G-SHOCK「フロッグマン」の新作MRG-BF1000Rをレビュー。最強&最高級ダイバーズには、潜らない者を“その気にさせる”機能も!?

FEATUREインプレッション
2023.04.22

陸ダイバーの夢想も叶える完璧な機能

 そんなふうに気分が高まれば、ダイビングをしない者もダイバーズウォッチの機能を確認したくなるというもの。大まかに言えば本作は、ケース外周に配置された4つのボタンとリュウズ、そしてそれらの組み合わせによってすべての操作を行う。説明書によれば左上から時計回りにAボタン、Bボタン、リュウズ、Dボタン、Cボタンとなる。

 文字盤の上を眺めていこう。ダイバーズらしい、太く視認性の高い時分針とバーインデックスが目に入る。ちなみにAボタンを押すと時分針は一時的に移動(11時半あるいは5時半の位置に移動する)し、他の表示が見やすくなる。門外漢でも結構楽しい。

MRG-BF1000R-1AJR

左上のボタンを押すと5時半(あるいは11時半)の位置に時分針が移動。10秒で元に戻る。

 視認性ということで言えばガラスとライトにも触れねばなるまい。傷に強く透明度の高い、反射防止コーティングを施したサファイアクリスタル風防。暗所での視認性を確保する高輝度LEDライト。その組み合わせは、海中のダイバーたちに大きな安心感を与えてくれるだろう。

 10時位置が24時間計。8時位置がデュアルタイム時分針で、その右下の小さな針が24時間制小時針だ。4時〜5時位置の窓が日付である。

そして3時位置がモード針。アラーム、タイマー、ストップウォッチ、サマータイム設定、曜日(カレンダーモード)、タイドグラフ、そして白抜き文字の“D”がダイブモードだ。左下のCボタンをプッシュするごとにモードが切り替わる。またどのモードからでも、2秒以上の長押しでダイブモードとなる。

MRG-BF1000R-1AJR

ケースの裏側。チタン製のスクリューバックにサファイアガラスを圧入。愛嬌のあるフロッグマンのキャラクターが刻印されている。

 デュアルタイムはアプリ「CASIO WATCHES」で設定する。ダイバーズウォッチらしいのは港を設定できる点。アプリの「マイウォッチ」から「タイドポイント」をタップし、表示された世界地図からポイントを選ぶ。世界約3300のポイントの中から、小笠原諸島の父島を選んでみた。

 ダイブもしくはタイドグラフモードで、設定した港の現在時刻がデュアルタイム時分針に表示される。タイドグラフモードに切り替えると小笠原はちょうど満潮であった。行ってみたいな小笠原。

MRG-BF1000R-1AJR

アプリ「CASIO WATCHES」で港を設定。慶良間でもソロモン諸島でもお好みで。陸ダイバーも無邪気に楽しいのである。

 そして当たり前だが本懐のダイビング機能も完璧だ。潜水時間およびサーフェスタイム(水面休息時間)の計測。ダイビングログデータの記録。満潮時刻の補正。ダイバーたちを十全にサポートする、頼れる相棒だと断言したい。


タフネスを具現化し続けたG-SHOCKの40年

 今年2023年は、G-SHOCK誕生40周年に当たるのだとか。思い返せば1970年代に生まれた者にとって、G-SHOCKは単なる腕時計以上の存在であった。時代を写す鏡であり、ともに成長する仲間のようなものだったと思う。

 中学生になると、活きのいいヤツらがGーSHOCKを着け始めた。学級委員系はシチズンのデジタル。ファッション好きはスウォッチに飛びついた(すべて個人の感想です)。

 何が言いたいかというと、「腕時計がパーソナリティを表わす」ことを幼い心が感じとったということだ。それが情緒の発達にどんな影響を及ぼしているかは知る由もない。が、たとえ同じ制服を着ていても、小さな道具ひとつで個性は出せると知ったのである。

 その後もG-SHOCKの思い出は尽きない。1989年に登場したアナログ/デジタルのコンビネーションは衝撃だった。誰もが「アナログに戻しちゃったよ!」と突っ込んだと思う。それでも文句なしに格好良かった。当時の裏原宿系ファッションリーダーたちがこぞって身に着けていた事実も、「G-SHOCKはお洒落的にアリ」の認識を広める要因になったはずだ。

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1989年に発表されたGショック初のアナデジ「AW-500」。

 90年代前半の印象は個人的には「イルカ・クジラモデル」。国際イルカ・クジラ会議を記念した限定もので、半透明のスケルトンケース&バンドが最大の特徴だ。ELバックライトを点灯するとクジラがポワッと浮かんだ。

キリがないのでもうやめておくが、この90年代というのが、おそらくG-SHOCKにとって重要な時代だったのだと思う。実際、現在のラインナップの大多数はこの時代にデビューしている。本作に直接関係するフロッグマンは93年、MR-Gは96年(シリーズとしては99年)の登場だ。

 言い換えればG-SHOCKは、デビューから15年あまりの時間をかけて腕時計にタフネスの概念を付与したのだ。本作のような遊び心あるモデルが決して浮ついた印象にならないのは、その基礎工事があるからだと思う。昨日今日の出来星じゃあ、ないんだな。

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G-SHOCKとともに自分を歴史を重ねてきたと思うと勝手に感慨深い。しんみりして歩道橋の上から撮った特段意味のないカットである。

 もの作りとは技術の伝承であり、技術の伝承とは歴史にほかならない。G-SHOCK40周年の報を聞き本作をレビューして、改めてそう感じ入った次第である。真面目か。


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G-SHOCKの新モデル「フロッグマン GW-8230NT-4JR」を着用して分かったこと。オリジナルモデルに思い入れのある人も満足の1本だ!

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