薄型化や小型化において世界最高を記録した腕時計

FEATUREWatchTime
2020.03.04

世界最高の防水性

 世界最高の防水性に関する記録は、1960年1月23日に深海用潜水艇トリエステ号に取り付けられたロレックスの時計によって達成された。スイス人海洋学者のジャック・ピカールと米海軍大尉のリューナント・ドン・ウォルシュがトリエステ号でマリアナ海溝1万916mの潜水世界記録を樹立したのだ。その時、潜水艇に取り付けられていた時計は「ロレックス ディープシー スペシャル」と呼ばれ、この実験のために作られた試作腕時計だった。それから半世紀以上経った2012年3月26日、映画監督のジェームズ・キャメロンがマリアナ海溝最深部のチャレンジャー海淵1万916mに達した時、潜水艇の船体とロボットアームには「ロレックス ディープシー」を改良した試作品「ロレックス ディープシー チャレンジ」が合計3つ取り付けられていた。ロレックスはこの潜水を記念して、ブルーからブラックへのグラデーションでダイアルカラーを表現した、3900m防水仕様の腕時計「ロレックス ディープシー D ブルーダイアル」を発表している。これによってロレックスは世界最高峰(エドモンド・ヒラリー卿が1953年に「オイスター パーペチュアル(エクスプローラーの前身)を着用してエベレスト登頂に成功)と、世界最深部(当時)に到達したタイムピースを保有するブランドとなった。

ロレックス
「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー」

ロレックス「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー D ブルーダイアル」。Ref.126660。ロレックス高精度クロノメーター(日差±2秒)。自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径44mm、厚さ18mm)。3900m防水。


極薄の機械式腕時計

 ピアジェは2014年当時、世界最薄を記録した時計を発表した。その厚さはたったの3.65mm。この薄さはふたつの構造的トリックによって成り立っている。ひとつはケースバックを地板に見立てて利用していること。ふたつめは、オフセットした文字盤を取り巻くように輪列を配すことで、文字盤と輪列を同じレイヤーに置き、フラットに仕上げていることだ。1874年創業の老舗であるピアジェは、腕時計において他にも、発表当時の世界最薄記録を樹立している。8.24mmの厚さの「アルティプラノ」クロノグラフはフライバック機構搭載モデルとして、4.65mmの厚さのキャリバー883Pはクロノグラフムーブメントとして、それぞれ発表当時、最も薄いと認められた。

ピアジェ
「『アルティプラノ』アルティメート・マニュアル」

アルティプラノ アルティメート・マニュアル

ピアジェ「『アルティプラノ』アルティメート・マニュアル」。手巻き(Cal.900P)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWG(直径38mm、厚さ3.65mm)。2気圧防水。320万円。㉄ピアジェ コンタクトセンター ℡0120-73-1874


世界最薄の複雑機構搭載自動巻き腕時計

 ジャガー・ルクルトは薄型かつ複雑な機構の開発においても注目されるブランドである。「マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン」はなんと厚さわずか7.8mmのケースの中に、フライングトゥールビヨンとミニッツリピーターというふたつの複雑機構を搭載する自動巻きの腕時計だ。自動巻き機構は本作のために一からの開発がなされた。プラチナ製ローターはムーブメント外周を回り、その動きは文字盤の開口部から見て取ることができる。スライドレバーを引くことによりミニッツリピーターが駆動する。その際にクォーターストライクを鳴らす必要がなければ、アワーストライクの後すぐにミニッツストライクに移る点も優れている。

ジャガー・ルクルト
「マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン」

ジャガー・ルクルト「マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン」。自動巻き(Cal.362)。72石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KWG(直径41mm、厚さ7.8mm)。3気圧防水。世界限定75本。4050万円。㉄ジャガー・ルクルト ℡0120-79-1833


世界最薄光発電のアナログ時計

 2016年にアナログ式光発電時計開発40周年を迎えた記念として、シチズンはケースの厚さわずか2.98mm(設計値)の時計「エコ・ドライブ ワン」を発売した。「エコ・ドライブ ワン」は世界最薄のアナログ式光発電腕時計。自然光や照明を使って光発電を行い、定期的な電池交換を不要とした。内蔵するキャリバー8826はわずか1mmの厚さで、月差は±15秒である。シチズンはムーブメントの消費エネルギーも抑え、1回のフル充電で約12カ月の稼働を可能にした。

シチズン
「エコ・ドライブ ワン」

エコ・ドライブ ワン

シチズン「エコ・ドライブ ワン」。光発電エコ・ドライブ(Cal.8826)。フル充電時約12カ月稼働。SSケース+サーメットベゼル(直径39㎜、厚さ2.98㎜)。日常生活防水。40万円(税別)。㉄シチズンお客様時計相談室 ℡0120-78-4807


世界最薄の機械式腕時計

 2018年に発表された手巻きの「『アルティプラノ』アルティメート・コンセプト」はケースの厚さわずか2mm、世界で最も薄い機械式腕時計となった。参考までにピアジェの自動巻き「『アルティプラノ』アルティメート・オートマティック」は4.3mm、シチズンの世界最薄光発電アナログ式腕時計「エコ・ドライブ ワン」は2.98mmである。本作はさらに薄いケース厚2mmという、ピアジェにとって極薄時計開発の転機となった、1957年にバーゼル・フェアで発表された手巻きキャリバー9Pと同じ厚さである。ピアジェはコバルトをベースとした合金を開発してケースに適切な剛性を確保し、ケースバックとムーブメント地板のふたつの役割を持たせている。

ピアジェ
「『アルティプラノ』アルティメート・コンセプト」

アルティプラノ アルティメート・コンセプト

ピアジェ「『アルティプラノ』アルティメート・コンセプト」。
手巻き(Cal.900P-UC)。13石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約44時間。コバルト合金(直径41mm、厚さ2mm)。非売品。㉄ピアジェ コンタクトセンター ℡0120-73-1874