グランドセイコーを未来へとつなぐ温故知新の創造力

FEATURE本誌記事
2019.06.04

マイクロアーティスト工房でのCal.9R02のムーブメント仕上げ

❶Cal.9R02の見せどころは、受けの面取りに施された「入り角」と「出角」の仕上げである。入り角の仕上げは、まず円盤型のシリコンポイントを入り角の根元付近に当てて、谷底の形状作りを行うことから始まる。

❷面取りの下地作りとして、砲弾型のシリコンポイントを入り角に合わせて当て、面を整えていく。これにより、切削痕は消え、面取り部に半ツヤが与えられる。作業は従来と同じだが、仕上げはより洗練された。

❸面取りの下地作りの最後は、超硬金属製のヘラで丁寧に面を潰しながら、谷底となる稜線を作っていく工程。これで、入り角の面取り下地作業は終わりになる。特殊なプロセスである。

❹入り角を、ダイヤモンドペーストを付けたリンドウ科植物のジャンシャンを使って磨く作業。完全なブラックポリッシュを与えるべく、最終仕上げにはジャンシャン以外の特殊素材も使用するようになったとのこと。

洋銀製の受けの上面に筋目仕上げを施す工程。1000番台の紙やすりに部品を置き、当て木に沿って水平に移動させる。固定するジグはミクロン単位の精密さを持つ。結果、1回で筋目を施せるようになった。

18Kゴールド製の耐震装置の枠をジャンシャンで磨く工程。磨きに使うダイヤモンドペーストは4種類。最終磨きには0.5ミクロンを使用する。スイス産と日本産のジャンシャンを繊維の粗さによって使い分けるという。

SBGZ001の外装仕上げ

手彫りでもエッチングでもプレスでもなく、機械で彫り込んだグランドセイコーのロゴ。拡大すると、彫りの立ち上がり部には斜面があり、底面は鏡面仕上げになっている。このコントラストによって視認性を確保している。

SBGZ001のケースに雪白仕上げを施す工程。ダイヤモンド砥粒が付いた円盤を当てて、ケースに模様を付けていく。槌目仕上げのように見えるが、写真が示す通り、むしろ彫金に近い。