ハミルトンってどんなブランド? 歴史や特徴を解説するとともに、現行モデルから7本を厳選!

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2024.07.18

ハミルトンは機能性と優れた意匠を両立した腕時計を作ってきた。抑えた価格にも定評があり、高級腕時計の入門としてのみならず、愛好家の2本目、3本目としてもおすすめできる。そんなハミルトンの歴史や定番コレクション、おすすめモデルを紹介しよう。

ジャズマスター オープン ハート


アメリカ生まれの時計ブランド「ハミルトン」

ハミルトン

1892年にアメリカのペンシルベニア州ランカスターで創業したハミルトン。その歴史は懐中時計の製造から始まり、数々の傑作時計が生み出された。

高級時計の聖地として真っ先に浮かぶのはスイスだろう。歴史と伝統を誇る名門が軒並み名を連ねる。

しかし、ハミルトンは1892年にアメリカで創業したブランドだ。アメリカの精神とスイス伝統の製造技術を兼ね備える稀有なブランドとして、長きにわたって時計ファンに愛されている。

鉄道時計として発展

POCKET WATCH 992

1920年に製造された鉄道時計「POCKET WATCH 992」。当時のアメリカにおける鉄道事故は、ハミルトンの高精度な時計による時刻測定によって解決されたと言っても過言ではない。

ハミルトンの歴史は蒸気機関車の登場と深い関わりがある。

当時のアメリカは1830年代に蒸気機関車が運行を始めたことをきっかけに、輸送網が急速に発展した。ただ、それと同時に増えたのが時計の誤差を原因とする鉄道事故だ。

この時代には、もちろんクォーツ時計は存在しない。時間の管理は全て機械式時計によって行われていた。今でこそ機械式時計は非常に高い精度を誇るが、当時の機械式時計はまだ信頼性に欠けていたのが実情だ。

混迷を極めた鉄道業界に高い時計製造技術で注目されたのが、ハミルトンである。1912年、精度の高いハミルトンの懐中時計は「鉄道公式時計(The Watch of Railroad Accuracy)」の称号を獲得した。

高精度な時計により鉄道の細かな時間管理が可能となり、ハミルトンの名は世界中に知れわたる。その後、ハミルトンの時計は鉄道以外の業界でも活用されるようになり、1918年にはワシントンDCからニューヨークまでの、アメリカ航空郵便サービスにも採用された。

正確で信頼性が高いハミルトンの時計は、鉄道会社だけでなくパイロットからも絶大な支持を集めていたことで知られる。

軍用時計としての需要

ミリタリーウォッチ - グレードII

ハミルトンが製造していた「ミリタリーウォッチ - グレードII」。グレードIIとは、アメリカ軍で規定されている精度要件のこと。

ハミルトンは1914年にアメリカ陸軍への納入を開始する。この頃から同社は懐中時計から、腕時計の製造にシフトし始めた。

1920年代には軍事作戦用の時計を含めた数多くのミリタリーウォッチが製造され、アメリカ海軍や空軍の兵士に広く愛用されることになる。

マリンクロノメーター

ハミルトンがアメリカ海軍に納入していたマリンクロノメーター。

第二次世界大戦中の1942年には、一般向けの時計の製造をストップし、アメリカ軍への膨大な軍事供給を実現した。

軍用時計として重宝されてきた歴史は、ハミルトンの腕時計に軍のニーズに応えるだけの機能性があった証拠と言えるだろう。

‘E’Award

第二次世界大戦中、ハミルトンはアメリカ軍に100万個以上もの腕時計やマリンクロノメーターを供給。その功績が評価され、1943〜45年の間、軍需品生産の優れたサプライヤーのみに贈られる、米国陸海軍の「‘E’Award」を5度にわたり受賞した。

時計の歴史を塗り替えた「ハミルトン パルサー」の誕生

ハミルトン パルサー タイム・コンピューター

1970年5月6日、世界初のLED式デジタルウォッチとして発表された「ハミルトン パルサー タイム・コンピューター」。時計の横に位置したボタンを押すと、画面から赤いLEDの数字で時刻が表示され、ボタンを長押しすると秒が表示される方式は、今までの時刻表示の概念を一変させた。

軍事時計として名を馳せたハミルトンは、1970年にデジタルウォッチの先駆け、「ハミルトン パルサー タイム・コンピューター」を発表する。

この時計は「腕に着けるコンピューター」として高く評価され、時計界の常識を覆すことになった。今では珍しくないデジタル式時計だが、それをいち早く手掛けたのはハミルトンである。

伝統的な時計製造技術だけでなく、先進分野において優れた開発力を持つことも、ハミルトンの魅力だと言える。


ハミルトンを代表するコレクションと歴史

現在のハミルトンを代表するコレクションとして挙げられるのは、「ジャズマスター」「ベンチュラ」「カーキ フィールド」の3つだ。

いずれもスペックだけでなくコストパフォーマンスにも優れ、若手ビジネスマンを中心に支持を集めている。

ジャズの精神を受け継ぐ「ジャズマスター」

「ジャズマスター」は、ジャズの世界を再現したハミルトンの人気コレクションだ。基本に忠実な時計スタイルで、曲線が美しいラウンドフォルムを特徴としている。

ジャズのアドリブ演奏のように豊富なバリエーションが展開されており、ファッションに合わせた時計選びが楽しめる。

「ジャズマスター」の主なラインナップとしては、顔として愛される「オープン ハート」、スポーツシックな新作「パフォーマー」、普遍的でシンプルなデザインが美しい「ビューマチック オート」などがある。

映画界との関係性が強い「ベンチュラ」

エルヴィス・プレスリー

「ベンチュラ」はミュージカルコメディ映画『ブルー・ハワイ』で、主人公のエルヴィス・プレスリーの腕に着用された。その後もエルヴィスは公私にわたって「ベンチュラ」を愛用した。

機械式ではなく電池式時計として誕生した「ベンチュラ」は、左右非対称の独創的なフォルムが個性的なコレクションである。

1961年に公開された映画『ブルー・ハワイ』で着用されたことをきっかけに、「ベンチュラ」はハミルトンを代表するコレクションとなった。

ハミルトンは電池式腕時計の先駆けであり、時計業界に革新をもたらしたモデルとして業界内からの評価が高い。当時の大卒初任給の約6倍にも及ぶ高値で販売されたが、利便性の高さから非常に大きな話題となった。

「ベンチュラ」のデザインについては、その独創的な「ベンチュラ」のスタイルを作り上げた、アメリカの著名なインダストリアルデザイナー、リチャード・アービブの存在である。

彼は時計全体がひとつのデザインとして完結すべきという信念のもと、ダイアルからブレスレットに至るまで、全てを一体化させた斬新なウォッチデザインを完成させた。

陸軍の時計をルーツとした「カーキフィールド」

「カーキ フィールド」は、アメリカ陸軍へ支給された“ハックウォッチ”を現代的に再解釈した、ミリタリーテイストのモデルだ。視認性の高さと実用的なスペックを兼ね備えた、“リアルミリタリーウォッチ”と言えよう。

「カーキ フィールド」はダイアルのバリエーションだけでなく、ストラップの種類も豊富だ。特にカスタム性に優れるNATOストラップは、そのタフさも相まって幅広い年齢層から支持されている。


押さえておきたいハミルトンの人気モデル

いざハミルトンを手にしようとしたとき、その種類の多さに迷ってしまう人もいるだろう。ハミルトンの腕時計から、特に人気のある定番モデルを紹介する。

「ジャズマスター オープンハート」Ref.H32675540

ジャズマスター オープンハート

ハミルトン「ジャズマスター オープンハート」Ref.H32675540
自動巻き(Cal.H-10)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.5mm)。5気圧防水。15万8400円(税込み)。

「ジャズマスター オープン ハート」は、ハミルトンにおいてトップクラスの人気を誇るシリーズだ。

ダイアルの一部がカットアウトされた設計となっており、ムーブメントの精密な動きを視覚的に楽しめる時計になっている。針の形状やインデックスのデザインにも遊び心があり、モダニズムを感じさせる名機として時計ファンに支持されている。

「ジャズマスター」コレクションは見た目だけでなく、スペックの面でも非常に優れている。高級時計としては、実用価格帯に位置するモデルだが、パワーリザーブはハイエンド機に匹敵する約80時間だ。非磁性合金ニヴァクロン製のヒゲゼンマイが採用されているため、耐磁性能も高級時計に全く引けを取らない。

Ref.H32675540はブルーのスモーク文字盤にスティールケース、ブラウンのレザーストラップを合わせたモデルだ。派手すぎず、優雅な佇まいを感じられる。

「ジャズマスター オープンハート」Ref.H32675170

ハミルトン ジャズマスター オープンハート

ハミルトン「ジャズマスター オープンハート」Ref.H32675170
自動巻き(Cal.H-10)。25石。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.05mm)。5気圧防水。16万9400円(税込み)。

同じくジャズマスター オープン ハートの、2024年新作モデル。スモーキーなバーガンディ文字盤が印象的だ。アイコニックなカットアウトからのぞく内部機構とグラデーションダイアルの組み合わせは、ハミルトンのジャズマスターシリーズへ向けられた都会的な美徳を上手く表現している。

上質なワインのイメージで作られた文字盤のバーガンディカラーはグラデーションしており、文字盤外周のブラウンから中央のラスティレッドまで、さまざまな表情を見せる。そこに組み合わせられるステンレススティール製のブレスレットはサテン仕上げでマットな質感を出し、独創性を際立たせている。

「ジャズマスター パフォーマー オートクロノ 42mm」Ref.H36656140

ハミルトン「ジャズマスター パフォーマー オートクロノ 42mm 」Ref.H36656140
自動巻き(Cal.H-31)。29石。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42mm、厚さ15.22mm)。10気圧防水。34万3200円(税込み)。

 「ジャズマスター パフォーマー」は2023年に発表されたコレクションだ。ドレスウォッチがメインのジャズマスターシリーズに、“スポーツシック”というコンセプトを取り入れた。スタイリッシュさを保ちながらもスポーティなデザインのモデルたちが加わった。

42mm径のケース、ケースと同じくステンレススティール製のベゼルに刻まれたタキメーター、サテン仕上げが貴重となったブレスレットなどはスポーティーな印象をもたらす一方で、文字盤をペールブルーカラーとすることで、爽やかさも感じさせる。

搭載するムーブメントは、非磁性補正合金ニヴァクロン製のヒゲゼンマイ、そしてパワーリザーブ約60時間の自動巻きクロノグラフCal.H-31。

機械式クロノグラフモデルが30万円代半ばで購入できるという価格も魅力的だ。

「ベンチュラ」Ref.H24411732

ベンチュラ

ハミルトン「ベンチュラ」Ref.H24411732
クォーツ(Cal.F05.111)。SSケース(縦32.3mm×横50.3、厚さ9.27mm)。5気圧防水。13万4200円(税込み)。

1957年に世界初の電池式時計として誕生したモデルを忠実に再現したクォーツウォッチが「ベンチュラ」だ。

遠目から見てもハミルトンの腕時計だと分かるほど、独創的なデザインを備えている。このトライアングルケースとブラックダイアルに、ポイント状にエンボス加工されたインデックスが、他のモデルにはない魅力を放つ。

左右非対称のアヴァンギャルドなデザイン、そこには時計としての着け心地へのこだわりも計算されている。

「カーキ フィールド エクスペディション 37mm」Ref.H70225130

カーキ フィールド エクスペディション

Photograph by Masanori Yoshie
ハミルトン「カーキ フィールド エクスペディション 37mm」Ref.H70225130
自動巻き(Cal.H-10)。25石。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径37mm、厚さ11.45mm)。10気圧防水。16万5000円(税込み)。

 「カーキ フィールド エクスペディション」は、ハミルトンのアウトドアウォッチとして2023年に発表されたコレクションだ。

カーキ フィールドならではの見やすい数字、ねじ込み式リュウズ仕様で10気圧防水というタフな機能性といった、実用的な時計に仕上がっている。さらにムーブメントはパワーリザーブ約80時間の自動巻きCal.H-10を採用した。

ハミルトン初のコンパスベゼルを採用し、太陽の位置から方角を知ることができるのは、まさにアドベンチャー向きに作られたモデルならでは。一方でコンパクトでスタイリッシュな外観をを有するため、ビジネスシーンにもマッチするだろう。

なお、本コレクションではレザーストラップモデルやNATOストラップモデルもラインナップされている。

「カーキ パイロット」Ref.H76215140

ハミルトン「カーキ パイロット」Ref.H76215140
自動巻き(Cal.H-10)。25石。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径36mm、厚さ11.15mm)。10気圧防水。各16万8300円(税込み)。

ハミルトンの航空時計の歴史は長い。1918年、ワシントン〜ニューヨーク間で始まったアメリカ初の定期航空郵便公式時計にハミルトンの時計が採用されて以来、100年以上にわたって航空業界へ向けた時計を作り続けている。

そんなハミルトンの航空時計のうち、2023年に発表されたのが、直径36mmのケースに厚さ11.15mmというコンパクトな外装を持つ「カーキ パイロット」だ。文字盤の外周部分はすり鉢状になっており、大小の差をつけた文字盤のアラビア数字インデックスを伴って、時計全体に立体感を生み出している。

また、インデックスと針にはX1グレードのスイス製スーパールミノバ®︎を塗布しており、明るい場所のみならず、暗所での判読性に優れる点も特徴だ。

ツールウォッチでありながらもサンレイ仕上げのディープミッドナイトブルー文字盤は綺麗めな印象を与え、ビジネスシーンでも合わせやすいモデルとなっている。

ハミルトン「カーキ フィールド マーフ 38mm」Ref.H70405730

カーキ フィールド マーフ 38mm

ハミルトン「カーキ フィールド マーフ 38mm」Ref.H70405730
自動巻き(Cal.H-10)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径38mm、厚さ11.1mm)。10気圧防水。13万6400円(税込み)。

「マーフウォッチ」の愛称で知られる「カーキ フィールド マーフ」。2014年に公開されたSF映画『インターステラー』で着用され、一躍定番モデルの仲間入りを果たした。SFウォッチとして名高いひとつだ。

コブラ針を配したヴィンテージテイストが美しい1本であり、インデックスには夜光塗料スーパールミノバ®︎が採用されている。

オリジナルモデルは42mmサイズだが、38mmの小ぶりなモデルも、日本人の腕のサイズによく合うことから人気が高い。ストラップを交換するだけで、全く違った表情を見せてくれるので、さまざまなベルトの組み合わせを試してみたい。


モダンな魅力が際立つハミルトンの時計

ハミルトンはアメリカを発祥の地とするブランドだけあって、伝統的なスイス時計とは違った別の個性を持つ。価格も機械式時計の中ではリーズナブルなゾーンに入るため、機械式時計の入門機としてもおすすめのブランドだ。鉄道黎明期を支えたヒストリー、軍用時計としてミッションに応えた実績を振り返りながら、長く愛用できる1本をまず、ハミルトンから探してみてはいかがだろうか。


Contact info: ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7371


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