ブロンズの時計が最近増えているのはなぜ?

FEATUREぜんまい知恵袋
2022.02.18

Q:ブロンズの時計が最近増えているのはなぜ?

以前はごく一部の時計にしか採用されなかったブロンズケース。しかし近年、ブロンズの時計は急速に増えつつあります。一体なぜなのでしょうか?

広田雅将

2022年2月18日掲載記事


A:ブロンズ特有の経年変化が評価されるようになったため

 時計好きの間で市民権を得つつある、ブロンズという素材。かつては経年変化で色が変わることを好ましく思わない傾向にありましたが、最近はそれを味と感じる人も多いようです。今では大メーカーが使うようになったほか、過酷な環境で使われるダイバーズウォッチにも採用例が増えています。

 時計業界で広く使われる真鍮は、銅と亜鉛の合金です。一方のブロンズ(青銅)は同じ銅合金ですが、亜鉛ではなく、錫を混ぜたものです。ブロンズは真鍮よりも加工が難しいですが、さびにくく、傷付きにくいという特徴があります。そのため、昔から船舶や水回りの金具などに使われてきました。

 このユニークな素材に着目したのがパネライです。同社が手掛けたブロンズケースの「ブロンゾ」コレクションは、世界的なヒット作になりました。今では、IWCやモンブラン、チューダーなどもブロンズケースを採用するほか、安価な価格帯にもブロンズケースが広がりつつあります。

パネライ ブロンゾ

Photograph by Eiichi Okuyama
ブロンズケースブームの火付け役ともいえるパネライの「ブロンゾ」コレクション。2011年のデビュー以来、複数回にわたって限定モデルが発売され、いずれも即完売という盛況ぶりを見せたブロンゾは、19年に待望のレギュラーモデル化を果たしている。


アルミを混ぜることで変色しづらくする試みも

 経年変化で味の出るブロンズですが、いくつかのデメリットがあります。ひとつは、金属アレルギーを起こしやすいこと。そのため、ほとんどのブロンズケースの時計は、裏蓋をチタンといった、アレルギーを起こしにくい素材に変えています。もうひとつのデメリットが、経年変化が強く出すぎるブロンズケースもあること。それを味とよろこぶ時計好きは少なくありませんが、シャツの袖口は汚れやすいです。

 もっとも一部のメーカーは、経年変化を抑えた、新しいブロンズを採用しています。大きな違いは、素材にわずかにアルミを混ぜたこと。今までのブロンズケースのような大きな変化は楽しめませんが、普段使いには向くでしょう。そういったブロンズケースを採用するメーカーには、IWC、チューダー、モンブラン、ハミルトンなどがあります。


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