総重量は52g以下! ユリスナルダンが発表した世界最軽量級の機械式ダイバーズウォッチ『DIVER[AIR](ダイバー エアー)』

2025.05.05

ユリス・ナルダンにとって、限界とは常に打ち破るべきものなのだろう。同社は秘められていた時計製造の可能性を実現し、新たなる挑戦に挑んた。それが、世界最軽量級の機械式ダイバーズウォッチ「Diver [AIR](ダイバー エアー)」である。

ユリスナルダン 
 ダイバーエアー

ユリス・ナルダン社のダイバーズの歴史

 ユリス・ナルダンは、他の時計メーカーに先駆けて早くからダイビングシーンに参入し、1893年にブランド初の防水計器、1964 年にブランド初のダイバーズウォッチ、そして 2001 年には永久カレンダーを搭載し、200 メートル防水の世界初にして唯一のダイバーズモデルであるアクア・パーペチュアルを世に送り出した。さらに、2021 年、ユリス・ナルダンはダイバーズウォッチにスケルトン構造を組み合わせることで業界に革命をもたらしたタイムピース、ダイバー X スケルトンを発表。実際、今日では多くのコレクターが、衝撃に耐えられる頑丈な日常使いの時計としてダイバーズウォッチを購入し、また、大切に身につける貴重な宝石として高級時計をコレクションに加えることもある。ユリス・ナルダンは両方の最高の要素をシームレスに兼ね備える時計を構想した。

 究極のスポーツウォッチを実現するには、さらに改良の余地もあった。より強く、より洗練され、そして何よりも軽量でなければななない。極限の環境にも耐えるよう設計されたスケルトン構造のスポーツウォッチ「ダイバー エアー」が誕生した。それは、従来の半分の重量まで軽量化を実現したウォッチである。

ダイバー エアー

 ハイオロロジー、ハイテクノロジー、ハイパフォーマンス。これらは、ダイバー エアーを物語る 3 つの特長である。すでに強烈な印象を放つ 3 つの強みが、この度、史上初めて 1 つにまとめられた。ダイバー エアーは、不可能を可能にしたダイバーズウォッチなのだ。

ユリスナルダン 
 ダイバーエアー

ユリス・ナルダン「ダイバー エアー」Ref.3743-170-2A/0A
自動巻き(cal.UN-374)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。アップサイクル・シリコンウェハー(生産廃棄物)から製造した DIAMonSIL 脱進機を採用。90%リサイクルTi製ケース(直径44mm、厚さ14.7mm)。サイドパーツはNylo®-Foil (Fil & Fab社製のリサイクル漁網Nylo®を60%、CDK Technologies社製のアップサイクルカーボンファイバーを40%配合)。コンケーブ回転ベゼルはCarbonFoil (CDK Technologies社製のアップサイクルカーボンファイバー100%)。 ドーム型サファイアガラス。重量は52g以下を実現(時計のヘッド部分の重さは46g以下、ストラップの重さは6g以下)。200m防水。600万6000円(税込み)。

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世界最軽量の機械式ダイバーズウォッチ

ユリスナルダン 
 ダイバーエアー

 参考までに、2019年に発売されたユリス・ナルダンのダイバー 44mm の重量は 120.5g で、丈夫で堅牢なダイバーズウォッチとしては想定内の重さだった。2021 年のダイバー X スケルトンは、その重量を 15g も削減し、総重量は105.8g となっている。スケルトンキャリバーの内部にどれほどの余白があるかを考慮すると、軽量化がいかに困難な課題であるかがわかってもらえるだろう。それでも、ダイバー エアーは、ダイバー 44mm から 68.6g もの重量を削減することに成功し、ダイバー X スケルトンの半分以下の重量を実現している。これは、率直に言って、非現実的と思えるほどだ。その方法は、ダイバー X スケルトンの UN-372 ムーブメントを基盤として、全体的に再設計し、ユリス・ナルダンの新しい革新的なハイテクキャリバー UN-374 を開発。ストラップ込みでわずか 52g、ストラップを外すと 46g というダイバー エアーの驚異的な軽さを実現するために、ダイバー X スケルトンのキャリバーから素材を取り除く必要があった。その一方で、時計の信頼性と性能は妥協することなく維持しなければならないのだ。

 軽量化のために、ユリス・ナルダンのデザイナーたちはムーブメントの素材を削り、その一方で、なんとかしてさらに強固なものにしようと努めた。それは、細長いブリッジを使用して三角形を形成することで実現した。三角形は、曲げやゆがみに抵抗するために、工学や建築分野で見られる堅固な形状だ。質量が減っても、構造にさらなる弾力性がもたらされる。この技術は、ユリス・ナルダンが最初のスケルトンウォッチを製作して以来、30 年以上にわたって培ってきたものであった。

 時計内部の空間は 80% が空気で、素材(時計のムーブメント)はわずか 20% であるにもかかわらず、高度にスケルトナイズされたキャリバー UN-374 は、5,000g という強烈な衝撃にも耐えることができる。また、一般的な衝撃や振動に対する耐久性もテストされ、数日間にわたって数千の衝撃を繰り返し、ラボ内だけにとどまらず、実際の環境下でも性能が試され、ユリス・ナルダンの名にふさわしい時計であることが証明されている。

新キャリバー UN-374

キャリバー UN-374

新しいキャリバーをよく見ると、ユリス・ナルダンが性能を妥協することなく、いかにして大幅な軽量を実現したかが分かりやすい。ブリッジは幅がわずか数ミリで、さらなる軽量化を実現するために空洞になっており、一方、巻き上げローターは必要最小限のサイズに抑えられている。動力を蓄える主ゼンマイの香箱は、トップブリッジの重量を減らすためにフライング構造に再設計された。さらに軽量化を図るため、香箱自体の素材も取り除かれ、キャリバーの総重量はわずか7g という、すでに軽量であったダイバー X スケルトンムーブメントの半分以下の重さまで減少した。いくつかの部品も再設計され、最適なパフォーマンスを実現するだけでなく、全体の魅力を向上させる視覚的なバランスも追求されている。結局のところ、性能と同じくらい見た目も魅力的な時計を好まない人はいないだろう。

ユリスナルダン ダイバーエアー

なぜ自動巻き機構を取り除いてさらなる軽量化を図らなかったのか?

 ダイバーズウォッチには満たさなければならない厳格な公式基準があり、自動巻き機構はその必須条件のひとつである。さらに、キャリバー UN-374は、革新的なフライングバレルのおかげで、実に 90 時間のパワーリザーブを誇る。「ダイバー エアー」には、快適な着け心地を追求したホワイトとオレンジの超軽量伸縮性ストラップが 2本 付属しており、スクラッチクロージング留め具を採用。これらのストラップは工具を使わずに簡単に交換でき、時計の機能性だけでなく使い勝手の良さも魅力となっている。

次世代素材

ユリスナルダン ダイバーエアー

 一般的に、時計のムーブメントは真鍮から作られており、その密度は 8.7g/cm³ と比較的重量がある。アルミニウムは 2.7g/ cm³ と軽量だが、柔らかいため、時計のムーブメントの厳しい要求には適していない。チタンは 4.5g/cm³ で、スティールよりも 45% も強度があるという点でバランスが取れているが、加工が非常に難しいことで知られている。

 また、製造中に発火する傾向があり、非常に慎重かつ時間をかけて加工する必要があるため、時計のムーブメントにはほとんど使用されていなかった。こうした課題があるにもかかわらず、ユリス・ナルダンは耐久性と軽さを兼ね備えたチタンを初めて採用し、ブランドにとって画期的な革新を成し遂げた。ユリス・ナルダンは、時計の正確な計時を担う重要部品である脱進機に、耐磁性に優れ、かつ軽量なシリコン製脱進機を採用。この脱進機は、標準的なテンプの半分の重量しかない。しかし、それはキャリバーだけではないのだ。新しい 44mm ケースも、可能な限りのグラム単位の軽量化を実現するために素材の全面的な見直しが必要だった。

ユリス・ナルダン ダイバー エアー

 そこで、チタンとカーボンファイバーからなるモジュール構造が採用された。モータースポーツや航空宇宙の最高峰で十分通用する素材であれば、ユリス・ナルダンの時計にも適しているからだ。では、なぜモジュールなのか? カーボンファイバーは外観が美しいだけでなく、密度が 1.8g/cm³ と非常に低く、スティールの 4 分の 1 以下、チタンの半分以下である。耐水性に特に優れているわけではないため、ムーブメントはチタン製のミドルケースに収められ、200m の防水性を実現。この深さでは、サファイアガラスは 170kg の重量が真上からかかっているのとほぼ同じ状態に置かれる。

革新的エコシステム

ユリス・ナルダン ダイバー エアー

 ユリス・ナルダンは、チタンやカーボンファイバーのサプライヤーに頼るのではなく、さらに踏み込んで、市場のリーダー企業やスタートアップ企業とパートナーシップを結び、革新的な素材を「ダイバー エアー」プロジェクトに取り入れた。この時計製造における最先端のアプローチは、2020 年にユリス・ナルダンのコンセプトウォッチ、ダイバーネットで初めて導入されたものだ。「ダイバー エアー」のムーブメントとミドルケースに使用されているチタンは、高価で希少な素材だが、その 90% にリサイクルされたものを使用している。
 
 この主要なハイテク素材に関して、ユリス・ナルダンはチタン製造のトップ企業である TiFast 社と、自動車技術、マテリアルサービス、マリンシステムに精通し、素材、エンジニアリング、テクノロジーソリューション分野の世界的リーダーである Thyssenkrupp 社と提携した。 TiFast 社はまず、スイスのバイオメディカル産業からチタンを回収し、トスカーナでリサイクル処理を行う。その後Thyssenkrupp 社が、そのリサイクルチタンをトップクラスの技術と熱処理によって加工し、機械加工と変形特性を向上させている。

 ケースのサイド部分は、60% の Nylo® と 40% のカーボンファイバーを独自に配合した Nylo®-Foil で作られており、従来のカーボンファイバーよりもさらに軽量に仕上がっている。Nylo® は、海洋ネットから採取された素材で、フランスのリサイクル関連スタートアップ企業である Fil & Fab が供給している。また、カーボンファイバーは、CDK Technologies 社が製造した世界最速の IMOCA セーリングボートから回収され、サーキュラーエコノミーに尽力するExtracthive 社によって、元の繊維の状態まで丹念にリサイクルされた。その後、Nylo® とカーボンファイバーは、 Lavoisier Composites 社によって加工され、Nylo®-Foil として知られるハイテク素材が生まれた。発光ベゼルインサートは、IMOCA ヨットの炭素繊維を 100% アップサイクルした CarbonFoil から鍛造され、大理石のようなパターンに刻み、圧縮される。最後に、脱進機は Sigatec 社が供給するアップサイクルされたシリコンウェハーから製造されており、この革新的なアプローチの重要な役割を担っている。


Contact info: ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791


ユリス・ナルダンが本気でサステナブル素材を採用した「ダイバー ネット OPS」と「ダイバー X スケルトン OPS」

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