偶然が生み出した美を楽しむ、アベンチュリン&ストーンダイアルのレディスウォッチ

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2020.11.21

星空のようにキラキラと輝くアベンチュリンや、自然が生み出す風合いを堪能できるハードストーンは、その美しさから文字盤の素材として近年人気が高まっている。事実、ダイヤモンドやゴールドの華やかな輝きとも好相性だ。そんな見逃せないトレンドから、今年も多くの新作レディスウォッチが登場した。アベンチュリン&ハードストーンダイアルの華麗なタイムピースを一挙にご紹介!

野上亜紀:文 Text by Aki Nogami
[クロノスファム51号掲載記事]


時計ジャーナリストが語る、アベンチュリン&ストーンダイアルの新作時計

 以前からたびたび文字盤に用いられてきたこのふたつの素材。アベンチュリンはムーンフェイズ機構を搭載する時計に採用されることも多い。またハードストーンは、主にラピスラズリやマラカイトなどの石が素材として使われる。クロノス日本版編集長の広田雅将、ウォッチ&ジュエリージャーナリストの野上亜紀は、このアベンチュリン&ストーンダイアルの新作モデルをどう見たのか?

広田:アベンチュリンは実に安定して供給できるようになりました。昔と違って〝質〞をコントロールできるようになってきたから。ハードストーンのラインナップだと僕はディオールのブレスレットに注目。ミラネーゼの上からプレスをかけて、昔懐かしい雰囲気を演出しているのがいいですね。

野上:ハードストーン文字盤は薄型ムーブメントなどの技術的進化とともにしばしば語られます。ここでは紹介していませんが、マラカイトをあしらったブルガリの最薄ミニッツリピーターなども今年は出ていたり。バラエティーに富んだピースが見られるようになったのも嬉しいですね。


時計を彩るアベンチュリン&ストーンダイアル

星空のように神秘的な輝きを放つアベンチュリンと、天然石の風合いを楽しむことができるハードストーン文字盤。この2大潮流から、今年も多くの新作が登場した。

ピアジェ
満を持して登場したアベンチュリン文字盤

 左右非対称のラグを特徴とするコレクション。今年新たに加わったのは、アベンチュリン文字盤だ。最近流行のアベンチュリンだが、ムーブメント開発とともに異素材文字盤の歴史を切り開いてきたピアジェが手がけるこのモデルはなおも新鮮。今一度、注目したい。

ピアジェ「ライムライト ガラ」
クォーツ。WG×D×アベンチュリン+アリゲーターストラップ。直径26mm。250万円(税別)。世界限定300本。問/ピアジェ コンタクトセンター Tel.0120-73-1874

ショーメ
ハードストーン文字盤の豊かな色彩が際立って

 気高きプリンセスの庭園を描いたショーメの代表作からマラカイト文字盤が登場。可憐な花のモチーフが、まるで新緑のように艶やかなグリーンと戯れる。ゴールドメッシュブレスレットを組み合わせた意匠も、ハードストーン文字盤特有のクラシカルな美を強調する。

ショーメ「“オルタンシア”コレクション エデン ウォッチ」
クォーツ。PG×D×マラカイト。直径21.5mm。300万円(税別)。問/ショーメ Tel.03-5635-7057

ブルガリ
コレクションのニューフェイスは星々が紡ぐ“光”への賛歌

「ルチェア」はラテン語の“光”をその名に込めた時計だ。陽光のイメージを宿したコレクションが次に語るのは輝く夜空へのオマージュ。昨今技術が進化したアベンチュリンに改めて目を向けた、ブルガリの文字盤製作への意欲が感じられるタイムピースでもある。

ブルガリ「ルチェア アベンチュリン」
自動巻き。PG×D×アベンチュリン×サファイア+アリゲーターストラップ。直径33mm。予価261万円(税別)。問/ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100


半透明のネイビーが、満天の星のごとく煌めいて

銅の削りくずがガラスの中に誤って入ったことから誕生したアベンチュリンガラスは濃紺の中に宿るキラキラとした輝きを魅力とする。夜空のような美が手元に瞬いて。

ロジェ・デュブイ
濃紺の輝きをまとったグラマラスなデザイン

 “歌姫”の世界をテーマに貴石やグラン・フー・エナメルを用いてフェミニンな世界を描いてきた、ロジェ・デュブイによるレディスウォッチの代表作。今年はアベンチュリン文字盤でシックに。ラウンドとトノーが織りなす立体的なデザインを幻想的な輝きが包み込む。

ロジェ・デュブイ「ベルベット アベンチュリン」
自動巻き。PG×D×アベンチュリン+アリゲーターストラップ。直径36mm。600万円(税別)。問/ロジェ・デュブイ Tel.03-4461-8040

パルミジャーニ・フルリエ
サファイアやルビーが綴る虹色の物語

 昨年登場したレインボーモデルの派生形となる、フライングトゥールビヨン。7色に光るバゲットカットのカラーストーンがベゼルにあしらわれているが、巧みなのは徐々に色が変わる絶妙なグラデーション。プラチナマイクロローターを用いた薄型ウォッチは、裏から見えるムーブメントの意匠の美しさも見どころ。

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ 1950 ムーンボー」
自動巻き。RG×ブルー&ピンク&オレンジ&イエローサファイア×ルビー×ツァボライト×アメシスト×アベンチュリン+アリゲーターストラップ。直径40.2mm。1548万円(税別)。問/パルミジャーニ・フルリエ Tel.03-5413-5745

オメガ
オンにもオフにも最適な名品にノーブルな輝きを

 星座を意味する「コンステレーション」は、高精度の時計製作へと挑んできたオメガの歴史を物語る時計。ベゼルの4つ爪などの象徴的な意匠に、今年はアベンチュリン文字盤が添えられた。“マンハッタン”の名のごとく、都会の夜空を思わせるモダンな雰囲気。

オメガ「コンステレーション “マンハッタン” アベンチュリン ダイアル」
自動巻き。SS×D×アベンチュリン。直径29mm。122万円(税別)。問/オメガお客様センター Tel.03-5952-4400


ビジューの遊びを楽しむ天然石の文字盤

“フェルメール・ブルー”とも呼ばれるラピスラズリやクジャクの羽根のようなマラカイト、独特の風合いが美しいタイガーアイ――実にカラフルなストーン文字盤から目が離せない。

ブシュロン
ブレスレットのようにまといたい、甘い輝きのデコレーション

 スネークヘッドを模したドロップモチーフが印象的な「セルパンボエム」。今年の主役はラピスラズリだ。ゴールドビーズの縁取りを施したイエローゴールドの濃厚な艶めきを添えることで、マットな鮮やかさを特徴とするラピスラズリの美がさらに際立つ。

ブシュロン「セルパンボエム」
クォーツ。YG×D×ラピスラズリ。直径17.6mm。422万7273円(税別)。問/ブシュロン クライアントサービス Tel.0120-230-441

ディオール
ミラネーゼブレスレットとハードストーンの美しき調和

 ストーン文字盤を積極的に取り入れてきたメゾンが贈るのは、繊細な縞模様が深みある表情のタイガーアイ。“サテンのリボンを巻く”という発想から誕生したしなやかなミラネーゼブレスレットとともに、ヴィンテージウォッチのような香りを振り撒く。

ディオール「ラ デ ドゥ ディオール サティーヌ」
クォーツ。SS×YG×D×タイガーアイ。直径25mm。110万4000円(税別)。問/クリスチャン ディオール Tel.0120-02-1947

ブルガリ
文字盤を彩るミステリアスなブルー

 自らのオリジンとなる“ローマ”からインスパイアされたクリエーションを続けてきたブルガリ。写真はカラカラ浴場を美しく彩る“扇”モチーフをテーマにしたコレクションのラピスラズリ文字盤だ。ブルガリが掲げる色彩美、そしてローマへの尽きぬ愛が融合を果たす。

ブルガリ「ディーヴァ ドリーム」
クォーツ。PG×D×ラピスラズリ×ピンクトルマリン+アリゲーターストラップ。直径30mm。218万9000円(税別)。問/ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100


ショーメ2020新作「オルタンシア」コレクション エデン ウォッチ

https://www.webchronos.net/news/45194/
パルミジャーニ・フルリエ 2020新作「トンダ 1950 ムーンボー」

https://www.webchronos.net/news/45627/
1月に発表されたブルガリ、ウブロ、ゼニスとセイコーの新作時計を振り返る(後編)

https://www.webchronos.net/features/46127/