ジン 41㎜ケースがもたらした Uシリーズ最高峰のユーティリティー

FEATURE本誌記事
2020.08.13

これまで頑なに1000m以上の防水性能が与えられてきたジンのダイバーズウォッチ「Uシリーズ」に、不文律を破る500m防水モデルの「U50」が登場。防水性能を落とし、小径化を果たした同作が得たものとは?

U50

Photograph by Masanori Yoshie
Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)

ジン「U50」

 ドイツの潜水艦に使用されている鉄鋼「Uボート・スチール」。高い耐食性を有した非磁性素材という、ダイバーズウォッチにとって理想的とも言えるこの素材をケースとリュウズ、ベゼルに用いて、1000m以上の防水性能を与えたダイバーズウォッチがジンのUシリーズである。しかし、この不文律がついに「U50」の登場によって破られた。
 
 テギメント加工によって硬化させたUボート・スチールを特殊結合方式で留めたベゼルや、装着時の手の甲への接触を避けるため、4時位置に配されたリュウズなど、一見、U50は既存モデルの「U1」と瓜ふたつだ。大きな違いはケースが現行モデルではシリーズ最小の直径41㎜にサイズダウンしたことと、小径化のために防水性能が500mに抑えられた点。この事実だけ見るとわずか3㎜の縮小のために、大幅に防水性能がスペックダウンドした、と悔やむジン愛好家もいるかもしれないが、実際に手に取ってみれば3㎜という差は歴然だ。直径が小さくなったことで腕への収まりが良くなったのは当然ながら、厚みが11.15㎜しかないため、ダイバーズウォッチにありがちな腰高感を抑えている。さらに重量もヘッド単体で74gと、Uシリーズとして異例の軽さ(U1はヘッドのみで113g)だ。結果、腕を振った際に〝時計に振られる〞ことはなくなった。堅牢なバックルが付いているため、シャツの袖には引っかかるだろうが、カジュアルな服装ならば日常使いで不便を感じないはずだ。
 
 確かに防水性能は下がった。しかし防水性能500m分の〝スペックダウン〞のおかげでこれだけ使い勝手が向上したのだから、間違いなく改良だ。言うまでもなく、それでもU50は空気潜水時において十分過ぎる性能を持つのだから。

ジン U50

ジン「U50」
現行Uシリーズ最小の41mm径を持つ。U1の小径化モデル的存在だが、ムーブメントはSW200からSW300に“ランクアップ”している。自動巻き(Cal.SW300-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Uボート・スチール(直径41mm、厚さ11.15mm)。500m防水。35万円。


Contact info: ホッタ ☎03-6226-4715


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