鷲は舞い降りた。ショパール「アルパイン イーグル」

FEATUREWatchTime
2020.01.07

ショパールのようなハイエンドブランドが新しいコレクションを発表することは、それだけで特筆に値する。だが2019年の「アルパイン イーグル」はさらに特別なものであった。同社共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレがかつて考案した時計のリバイバルであり、時計業界においては特殊な新素材を導入することで注目を集め、なおかつスイスアルプスの環境保護にも貢献するからだ。

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo

「ショイフレ家のアルプスを愛する気持ちと、極限の世界に住むワシの高尚な力」をその名に込めた「アルパイン イーグル」

アルパイン イーグル

「アルパイン イーグル」は、ショパール初のラグジュアリースポーツウォッチ「サンモリッツ」にインスパイアされている。自動巻き(Cal.Chopard 01.01-C)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ショパール ルーセント スティール A223製ケース(直径41mm、厚さ9.7mm)。100m防水。ショパール ルーセント スティール A223製ブレスレット。147万円。

 時は1980年に遡る。現在の共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレは当時22歳。父のカール・ショイフレ3世が買収したショパールの一従業員であった彼は、サンモリッツという時計のアイデアを提案した。それはショパールでは初めてのスポーツウォッチというだけでなく、初めてのステンレススティール製の時計であった。サンモリッツはその後10年間、ショパールのベストセラーのひとつとなった。そして歴史は繰り返された。サンモリッツを現代的にリバイバルさせたいというのはカール-フリードリッヒ・ショイフレの息子、カール-フリッツの提案だった。そして新たに生まれ変わったコレクションは「アルパイン イーグル」と名付けられた。ショパールによると「ショイフレ家のアルプスを愛する気持ちと、極限の世界に住むワシの高尚な力」をその名に込めているという。

サンモリッツ

1980年代のショパール「サンモリッツ」の広告。

アルパイン イーグル

新開発の「ショパール ルーセント スティール A223」とエシカルゴールドのコンビバージョン。自動巻き(Cal.Chopard 01.01-C)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ショパール ルーセント スティール A223 × 18KエシカルRG製ケース(直径41mm、厚さ9.7mm)。100m防水。ショパール ルーセント スティール A223製ブレスレット。225万円。

 ケースとブレスレットが一体型となったデザインは、パテック フィリップのノーチラスやオーデマ ピゲのロイヤル オークといったラグジュアリースポーツウォッチ愛好家の耳目を集めた。また、モデル名に冠した雄大なアルプスとワシにインスパイアされた審美的な要素も特徴だ。ワシの目の虹彩のような文字盤のテクスチャー、羽毛の形状をかたどった秒針のカウンターウェイト、雪をかぶった氷河の上に降り注ぐ太陽を思わせるいくつかの仕上げを組み合わせたケースがそれである。ケースは直径41mmまたは36mmで、冒険や探検のシンボルであるコンパスローズがあしらわれたリュウズはリュウズガードで保護されている。ラウンド型のベゼルは、15分ごと(ローマンインデックスで表された12時・3時・6時・9時位置)に2本ずつ配されたネジで留められ、ネジ頭のスロットがベゼルの円に沿うように注意深く配置されている。ベゼルおよびケースの上の面はサテン仕上げで、面取り部分がポリッシュ仕上げになっておりアクセントとなっている。針とアプライドインデックスにはグレードX1のスーパールミノバが塗布されていて、暗闇での視認性を担保している。ブレスレットの構造は、サテン仕上げと中央のキャップに施されたポリッシュ仕上げが全体を引き立てており、トリプルフォールディングクラスプで手首に装着する。

アルパイン イーグル

文字盤のテクスチャーは、ワシの瞳の虹彩を思わせる。

アルパイン イーグル

リュウズに施されたコンパスローズのレリーフ。

 アルパイン イーグルのステンレススティール製モデルでは、ショパールが時計業界で初めて導入した「ショパール ルーセント スティール A223」を採用している。これは溶解工程を繰り返して行うことにより、さまざまな特性を持たせることに成功したもので、約4年間の研究期間をかけて開発された素材だ。一般的なステンレススティール同様に金属アレルギーを起こしにくい低刺激性でありながら、同時にヴィッカース硬さ223HVという高い硬度を併せ持つ。従来の腕時計で使用される316Lステンレススティールの約1.5倍の耐摩耗性を誇り、高純度な結晶構造のためゴールドに匹敵する輝きと明るさを兼ね備えている。

アルパイン イーグル

丸いベゼルには、15分ごとに2本ずつ、8本のネジが配されている。

 アルパイン イーグルには、スイス公式クロノメーター検査協会(C.O.S.C.)の認定を取得した自社製自動巻きムーブメントが搭載されている。直径41mmにはキャリバーChopard 01.01-Cが合わせられ、毎時2万8800振動、パワーリザーブは約60時間であるのに対し、直径36mmのモデルには毎時2万5200振動のキャリバーChopard 09.01-Cが採用され、パワーリザーブは約42時間である。後者の直径はわずか20.4mmであり、スイスの公式検査機関であるC.O.S.C.取得のクロノメーターとしては、最も小さいサイズのムーブメントの部類に入る。この精密な機械構造は、ベゼルと同じポジションに配された8本のネジで固定されたサファイアクリスタル製のシースルーバックから鑑賞できる。

アルパイン イーグル

ブレスレットは中央にポリッシュ仕上げのキャップを冠したサテン仕上げのインゴット型リンク。

アルパイン イーグル

自社製ムーブメントは、C.O.S.C.取得の自動巻きである。

 アルパイン イーグル ラージは、直径41mmサイズで3つのリファレンスを提供する。そのうちふたつはショパール ルーセント スティール A223にアレッチブルーまたはベルニナグレー文字盤を合わせたもので、3つ目はショパール ルーセント スティール A223にエシカル・ローズゴールドを組み合わせ、ベルニナグレーの文字盤が採用されている。直径36mmのアルパイン イーグル スモールには7つのリファレンスが用意されている。アレッチブルー文字盤またはダイヤモンドベゼル付きフロスティッドホワイトマザー・オブ・パール文字盤にショパール ルーセント スティール A223を合わせたモデル。そしてベルニナグレー文字盤またはダイヤモンドベゼル付きフロスティッドホワイトマザー・オブ・パール文字盤にショパール ルーセント スティール A223とエシカル・ローズゴールドを合わせたモデル。ベルニナグレー文字盤またはダイヤモンドベゼル付きフロスティッドホワイトマザー・オブ・パール文字盤にエシカル ローズゴールドを合わせたモデル。そして、シルスグレータヒチ産マザー・オブ・パール文字盤にダイヤモンドセッティングが施されたベゼルとブレスレットを合わせたモデルだ。

アルパイン イーグル

シルスグレータヒチ産マザー・オブ・パール文字盤にダイヤモンドセッティングが施されたベゼルとブレスレットを合わせたアルパイン イーグル。自動巻き(Cal.Chopard 09.01-C)。27石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KエシカルRG製ケース(直径36mm、厚さ8.4mm)。100m防水。18KエシカルRG製ブレスレット。516万円。

 アルパイン イーグルの発表と時を同じくして、カール-フリードリッヒ・ショイフレはイーグル ウィングス ファウンデーションの共同設立を発表した。これはアルペンスポーツを愛するショパール共同社長が創立メンバーとなる、新しい環境保護団体だ。イーグル ウィングス ファウンデーションの目的は「アルプスの生態環境の重要性・美しさ・脆弱性に関して人々の意識を高めるよう発信していく」ことである。財団の最初のプロジェクトは、アルパイン イーグル レースで、5カ所の有名なアルプスの山頂より飛び立つワシに取り付けたカメラで取得したビデオキャプチャー画像を通じ、アルプスの空中観測を推進するというものだ。アルパイン イーグルの発表に合わせて2019年10月より実施された。

Contact info: ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922