グランドセイコー キャリバー9S、25年の境地

2023.03.17

1998年に誕生して以来、改良を重ねながらさまざまなモデルに採用されてきたキャリバー9S系。今回、25周年を記念する2本の限定モデルが発表された。得意の文字盤加工技術で、岩手山から望む情景を表現した。

ヘリテージコレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル SBGH311

ヘリテージコレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル SBGH311
有機的なパターンを文字盤に施す手法は、近年グランドセイコーが特に力を入れている分野だ。本作には雲海を表現する独特なパターンが施され、文字盤を見る角度によって表情を変化させる。加えて本作のために開発されたスカイブルーのローターも見どころだ。自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径37mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。世界限定1200本(国内600本)。88万円(税込み)。
Photographs by Yoshinori Eto
Edited & Text by Kouki Doi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年3月号掲載記事]


グランドセイコーからキャリバー9S 25周年記念限定モデルが登場

ヘリテージコレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル SBGR325

ヘリテージコレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル SBGR325
透明感のあるラッカー仕上げは、グランドセイコーが得意とする手法だ。広大な空を表現するため明るいスカイブルーを採用し、ラッカー塗料を吹き付けている。また2本とも共通してローターはホイール型。ブランドを象徴する「グランドセイコーブルー」が際立つ。自動巻き(Cal.9S65)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS(直径37mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。世界限定1200本(国内600本)。70万4000円(税込み)。

 グランドセイコーにとって1998年はひとつの転機となった年である。およそ20年ぶりに機械式時計を復活させ、スイスのクロノメーターを超える厳格な「新グランドセイコー規格」に基づく精度を実現するキャリバー9Sを開発。マイナス3〜プラス5秒以内という高い精度と、当時としては長い約50時間のパワーリザーブを両立するキャリバー9Sは、パーツの形状や素材を改良しながら、今日まで進化を続けてきた。

 その名機の誕生から25年という節目を迎えた今年、最新のキャリバー9S系を搭載した2本の限定モデルが披露された。共通するのは「グランドセイコースタジオ 雫石」近くの岩手山から望む情景を表現したという点であるが、そのデザインはキャリバー9Sを初採用した1998年発表の「SBGR001」に基づいており、普遍的な美しさを持ち続けるGSの「ベストベーシック」を体現するものである。直径37mmのケースにはザラツ研磨が施され、滑らかな曲面に歪みはない。

 まず、キャリバー9S85搭載の「SBGH311」は、岩手山の周囲に広がる雲海をイメージした有機的な模様の文字盤が特徴だ。3万6000振動/時で時を刻み、耐久性と耐磁性に優れた素材「スプロン」製のヒゲゼンマイ、MEMS技術によって作られた軽量な脱進機が、ハイビートでの安定した精度に貢献している。続いてキャリバー9S65を搭載する「SBGR325」は、岩手山の山頂から見上げる空を表現した、サンレイ仕上げのスカイブルー文字盤が目を引く1本。キャリバー9S85同様にMEMS技術を用いた脱進機を使用し、2万8800振動/時で時を刻みながら、より実用的な約72時間のパワーリザーブを保持している。いずれも進化の節目にふさわしい限定モデルである。



Contact info: グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617


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