1968年に登場したセイコーのダイバーズは、ワンピース構造の300m防水に加え、精度も随一。世界的に見ても最高水準のモデルだった。その「1968」を受け継ぎ、セイコー最高峰のムーブメントを搭載。そしてダイアルやベゼルに美しい意匠を施したハイエンドなモデルが誕生した。国産ダイバーズの金字塔の系譜に連なる魅惑の腕時計。スペックもストーリーも当代随一である。

鏡面仕上げのラグ、流線形の美しいフォルム、機能を前提とした造形美はため息もの。4時位置のリュウズは、1968年に登場したオリジナルモデルにオマージュを捧げた。ダイアルには高輝度ルミブライトを採用し、暗所でも高い視認性を確保。また、ワンプッシュでベルトのサイズ調節が可能なダイバーアジャスター方式の新型バックルを搭載し、より扱いやすく改善されたのも特筆すべき点だ。自動巻き(Cal.8L45)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径42.6mm、厚さ14.1mm)。300m空気潜水用防水。50万6000円(税込み)。
石川英治:スタイリング
森下隆太:編集・文
[OCEANS WATCH 2026年9月号別冊掲載記事]
冒険家たちを支えた歴史とロマンを手元に
「日本人は妥協しない」と海外の職人たちは口を揃える。舶来品と同種のものを国内で作れば、本家の性能を超えてしまうことがたびたびあったからだ。セイコーがダイバーズウォッチを世に送り出したのは1965年のこと。海外からは10年ほど後れをとっていたが、翌年から南極観測隊の面々が使用するなど、過酷な極地での活動でも名を上げた。そして3年後の1968年には、後継の300m防水モデルが登場する。

裏蓋のないワンピース構造で極限まで機密性を高め、また毎秒10振動のハイビートムーブメントを搭載。高い精度でその名を世界に知らしめ、日本が誇る偉大な冒険家・植村直己のエベレスト登頂の際にもこの時計が手元にあった。その精神性と技術はセイコー プロスペックスのフラッグシップシリーズ「マリンマスター」に引き継がれ、今夏、新たなムーブメントを載せたプレミアムな1本が生まれた。

艶やかなベゼルと梨地のダイアル、鏡面仕上げのラグが美しさを引き立てる
まず、特筆すべきは300m空気潜水用防水という原点に立ち返ったこと。200m防水とは、やはりひと味違う高揚感をもたらしてくれる。プロフェッショナルツールらしい質感のある梨地調のダイアルは、視認性の高さと、見た目の美しさを両立。ステンレススティールの無機質なブレスレットと、セラミックベゼルの艶やかな光沢の妙も、ラグジュアリーなムードを高めてくれる。

ムーブメントには堅牢性を損なわず、高い精度を誇るCal.8L45を採用。そこには、国産初のダイバーズという正史を受け継ぐ、揺るぎない信頼性、積み上げた技術に裏打ちされた美学がある。スーツスタイルにはスポーティーな洗練を、カジュアルな装いには威厳を授けてくれるのだ。まさに正統派にして至高。手元に確かな存在感と未知を希求するロマンを与えてくれる1本である。

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