ロレックス「オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ」は常に高い人気を誇るクロノグラフウォッチのひとつだ。だが、もちろん優れたクロノグラフはデイトナだけではない。高いプレステージ性と強い個性、そして自社製ムーブメントを備えた7本のクロノグラフウォッチを紹介していこう。

[2026年9月24日公開記事]
デイトナだけじゃない、自社製ムーブメントを備えた名門ブランドのクロノグラフウォッチ
ロレックス「オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ」は、何十年もの間、高級腕時計市場において最も人気のあるモデルのひとつであり続けてきた。現行のステンレススティールモデルは、ホワイトまたはブラックの文字盤、40mm径のオイスターケース、タキメータースケール付きのブラックセラミックベゼル、100mの防水性能を備えている。ケースバックはクローズドで、プラチナモデルのみがシースルーバックとなっている。技術面では、垂直クラッチを備えたコラムホイール、約72時間のパワーリザーブを備えた自社製自動巻きムーブメント、Cal.4131を搭載している。
デイトナが優れた腕時計であることに異論はないが、時計業界には他にもたくさんの優れたモデルが存在する。今回はいくつかのブランドから、デイトナの対抗馬となる、高いプレステージ性、スポーティーな外観、そして自社製ムーブメントを備えたモデルを紹介していこう。デイトナより手ごろな価格ものも高額なものも含まれるが、全て自らの個性をしっかりと持った力強いクロノグラフウォッチばかりである。

自動巻き(Cal.4131)。パワーリザーブ約72時間。オイスタースチールケース(直径40mm)。100m防水。249万9200円(税込み)。
オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」

手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。50m防水。136万4000円(税込み)。(問)オメガ Tel. 0570-000087
オメガの「スピードマスター」ほど、デイトナに匹敵する確固たる歴史を持つクロノグラフは他にないだろう。1957年にレーシングクロノグラフとして発表されたスピードマスターは、1965年にNASAの認定を受け公式装備品として採用。その数年後、アポロ11号と共に初めて月面に降り立った時計となった。
2024年に発表されたホワイトダイアルの「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」は、ホワイトダイアルを備えたデイトナの有力な対立候補となるだろう。ツヤのあるラッカー仕上げの文字盤は、ブラックのアプライドインデックス、ブラックのスケール、レッドの「Speedmaster」ロゴと組み合わされている。陽極酸化処理を施したアルミニウム製のブラックタキメーターベゼルと、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げを組み合わせた5連のステンレススティール製ブレスレットは、“ムーンウォッチ”モデルのデザインコードを受け継いだものだ。
技術面において、スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナルとデイトナは大きく異なる。ロレックスのCal.4131が自動巻きで約72時間のパワーリザーブを備えているのに対し、本作が搭載するオメガのCal.3861は手巻きで、パワーリザーブは約50時間である。これは、オメガの伝統を受け継いでいる証でもある。月へと行った初期のスピードマスターに搭載されていたCal.321、そして後継のCal.861、Cal.1861も手巻きであった。マスター クロノメーター認定を取得した現行のCal.3861は、歴史が培ってきた設計とコーアクシャル脱進機、非常に高い1万5000ガウスの耐磁性能を備えている。
防水性能においては、デイトナが100mの防水性能を備えているのに対し、スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナルの防水性能は50mだ。ケースサイズは本作が直径42mm、デイトナは直径40mmと、本作の方が少しだけ大きいサイズとなっている。
オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク クロノグラフ」

自動巻き(Cal.4401)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41 mm)。50m防水。
プレステージ性においてデイトナを上回るのが、オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク クロノグラフ」だ。もちろん価格もより高額である。1972年に発表された「ロイヤル オーク」は、ステンレススティール製のラグジュアリーなスポーツウォッチというジャンルを確立し、8つのビスを備えた八角形ベゼル、そして一体型ブレスレットによってアイコンとなった。
1997年、コレクションの25周年にあたって誕生したRef. 25860STは、ロイヤル オーク初のクロノグラフとなった。Ref.26240ST.OO.1320ST.05は、直径41mmのステンレススティール製ケース、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが施されたリンクを備えたブレスレットが組み合わされており、このブレスレットを見ただけでもすぐにロイヤル オークだと識別できる。
文字盤にはロイヤル オークの歴史的なカラーである「ナイトブルー、クラウド50」を採用し、有名なグランドタペストリーのパターンが施されている。厚さ12.4mmのケースは、サファイアクリスタル製ケースバックとデイト表示を備えながらも、比較的薄く仕上がっている。ラグジュアリースポーツウォッチであるロイヤル オークの防水性能は50mにとどまる。
本作が搭載するオーデマ ピゲの自社製自動巻きムーブメントCal.4401は、コラムホイールと垂直クラッチを備えた一体型クロノグラフであり、フライバック機能を備えている。そしてデイトナと同じく、現代のハイクオリティな時計に求められる約70時間のパワーリザーブを保持している。2019年に発表されたスケルトン加工のローターを備え、洗練された仕上げが施されたCal.4401は、ケースバックから鑑賞可能だ。
ブライトリング「クロノマット B01 クロノグラフ 42」

自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。SSケース(直径42mm、厚さ13.77mm)。20気圧防水。138万500円(税込み)。(問)House of Brands Japan Tel.0120-105-707
オメガのスピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナルに続き、デイトナの対抗馬となりうるのがブライトリングの「クロノマット」だ。これは、数年前にデザインを刷新し、アイコニックなルーローブレスレットを採用したモデルにもあてはまる。
クロノマットの歴史は1984年にさかのぼる。当時ブライトリングのオーナーであったアーネスト・シュナイダーが、ブランドの100周年を記念してクロノマットを発表した。そのデザインは、イタリアのアクロバット飛行チーム「フレッチェ・トリコローリ」のために開発したクロノグラフをベースとしていた。ベゼル上に配された4つのライダータブなどのディテールは、現在でもこのラインを特徴づけている。筒状のリンクを持つルーローブレスレットは当時のモデルの特徴のひとつであり、ブライトリングのCEOであるジョージ・カーンによって数年前に復活した。
2026年にリニューアルされた最新世代のクロノマットは、よりスリムで一体感があり、従来のモデルよりエレガントなものとなっている。42mm径のステンレススティール製ケースとルーローブレスレットの接合部は、より一体感のある構造となり、ブレスレットには両サイドで微調整可能なクラスプが付属している。特に喜ばしいのは、ブライトリンクがケースの厚さを15.1mmから13.77mmへと抑えた点だ。コントラストの効いたインダイアルを備えたホワイト文字盤は、ブライトリングが多くのカラー文字盤を投入する以前に知られていた、モノトーンの外観を思わせる。
技術面にも目を向けてみよう。搭載する自社製の自動巻きムーブメントCal.B01は、コラムホイールと垂直クラッチを備えたクラシックかつモダンなクロノグラフムーブメントだ。COSC公認の高い精度と、約70時間のパワーリザーブを備える。防水性能においては、ブライトリングはデイトナをしのぐ200m防水となっている。クロノグラフとしての伝統と高性能な自社製ムーブメント、そして日常での高い実用性を備えた、堅牢なクロノグラフウォッチが欲しい方におすすめだ。
ゼニス「クロノマスター スポーツ」

自動巻き(Cal.エル・プリメロ 3600)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm)。10気圧防水。165万6600円(税込み)。(問)ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861
ゼニスの「クロノマスター スポーツ」ほど、ロレックスのクロノグラフに対して歴史的なつながりを持つ対抗馬は他にはないだろう。1988年から2000年にかけて、ゼニスは伝説的な自動巻きクロノグラフムーブメントであるエル・プリメロを供給し、初代の自動巻きデイトナに搭載されていたロレックスのCal.4030のベースを提供していた。ロレックスはエル・プリメロにデイトナのための改修を施し、特に振動数を3万6000振動/時から2万8800振動/時に落としている。
2021年に発表されたクロノマスター スポーツは、1969年に誕生したエル・プリメロの伝統を、その最新世代であるCal.3600とともに現代的な形で受け継いだモデルだ。コラムホイールと垂直クラッチを搭載した一体型クロノグラフムーブメントは、ゼニスの特徴である3万6000振動/時というハイビートで駆働し、1/10秒の計測を可能としている。決定的な進化は、1/10秒の表示が前面に押し出された点だ。センターのクロノグラフ針は文字盤を10秒で1周し、これにより1/10秒が直接表示できるようになっている。サファイアクリスタル製のケースバックからは、ブルーのコラムホイールとスケルトン仕様のローターが鑑賞できる。
ケースサイズは、デイトナをわずかに上回る直径41mmである。ホワイト文字盤、ステンレススティール製のブレスレット、ブラックセラミックス製ベゼルを備える本作は、ブルー、アンスラサイト、ライトグレーの重なり合う3つのインダイアルが特徴的だ。タキメーターではなく1/10秒の目盛りが刻まれたベゼルも特徴のひとつだといえるだろう。
ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ・クロノグラフ」

自動巻き(Cal.5200)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約52時間。SSケース(直径42.5.mm、厚さ12.67mm)。15気圧防水。624万8000円(税込み)。(問)ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755
ヴァシュロン・コンスタンタンの「オーヴァーシーズ・クロノグラフ」は、価格面においてもウォッチメイキングの面においてもデイトナより上位に位置付けられるモデルだ。ヴァシュロン・コンスタンタンは、1996年にオーヴァーシーズをラグジュアリースポーツウォッチとして発表した。そのデザインの根幹は1977年発表の伝説的なモデル「222」まで遡る。現行モデルは2016年に誕生し、オート・オルロジュリーらしいハイクオリティな仕上げと、このクラスの中でも非常に堅牢な構造を兼ね備えている。
シルバーカラーのラッカー仕上げ文字盤と、サテン仕上げが施された3つの黒いインダイアルを備えるのがRef.5520V/210A-B686だ。直径42.5mmのステンレススティール製ケースは、クロノグラフとしては薄い厚さ12.67mmであり、一部にポリッシュ仕上げとサテン仕上げが施されたブレスレットへとつながっている。独特なデザインのベゼルは、ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルであるマルタ十字をオマージュしたものだ。そして4時と5時位置の間には、日付表示窓が配されている。
搭載する自社製自動巻きムーブメントCal.5200は、コラムホイールと垂直クラッチを備えた一体型クロノグラフだ。ツインバレルにより約52時間のパワーリザーブを持つ。サファイアクリスタル製ケースバックからは、精巧に装飾されたこのムーブメントを鑑賞することができる。またヴァシュロン・コンスタンタンの多くの時計がそうであるように、本作とそのムーブメントはジュネーブシールの基準を満たしている。
本作は、ベゼルと同じくマルタ十字をモチーフにしたステンレススティール製ブレスレットに加え、ブラックのラバーストラップとブラックのカーフスキンのストラップが付属する。一体型クイックチェンジシステムを備えているため、ブレスレットからストラップへの付け替えは簡単に行うことができる。
タグ・ホイヤー「カレラ クロノグラフ スポーツ」

自動巻き(Cal.TH20-00)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.2mm)。100m防水。99万8800円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7030
1963年にジャック・ホイヤーが開発した「カレラ」はデイトナ同様、時計史における偉大なモータースポーツ・クロノグラフのひとつである。その名前はかつて行われていたカーレース「カレラ・パナメリカーナ」に由来し、誕生当初から優れた視認性とハイスピード走行時の使用に重点が置かれていた。
Ref,CDB2113.BA0054は、カレラの豊かな歴史と伝統を受け継いでいる。直径42mmのステンレススティール製ケースに、サンレイ仕上げを施したシルバーカラーの文字盤を組み合わせ、黒い3つのインダイアルがいわゆる「パンダ文字盤」と呼ばれる外観を生み出している。セラミックベゼルはサブダイアルやフランジと同じブラックだ。H型のステンレススティール製ブレスレットがスポーティーな雰囲気を強調し、サファイアクリスタル製のケースバックからはムーブメントを鑑賞できる。ただし14.2mmというケース厚により、時計全体はがっちりとした印象だ。
本作は自社製自動巻きムーブメントのCal.TH20-00を搭載する。このムーブメントはコラムホイールと垂直クラッチを備えた一体型クロノグラフムーブメントであり、ロレックスのCal.4131と同じ設計上の特徴を備えている。Cal.TH20-00では、さらに約80時間のパワーリザーブ、そしてデイト表示が備わっている点が特徴だ。99万8800円(税込み)という値段も非常に魅力的なポイントである。
ショパール「アルパイン イーグル XL クロノ」

自動巻き(Cal. CHOPARD 03.05-C)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ルーセントスティール™ケース(直径44mm、厚さ13.15mm)。100m防水。352万円(税込み)。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
ショパールの「アルパイン イーグル XL クロノ」は、デイトナに匹敵する、一体型のステンレススティール製ブレスレットを備えた独自のラグジュアリースポーツウォッチだ。2019年に発表された「アルパイン イーグル」コレクションは、1980年に登場したショパール初のステンレススティール製スポーツウォッチである「サンモリッツ」の系譜を受け継いでいる。
アルパイン イーグル XL クロノは、同コレクションの特徴的なケースとブレスレット構造を継承するとともに、直径44mmという大きめなケースを備えている。だがそれ以上に、この腕時計に存在感を与えているのが、独特の文字盤構造である。“アレッチブルー”に彩られた放射状のレリーフはワシの虹彩をイメージしたものだが、実際にはそれ以上に印象的な模様が描かれている。
ショパールは、本作のケースとブレスレットに同社独自のステンレススティール合金であるルーセントスティールを採用。タキメータースケールはベゼルではなく文字盤の外周に配されている。ベゼルに配された8本のネジは、アルパイン イーグルを象徴するデザイン要素だ。
技術面でも、アルパイン イーグル XL クロノは多くの魅力を備えている。搭載する一体型の自動巻きクロノグラフムーブメント、Cal.03.05-Cはショパールが自社開発、自社製造を行っている。ロレックスのCal.4131同様、コラムホイールによるクロノグラフ制御となっており、それに加えてフライバック機能とCOSCによるクロノメーター認定を持つ。パワーリザーブは約60時間、サファイアクリスタル製ケースバック越しに装飾されたムーブメントが鑑賞可能だ。防水性能は100mで、ねじ込み式のリュウズを備えている。本作は、高い製造技術やブランドのプレステージ性を求めつつ、大きくて存在感があるクロノグラフで、他の人があまり着用していないものが欲しいという人におすすめできるモデルだ。



