機械式時計は日本が誇るオリエントから。おすすめモデル11選

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2024.05.29

優れた技術による精度の高さと、細部に至るまで手を抜かない、そんな信念を持った時計作りで、世界の時計愛好家をもうならせる日本の時計ブランドが「オリエント」だ。時計史にその名を刻み、技術面で時計業界をけん引する同ブランドの歴史とおすすめモデルを紹介しよう。

機械式時計 オリエント


オリエントとは?

オリエントは、代表的な国産ブランドのひとつで、長年にわたって絶えることなく機械式時計を作り続けてきた高い技術力は、時計マニアからの信頼も厚い。

その完成度の高さに対してコストパフォーマンスが優れ、手にしやすい価格も大きな魅力だ。まさにジャパンクォリティを世界に知らしめたブランドのひとつといえるだろう。

魅惑的な時計を数多くリリースし続けるオリエントとは、どのようなメーカーなのか。その歴史をひもといてみよう。

オリエントの歴史

日本を代表する腕時計ブランドに駆け上がったオリエントの創業は、1901年(明治34年)にまでさかのぼる。吉田庄五郎が、東京上野に設立したのが始まりだ。

前身は、舶来時計を輸入販売する「吉田時計店」だった。吉田は、時計に関する知識と感性を、あまたの一流外国製品を目にすることで養っていった。

1920年に「東洋時計製作所」へと名称を変え、置き時計の製造に着手する。そして、1934年に腕時計の製造をスタートさせた。

1936年に完成したオリエントの日野工場(当時は東洋時計製作所)。

しかし、第2次世界大戦によって、国内製造業は軍需産業への転換を迫られ、同社も巻き込まれるように時計の製造を中止せざるを得なくなった。

終戦後の1951年、社名を「オリエント時計株式会社」として再出発。そして、同社を象徴する「オリエントスター」を発表することとなる。

なお、2017年に、オリエント時計はセイコーエプソンと業務統合し、現在に至る。

オリエントの魅力や特徴

戦中の軍需産業化という荒波にさらされながらも、創業者である吉田の時計作りへの思いは枯れることはなかった。主力工場であった日野工場の閉鎖や労働争議など、数々の苦難を乗り越え、戦後、見事な再起を果たした。

軍需産業化は、皮肉にも技術力向上に一役買ったという側面があるのかもしれない。東洋時計製作所は、創業以来培った開発力を武器に、機械式時計の製造技術を追求していく。

初めて購入する機械式時計にもおすすめ

オリエントは、オリジナリティーあふれる自社製機械式ムーブメントを追い求める時計ブランドだ。その情熱は比類なきもので、日本の技術力を世界に知らしめることに大きく貢献している。

46ムーブメント

1971年に誕生した46(ヨンロク)ムーブメント。マジックレバーを採用し、高い巻き上げ効率を実現。誕生以来、現在に至るまで現役のオリエントの基幹ムーブメント。2万1600振動/時。

時計への関心から、本格的な機械式時計の魅力に引き込まれるユーザーも多いことだろう。オリエントのフラッグシップを担う「オリエントスター」は、そんな時計沼にはまってしまった愛好家におすすめのブランドだ。

時計としての完成度の高さは瞬く間に時計ファンを魅了し、以来、同社の象徴になっている名機である。高級時計の中でも手を伸ばしやすい価格帯であることも、ユーザーにとってはうれしいポイントだ。


オリエントの代表的なモデル

信頼性の高さもオリエントの魅力のひとつ。

高性能の機械式時計を追求し続けるオリエントは、これまで珠玉のコレクションをリリースしてきた。

オリジナルムーブメントの完成度の高さはもちろん、オリジナリティーあふれるデザイン性も兼ね備えており、オリエントは多くの時計ファンの心をつかんで離さない。

時計業界の歴史に確かな足跡を残してきたオリエントの、代表的なモデルを紹介しよう。

オリエント コンテンポラリーコレクション「セミスケルトン」Ref.RN-AR0009L

2024年春夏モデルとしてリリースされた、ライトブルーダイアルのモデル。爽やかなカラーリングは、腕元が見える機会の多くなるこれからの季節でも、確かな存在感を発揮してくれる。セミスケルトン仕様のダイアルを採用しており、9時位置の開口部からテンプの動きを鑑賞することが可能。シースルーバックを採用しており、ムーブメントをケースバック側からも楽しむことができる。控えめな価格帯でありながら、風防にはサファイアクリスタルが採用されている。

オリエント コンテンポラリーコレクション セミスケルトン

オリエント コンテンポラリーコレクション「セミスケルトン」Ref.RN-AR0009L
自動巻き(Cal.F6S22)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40.8mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。各5万600円(税込み)。


オリエント コンテンポラリーコレクション「セミスケルトン」Ref.RN-AR0007S

24年春夏モデルのひとつ。ケースとブレスレットをゴールドカラーで統一し、清潔感のあるホワイトダイアルを組み合わせている。9時位置の開口部やスモールセコンド、立体的なインデックスを配したダイアルは、オリエントらしい遊び心にあふれているだけではなく視認性にも優れている。優雅なフォルムも本作の特徴だ。ケースとブレスレットはサテン仕上げを基調としつつ、ラグに面取りを加えることで流れるようなケースラインを作り出している。

オリエント コンテンポラリーコレクション セミスケルトン

オリエント コンテンポラリーコレクション「セミスケルトン」Ref.RN-AR0007S
自動巻き(Cal.F6S22)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40.8mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。5万7200円(税込み)。


オリエント「バンビーノ サン&ムーン」Ref.RN-AK0803Y

充実したカレンダー機能が特徴のモデル。3時位置にデイト表示、4時半位置に昼夜を判別できるサン&ムーン表示、10時位置に指針式の曜日表示が配されている。細身のラグが伸びるラウンドケースに、クリームカラーのダイアルとブルーの針、ボックス型の無機ガラスが組み合わされ、全体をクラシカルな印象でまとめられている。カジュアルユースにもビジネスにも使いやすいデザインと機能を備えている点が魅力だ。シースルーバックからは、ムーブメントを鑑賞することが可能。

オリエント バンビーノ サン&ムーン

オリエント「バンビーノ サン&ムーン」Ref.RN-AK0803Y
自動巻き(Cal.F6B24)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径41.5mm、厚さ 14.2mm)。3気圧防水。5万8300円(税込み)。


オリエント「バンビーノ」Ref.RN-AC0001S

手頃な価格とクラシカルなデザインによって国内外で高い人気を集め、これまでにいくつものバリエーションが発売されてきた「バンビーノ」。本作は、細身のくさび型インデックスとブルーの針を組み合わせた、シンプルなデザインのモデルだ。ボンベ型のホワイトダイアルとボックス型無機ガラスによって、ヴィンテージ調にまとめられている。ステンレススティール製ブレスレットは両開き式のバックルを備えており、閉じた状態ではバックルの存在が目立ちにくくなっていることもポイント。

オリエント バンビーノ

オリエント「バンビーノ」Ref.RN-AC0001S
自動巻き(Cal.F6724)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40.5mm、厚さ 12.3mm)。3気圧防水。4万5100円(税込み)。


オリエント「オリエント マコ」Ref.RN-AA0820R

ダイバースタイルの人気コレクション、「オリエント マコ」。本作は、夕焼けに染まる海辺をモチーフとした、ノスタルジックなカラーリングが特徴の数量限定モデルだ。ISO規格に準拠したダイバーズウォッチではないが、20気圧防水を備えており、悪天候でも安心して使用することができる。経過時間を測定することが可能な逆回転防止ベゼルやデイデイトカレンダー、耐傷性に優れたサファイアクリスタル等、充実したスペックを備えている。

オリエント マコ

オリエント「オリエント マコ」Ref.RN-AA0820R
自動巻き(Cal.F6922)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径41.8mm、厚さ12.8mm)。20気圧防水。国内限定200本。4万6200円(税込み)。


オリエント「オリエント マコ 40」Ref.RN-AC0Q01B

「オリエント マコ」コレクションに追加された、コンパクトな外装を持つモデル。ケースサイズは直径39.9mmに抑えられ、リュウズガードが廃された。全体的にシンプルなデザインに改められている。これまでのオリエント マコには、逆回転防止ベゼルにアルミニウム製のインサートが取り付けられていたが、本作ではサテン仕上げのステンレススティールに変更されている。ブラックのダイアルには、蓄光塗料を塗布したインデックスと針が組み合わされ、暗所でも高い視認性を発揮する。

オリエント マコ 40

オリエント「オリエント マコ 40」Ref.RN-AC0Q01B
自動巻き(Cal.F6722)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径39.9mm、厚さ12.8mm)。20気圧防水。4万8400円(税込み)。


オリエント「オリエント マコ クロノグラフ」Ref.RN-TX0203S

クォーツクロノグラフムーブメントを搭載した「オリエント マコ」のクロノグラフモデル。光発電機能を搭載しているため、定期的な電池交換を必要としない手軽さが魅力だ。ホワイトダイアルにブラックのインダイアルを組み合わせた、いわゆる“パンダダイアル”を採用し、クロノグラフらしいスポーティなデザインを楽しむことができる。インデックスのデザインは、04年に発売された初代オリエント マコのデザインをモチーフとしたものだ。

オリエント マコ クロノグラフ

オリエント「オリエント マコ クロノグラフ」Ref.RN-TX0203S
クォーツ(Cal.VS752)。SSケース(直径42.8mm、厚さ11.3mm)。20気圧防水。4万6200円(税込み)。


オリエント「レトロフューチャー ギター」Ref.RN-AR0302R

エレキギターメーカーのダイナ楽器とのコラボレーションによって誕生した、数量限定モデル。大胆かつ独創性にあふれたデザインは、オリエントならでは。ピックガードをかたどった立体的なダイアルや12時位置のマザー・オブ・パール製のピック型インデックス、コントロールノブを再現したリュウズ等、細部にまでコラボレーションモデルらしい世界観が盛り込まれている。インナーベゼルには世界の有名な音楽フェスの開催都市名が配され、4時位置のリュウズによって回転させることができる。

オリエント レトロフューチャー ギター

オリエント「レトロフューチャー ギター」Ref.RN-AR0302R
自動巻き(Cal.F6S22)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.3mm、厚さ12.4mm)。5気圧防水。国内限定300本。6万500円(税込み)。


オリエントスターの代表的なモデル

初代オリエントスター

1951年に発表された初代オリエントスター。当初は前年に発売された初の量産型腕時計「ニューオリエント」と同じムーブメントを採用していた。

1951年にデビューした「オリエントスター」は「輝ける星」をイメージして名付けられた、オリエントを代表する押しも押されもせぬ看板ブランドである。本格的な機械式時計として日本が世界に誇るブランドといってよいだろう。

デビュー後から現在に至るまでの間に、同コレクションからはさまざまなモデルが発表されてきた。そのことで生み出される多面的な魅力で、オリエントスターの輝きを色褪せないものとしている。

オリエントスター「M34 アバンギャルド F8 スケルトン」Ref.RK-BZ0001S

2層構造によって立体的に仕上げられたオープンワークが目を引く、「M34 アバンギャルド F8 スケルトン」。12時位置にパワーリザーブインジケーター、6時位置にスモールセコンドが配されている。本作は、オリエントスター用の自動巻きムーブメントとして、初めてシリコン製ガンギ車を採用したCal.F8F64を搭載している。オープンワークを通して、青いガンギ車を確認することが可能だ。6つのネジが取り付けられた幅広のベゼルやシャープなラグ等、力強さを感じさせるデザインも魅力。

オリエントスター M34 アバンギャルド F8 スケルトン

オリエントスター「M34 アバンギャルド F8 スケルトン」Ref.RK-BZ0001S
自動巻き(Cal.F8F64)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42.3mm、厚さ12.4mm)。10気圧防水。26万4000円(税込み)。


オリエントスター「コンテンポラリーコレクション レイヤードスケルトン」Ref.RK-AV0B08L

ジャケットやシャツのテキスタイルに着想を得たデザインを特徴とする、「コンテンポラリーコレクション レイヤードスケルトン」。2枚のレイヤーによって構成されるダイアルを採用し、上側にはヘリンボーン柄、下側にはペイズリー柄が刻まれている。9時位置には大胆な開口部が設けられ、テンプの動きを鑑賞することが可能。12時位置にはパワーリザーブインジケーターが配され、主ゼンマイの残量を視覚的に把握することができる。緩やかなカーブを描くラグには、ネクタイのディンプルや生地のドレープ感をイメージしたデザインが与えられている。

オリエントスター コンテンポラリーコレクション レイヤードスケルトン

オリエントスター「コンテンポラリーコレクション レイヤードスケルトン」Ref.RK-AV0B08L
自動巻き(Cal.F6F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.6mm)。10気圧防水。10万6700円(税込み)。


オリエントスター「ダイバー」Ref.RK-AU0309B

ISO規格に準拠した、200mスキューバ潜水用防水ダイバーズウォッチ。高い視認性を発揮するダイアルや、安全に潜水時間を計測することができる逆回転防止ベゼルを備えている。オリエントスターらしさを強調しているのが、12時位置のパワーリザーブインジケーターだ。様々なカラーバリエーションが用意されているが、その中でもブラックのダイアルとベゼルを採用した本作は、幅広いシーンで着用しやすいことだろう。ステンレススティールブレスレットの他、シリコン製ストラップが同梱されており、付け替えることでより軽快に着用することが可能だ。

オリエントスター ダイバー RK-AU0309B

オリエントスター「ダイバー」Ref.RK-AU0309B
自動巻き(Cal.F6N47)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径43.6mm、厚さ14mm)。200m防水。10万1200円(税込み)。


サポートとメンテナンス

最高の腕時計には、長い人生を確実にサポートして欲しいものだ。一流と呼ばれるメーカーは、高水準の保証体制を備えてユーザーの生活を支えている。

オリエントの保証

オリエントでは、製造上の問題に関しては、購入日から1年間が保証期間となる。ただし、オリエントスターはその期間が2年間に延長されている。

正常な使用状況でトラブルが発生した場合には、保証期間内であれば、規定に従って修理・調整は無料で行われる。

300m飽和潜水用のダイバーモデルにおいては、2年間のメーカー保証に加え、2年後の無料点検サービスも付随している。

修理とオーバーホール

修理やオーバーホールについては、正規代理店や購入店を経由して、オリエントの修理工場へと送られる。

そこではまず、1本1本の時計のデータを入力し、修理カルテが作成され、熟練の技術者によって必要なメンテナンスが施されていく。

カルテはオリエントが責任を持って保管し、再び旅立っていく腕時計を遠くから見守り続けるのだ。

店舗情報

オリエントは、顧客に高いレベルでの満足感と安心感を提供するために、全国各地にプレステージショップを展開している。

それぞれのプレステージショップでは、豊富なラインナップのディスプレイがなされ、ユーザーからの問い合わせにも対応している。

オリエントの魅力をもっと知りたいと考えるユーザーのそばにも、プレステージショップが必ず存在するだろう。ぜひ足を運んでみてほしい。


オリエントで高級腕時計デビュー

時計に魅せられた者であれば、機械式時計を避けて通ることはできないだろう。これから機械式時計を手にしようと思うなら、高級という言葉だけでは語り尽くせないオリエントおよびオリエントスターのモデルでデビューしてはいかがだろうか。未知なる感動がそこに待っているはずだ。


Contact info: オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380
参考サイト:https://www.orient-watch.jp/orientstar/


川部憲 Text by Ken Kawabe


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