イタリアと日本、それぞれの伝統文化や技法を駆使し、未来へとつながるひと皿を生み出す「サスクリエ」。ふたりのシェフによる圧倒的な創造力をご堪能いただきたい。

コース前半に提供されるシグネチャー。虹を描いた上に添えられる野菜たちが、季節の移ろいを伝えてくれる。低温調理なども駆使した薪火で火入れを行うが、サラダ感覚で味わってほしいとあえて歯応え豊かな仕立てに。雲に見立てた豆乳の泡や、酒粕と黒にんにくのマヨネーズ、山葵、テラスで育てるハーブを飾って完成。
Text by Yui Togawa
三田村優:写真
Photographs by Yu Mitamura
[クロノス日本版 2026年9月号掲載記事]
創造を持続する伊と和のWシェフ

1995年、鳥取県生まれ。大阪のリストランテ「クイントカント」でスーシェフを務めた後、国内外のレストランやバーで腕を振るう。2021年より木更津「クルックフィールズ」内のレストラン「ペルース」にてシェフを務め、25年より「サスクリエ」エグゼクティブシェフに就任。
(右)和田淳志 Atsushi Wada
1997年、新潟県生まれ。「銀座小十」「銀座奥田」にて4年間にわたり日本料理を学んだ後、ニューヨークとパリの系列店で経験を積む。帰国後、2024年より西麻布にある会員制薪火レストランでシェフを担い、25年より「サスクリエ」ヘッドシェフに就任。
シグネチャーディッシュ「希望」は、真っ白な皿に、赤、橙、黄……と7色のピューレを縦に並べ、木べらを使って弧を描くと虹が完成する。作る工程も出来上がった料理も息を呑むような鮮やかさで、誰もが思わずカメラのレンズを向けてしまう。そして、その光景は、味わいとともに食べ手の記憶にも深く刻まれる。
「インパクトあるビジュアルですが、『食べるとは何か?』という問いから生まれたメニューです。食べることは『受け継ぐこと』であると考え、未来へと受け渡す架け橋になりたいという想いから、この虹の意匠が生まれました」。そう語るのは、エグゼクティブシェフの山名新貴氏。虹を描くピューレは、すべて野菜やハーブのみで作られている。例えば、赤はトマトとパプリカ、橙はバターナッツカボチャ、青はカリフラワーとハーブのバタフライピーによるもの。千葉県にある「エコファーム・アサノ」の“伝説の百姓”と称される浅野悦男氏が育てる野菜をメインに据え、ひと皿で15種もの野菜を使用している。
店名の「suscrea(サスクリエ)」とは、sustainable(持続可能)とcreative(創造的)を掛け合わせた造語。環境に対して持続可能であることはもちろんだが、絶えず新たなレシピを創造し続けるためにも、シェフがふたり体制であることが強みとなっている。イタリア料理出身の山名氏とタッグを組むのは、ヘッドシェフを務める和田淳志氏。「ずっと日本料理をやってきましたが、ヨーロッパで働いていた時に野菜の力強さに驚かされ、その素材を生かすためにはジャンルに執着する必要はないと気付きました。素材に合わせた美味しさの引き出しを持った料理人になりたいと思い、そのアプローチのひとつとして薪火料理を学びました」。たしかに虹を彩る野菜たちは、薪火によって一層鮮烈な存在感を放ち、生命力を感じさせてくれる。
サステナブルであり、かつ抜群の美味しさと創造性が宿る「サスクリエ」の料理。ジャンルを超えたふたりのシェフの感性が響き合う掛け替えのない体験は「食べるとは何か?」という問いを、あらためて見つめ直す機会となる。
suscrea(サスクリエ)

東京都港区南青山3-14-28 KRKビル 2F
Tel.03-6447-5422 日曜定休+不定休
12:00~14:00(土曜のみ)、17:00~22:30
ランチ1万1000円、ディナー2万4200円~(共にサービス料10%別)



