時計に使われるルミノバとは何なの?/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

FEATUREぜんまい知恵袋
2020.06.28

Q:時計に使われる「ルミノバ」「ルミノーバ」って何なの?

A:根元特殊化学が開発した放射線物質を含まない蓄光塗料

 時計の針やインデックスに使われる夜光塗料が、根元特殊化学の開発した「N夜光(ルミノーバ)」です。それ以前に使われていたトリチウムとの違いは、外部からの光をためて発光する蓄光塗料であること。放射線物質を含まないことから、今や多くの時計メーカーが採用しています。中でも、発光量の大きなものをスーパールミノバといい、今では多くのメーカーが採用しています。

 1998年に、根元特殊化学はスイスのトリテックAGと合弁会社のルミノバAGを設立。また、スイスの基準に合わせるべく、より発光量の大きなスーパールミノーバ(スーパールミノバ)を開発しました。その結果、2000年以降、スイスメーカーの使う夜光塗料がトリチウムから置き換わることになりました。

BR03-92 H.U.D

ベル&ロス「BR03-92 H.U.D」
現在腕時計に使用されているスーパールミノーバの中で光の吸収率に優れ、最も明るく発光するのがC3というグレードだ。ベル&ロスの2020年発表モデルである「BR03-92 H.U.D」ではこのスーパールミノーバC3をインデックスや針、アワーディスクに使用している。自動巻き(BR-CAL.302)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。セラミックス(直径42mm)。100m防水。世界限定999本。48万円(税別)。

スーパールミノーバの主な種類

現在、スーパールミノーバには次のような種類があります。
C1 :白色。発光量はC3の34%
C3 :黄色。最も明るい。
C5:黄緑色。発光量はC3の89%。
C7:緑色。発光量はC3の84%。
C9:青緑色。発光量はC3の83%。

広田雅将


年々バリエーションは増えている

ほかにも、バイオレット、オレンジ、ピンク、ウルトラマリンのカラーを選ぶことも可能です(最近は黒もあり)。また現在のスーパールミノーバは発光時間によりグレードが3種類に分かれています。標準、グレードA、そしてX1。残光時間はグレードが上がるほど長く、標準的なスーパールミノーバに比べて、X1は2時間後の発光量が60%大きくなっています。

なお、ルミノーバは根元夜光の登録商標であり、ルミノバとは書きません。対してSuperluminovaはルミノバAGの登録商標で、日本語名は決まっていません。そのため、スーパールミノーバ、もしくはスーパールミノバのいずれも使用が可能です。


ベル&ロス 2020新作「BR03-92 H.U.D」

https://www.webchronos.net/news/46148/
強い発光力を持つスーパールミノバ® C3を再び採用、ベル&ロス「BR03-92 グレー ラム」

https://www.webchronos.net/features/43310/
アイコニックピースの肖像「パネライ/ラジオミール Part.1」

https://www.webchronos.net/iconic/26801/