着用テストで分かった、ブライトリング「クロノマット B01 42」が日常使いに向く3つの理由

FEATUREWatchTime
2023.05.05

ブライトリングのクロノマットは、1980年代の機械式時計の復活と、クロノグラフのパイオニアとしてのブライトリングの役割を思い起こさせる万能型のスポーツウォッチだ。ユニークなルーローブレスレットが腕にレトロ感をもたらし、現代的な自社製キャリバー、ブライトリング01が未来への道筋を示してくれる。今回は「クロノマット B01 42」で着用テストを行った。

Originally published on watchtime.com
Text by Martina Richter
2022年5月4日掲載記事

万能型のスポーツウォッチ、ブライトリング「クロノマット B01 42」

クロノマット B01 42

ブライトリングの歴史の中で重要な位置を占め、現代的な要素が組み込まれた「クロノマット B01 42」。ムーブメントに搭載された最新技術と相まって、万能型のスポーツウォッチへと進化した。

 ブライトリングが「クロノマット」を1984年に復活させたとき、明確なメッセージが発信されていた。それは1970年代のいわゆるクォーツ危機の中ですっかり姿を消してしまった機械式時計の復活を告げるものであった。ブライトリングは1940年代に、後にナビタイマーの特徴となるストップウォッチ機能の「クロノグラフ」と計算尺の「マスマティック」を組み合わせて、「クロノマット」という名称をすでに使用していた。だが1984年にはこの言葉が新たな意味を持った。最初のふたつの音節は、ストップウォッチ機能の「クロノグラフ」を意味していたが、3つ目の音節は、クォーツ時計が主流だった当時、この時計を動かしていた機械式自動巻きムーブメントの「オートマティック」を表すようになったのである。ムーブメントには1973年にヴァルジュー7750が、後年にはETAが生産したムーブメントが採用され、ブライトリングが独自に改良を加えていた。

 その後25年を経て、ブライトリングは自社製のクロノグラフムーブメントを世に送り出すことになる。2009年に発表されたCal.ブライトリング01はクロノマットに搭載されてお披露目を果たした。組み立ての難しさからいくつもの改良が加えられ、堅牢に仕上げられたCal.ブライトリング01は、現在もブライトリングの数多くのクロノグラフウォッチに搭載されている。


日常使いに適したムーブメント

 Cal.ブライトリング01は、垂直カップリングを備えたコラムホイール式クロノグラフである。コラムホイールの生産は技術の進歩により、以前に比べると格段に容易になった。垂直カップリングによって、ストップウォッチ機構は切れのいいスタートを見せ、クロノグラフ秒針の針飛びはない。経過時間を独立したカウンターで表示する従来の方法と異なり、このシステムではカップリングが経過秒・分・時のカウンターへの接続を行う。ゼロリセットを行う特許取得のハートカムのセルフセンタリング・システムも革新的だ。例えばクロノグラフを停止させずにゼロリセットを行うなどの誤操作によるクロノグラフへのダメージを回避してくれる。またカレンダー機構にも同様に誤操作に対し安全策が取られている。機械にダメージを与えることなく、昼夜を問わずデイト調整が行えるような設計になっているのだ。デイト表示はほぼ瞬時に切り替わる。テスト機では午前0時の約3分前に自動的に新しい日付に切り替わった。将来のGMTやワールドタイマーモデルを視野に入れ、ベーシックなデイト表示の構造はデイトを前進後退の調整を手動で行えるようになっている。

 Cal.ブライトリング01は現代的ムーブメントの標準である約70時間のパワーリザーブを保持し、ブライトリングのすべての時計同様にC.O.S.C.認定を取得している。本モデルでは、ねじ込み式のサファイアクリスタル製ケースバックからムーブメントの駆動が鑑賞できる。テスト機において、完全に巻き上げた時も、トルクが落ちてきた時も、またクロノグラフの駆動の有無にかかわらず、偏差なく時を刻み続けた。

ブライトリング01

ブライトリングの自社製キャリバー、ブライトリング01。厚さは7.2mm、直径30mmで、C.O.S.C.認定を取得している。


短時間の時間計測に便利

 クロノマット B01 42は、30秒毎に回転する逆回転防止機能付きベゼルを備える。これらが200mの防水性能、そしてねじ込み式の玉ねぎ型のリュウズとともにクロノマットをダイバーズウォッチたらしめている。4カ所にある特徴的なライダータブは1980年代からの回帰である。これらはベゼルをつかみやすくして使い勝手を向上させるだけでなく、「15」「45」のライダータブを入れ換えることによって、回転ベゼルをカウントダウンベゼルとしても使用可能にする。カウントダウンに用いるベゼルのミニッツスケールの視認性も高い。過去には、クロノマットのカウントダウン機能はヨットマンによって使用されていた。フランジにあるタキメータースケールと合わせて、モータースポーツでの使用も可能だ。

クロノマット B01 42

ふたつの楕円形のプッシュボタンでクロノグラフを操作する。ねじ込み式のオニオン型リュウズによって200mの防水性が担保されている。

 タキメータースケールをよく見ると、赤色で1分を100分の1秒に仕切る目盛りが見える。愛好家にはこのディテールがブライトリングの初期モデルに由来するものであるとすぐに分かるだろう。これにより分を10単位で表示できるため、仕事の現場でも便利な機能となる。例えば、1日の労働時間を7時間45分でなく、7.75時間として表示するからである。他にも、センターのクロノグラフ秒針との組み合わせにより、36秒の経過時間は0.6分ということが瞬時に分かる。

 秒の経過はフランジまで届く、蓄光塗料が塗布された先端がカイト型の赤いクロノグラフ秒針で正確に表示される。クロノグラフの先駆者らしく、時分秒針のみならず、ストップウォッチ機能に関連するすべての針にも蓄光塗料が塗布されて、暗所でも経過時間を確認することができる。動き続ける秒針とファセットの効いたアワーのアプライドインデックスを含む通常の時間表示要素も同様に蓄光処理がされている。着用者には嬉しいディテールだが、このようなモデルは意外に少ない。

クロノマット B01 42

ブライトリングの特徴のひとつである、円柱型のリンクで構成されたルーローブレスレットが採用されている。


レトロスタイルとモダンデザインを兼ね備えたスポーティーな万能モデル

 クロノグラフを駆動させるのは、ふたつの楕円形のプッシュボタンだ。そのスタイルはモダンで、1984年以来初めて復活したルーローブレスレットが与えるレトロな印象とコントラストを成す。円柱型のリンクで構成されたルーローブレスレットはサテン仕上げのマットな質感を持ち、その先端は連結部分と同様にポリッシュ仕上げが施されている。ローラーは機能的なダブルフォールディングクラスプへと連なり、サイドにプッシュピースを備える。クロノマット B01 42は、細部に至るまでスポーティーな万能型としての要求にすべて応えるものである。


技術仕様

Ref.: AB0134101C1A1
機能: 時・分・日付表示、スモールセコンド、クロノグラフ(1/4秒、30分積算計、12時間積算計)、タキメータースケール、ねじ込み式リュウズ、ライダータブ付き逆回転防止回転ベゼル
ムーブメント: 自動巻き(Cal.ブライトリング01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。二ヴァロックス製ヒゲゼンマイ、ベリリウム製テンプ、耐震軸受けを採用。直径30.0mm、厚さ7.20mm。C.O.S.C.認定取得。
ケース: ステンレススティール製ケース、サファイアクリスタル製風防(両面無反射加工)、サファイアクリスタル製ケースバック、200m防水
ブレスレット&クラスプ: ステンレススティール製ルーローブレスレット、ステンレススティール製ダブルフォールディングクラスプ
サイズ: 直径42.0mm、厚さ15.1mm、ラグ幅22.0mm、重量198.0g
価格: 97万9000円(税込み)

精度安定試験 (巻き上げ直後とT24の日差 秒/日、振り角)

巻き上げ直後 T24
着用時: +0.8
文字盤上: -0.8 -1.1
文字盤下: +1.5 +1.1
3時上: -1.0 -2.2
3時下: +2.4 +1.5
3時左: +0.5/ -0.3
最大姿勢差: 3.4 3.7
平均日差: +0.5 -0.2
平均振り角
水平姿勢: 315° 303°
垂直姿勢: 284° 266°

※本記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。


Contact info: ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707


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