TAG HEUER CARRERA CALIBRE 1887 CHRONOGRAPH [2012]
60年代の意匠に回帰したCal.1887搭載第2世代機

2012年に発表された、「タグ・ホイヤー カレラ 1887 クロノグラフ」のデザイン違い。ケースを2mm拡大したほか、よりドレスウォッチに近いデザインを持っている。“万能時計”であるカレラの、日常使いに向く側面を強調したモデルである。自動巻き(Cal.1887)。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径43mm)。10気圧防水。50万5000円(現在は一部にデザイン変更あり)。
2004年のカレラ40周年記念モデル以降、カレラは明らかにファーストモデルを意識するようになった。その際に重要だったのはタグ・ホイヤーが、ただカレラの名称と意匠を再現しただけでなく、そのデザインコードを認識したことだろう。加えて同社はカレラ復活のプロジェクトを通して、ドレスウォッチとスポーツウォッチの差異を明確に自覚するようになった。タグ・ホイヤー本社の見解はこうだ。
「私たちはセラミックベゼル、太いアラビックインデックス、そして赤い挿し色を持つカレラをスポーツウォッチと考えています。対してベゼルを絞り、繊細なバーインデックスと控えめなタキメーターを見返しに備えたモデルを、ドレスウォッチと見なしています」
果たして現在のタグ・ホイヤーは、万能時計のカレラを、いかようにも味付けできるだけの力量を持つに至った。その成果のひとつが、2012年発表の本作だろう。搭載するのは高性能なクロノグラフムーブメント。しかしデザインやディテールは、タグ・ホイヤー カレラ 1887 クロノグラフのファーストモデル(2010年)に比して、いっそうドレスウォッチに近くなった。とはいえ見返しやラグといった要素に注目すると、これは紛うことなきカレラだ。
2000年以降、カレラとは何か(つまりタグ・ホイヤーとは何か)を再認識していったタグ・ホイヤー。タグ・ホイヤー カレラ1887 クロノグラフで原点回帰を果たした同社が、以降デザインの振り幅を広げられたのは当然だろう。確かに現在のカレラに、デザインの統一性はあまりない。しかしデザインコードに注目すれば、どのモデルも正統なカレラであることが、言わずとも理解できるのである。

