にあるものは、故ロジェ・デュブイが大切にしてきた「先人たちへのオマージュ」だ。伝統を重んじることと、デザイン性の進化は、異なっているようで実は同じ。生前そう語っていた彼の想いは、没後8年を経た2025年、彼が育てた後進たちの手で、「オマージュ ラ プラシード」へと結実した。

オマージュ ラ プラシード

オマージュ ラ プラシード
創業者自身とメゾンの歴史に“オマージュ”を捧げる30周年記念モデル。プラシード(穏やかな人)というモデル名は、ボーイスカウト時代のロジェ・デュブイ氏に贈られた愛称。自動巻き(Cal.RD1472)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KPGケース(直径38mm、厚さ11mm)。3気圧防水。世界限定28本。2123万円(税込み)。
鈴木裕之:文
Text by Hiroyuki Suzuki
Edited by Yousuke Ohashi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2026年1月号掲載記事]


創業者ロジェ・デュブイに捧げる時を超えた“オマージュ”

 2025年に創業30周年を迎えたロジェ・デュブイ。同社は4月開催のW&WGから一貫して、共同創業者となった故ロジェ・デュブイ氏にオマージュを捧げるモデル群を発表してきた。その集大成となる1本が、原点回帰とも呼ぶべき「オマージュ ラ プラシード」だ。

ロジェ・デュブイ

ロジェ・デュブイ
1938年、レマン湖畔の小さな町ヴヴェイに生まれる。ジュネーブ時計学校を卒業後、ロンジンに勤務。66年からパテック フィリップに移籍し、複雑時計部門の責任者として腕を振るった。後にロジェ・デュブイを設立。数多くのムーブメントの開発に際してアドバイスを行ったほか、「ジュネーブの時計師」としての設計思想や哲学を後進に伝えた。2004年に一度ブランドを離れるが、12年に復帰。後進の育成に尽力し、17年没。

 1938年にヴォー州のレマン湖畔に位置するヴヴェイに生まれたデュブイ氏は、ジュネーブ時計学校を卒業した後はロンジンに勤務。66年からはパテックフィリップに籍を移し、複雑時計部門の責任者として腕を振るってきた。全モデルを28本のリミテッドピースとした初期の作品群は、オールドパテックにも似た風合いを持つと評判を取り、今なお時計愛好家たちから高い評価を得ている。そうした中でも、96年に発表されたオリジナルの「オマージュ」コレクションは、まさしくロジェ・デュブイの原点だ。その名に込められた氏の想いは、彼を導き、インスピレーションを与え続けた先達たち、特に才気溢れるジュネーブの時計師たちに向けたオマージュだった。晩年のインタビューで、彼は筆者にこう語っている。

オマージュ ラ プラシード

ダイアル上のカレンダー表示部分に置かれたマザー・オブ・パールのインレイ。ムーンディスク自体は、アベンチュリンガラスの地板に18KYG製の月相表示を載せている。各カウンターの縁に設けられた幅広のアングラージュは、多層レイヤー構造のダイアルを一層引き立たせるディテール。ムーブメントに施される面取りと同様の深さを持ち、鋭利な輝きを放つ。

「伝統を重んじることと、デザインが進化することは、異なっているようで実は同じことなのです。私が時計師としてキャリアを重ねる間にも、多くの分野が進歩しました。しかし手仕事をリスペクトする気持ちは変わりません。産業革命期にジュネーブの時計師たちは、機械化によって自分たちの誇りが駆逐されることを恐れた。それがジュネーブ・シールにも繋がってゆくのですが、私は彼らが守ろうとした誇りをリスペクトするのです」

 現代のロジェ・デュブイは、自ら「ハイパーオロロジー™」を理念として掲げ、高級時計の既成概念を破壊するような大胆な作風で知られている。そこに改めて復活を遂げた現代の「オマージュ」は、現代的なディテールワークの中に、落ち着いた古典の息遣いを感じさせる良作だ。

バイレトログラード機構

ロジェ・デュブイ氏自身が、1989年に共同特許を取得したバイレトログラード機構。このモデルではデイデイト表示として用いられる。楕円を切り取ったようなデザインの「エクリプティック・カウンター」は、古典美の中にロジェ・デュブイらしい現代性を潜ませる。

 ベースムーブメントは、2004年に発表された初の自社製自動巻き「RD14」をリプロダクトしたもの。丹念に施された各部の仕上げやスワンネック緩急針が目を引くが、輪列そのものを再計算して軸配置まで改めた、実質的な新規設計機だ。これに組み合わされるバイレトログラード表示の連続型永久カレンダーモジュールは、1999年初出の「RD72」がベースだが、こちらも全面的な手直しが加えられている。ベースムーブメントとモジュールに大幅な改良が加えられた理由は、当時と現在ではジュネーブ・シールの認証基準が異なるためだ。

Cal.RD1472

実質的な新規設計機となった「Cal.RD1472」。ベースムーブメント、モジュール共に原型機が存在するが、輪列設計から再構築されている。これは現代のジュネーブ・シール、特に2012年から適用されているクロノメトリー(ケーシング状態での日差測定)の基準に適合させるため、全体的なブラッシュアップが図られたものだ。

 一見クラシカルに見えるダイアルも、ロジェ・デュブイ特有の現代性を感じさせる多層レイヤー構造だ。デュブイ氏が好んだバイレトログラードのデイデイト表示(1989年にアジェノーのジャン-マルク・ヴィダレッシュと共同特許を取得)は、大胆な楕円形に切り取られた「エクリプティック・カウンター」内に配置。月と閏年は12時位置の同軸、ムーンディスクはアベンチュリンに18KYG製の月相表示を配している。また、各カウンターの縁には幅広のアングラージュが施され、立体的な輝きを放つ。ダイアルの青は「レマンブルー」と呼ばれ、デュブイ氏が時計学校へ通う際に車窓から眺めていたレマン湖へのトリビュートカラーだ。

 創業者が過去の傑作に捧げたオマージュを、創業30周年モデルとして再びオマージュする。その圧倒的な完成度は、今のロジェ・デュブイの高みを示している。

オマージュ “スクーン・アル-ライル”

オマージュ “スクーン・アル-ライル”
11月のドバイ ウォッチ ウィークでお披露目されたユニークピース。ギヨシェを施したアストラルブルーダイアルが、モデル名の「夜の静寂」を体現する。自動巻き(Cal.RD1472)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。Ptケース(直径38mm、厚さ11mm)。3気圧防水。世界限定1本。2750万円(税込み)。



Contact info:ロジェ・デュブイ 銀座ブティック Tel.0120-151-995


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