セイコー 1973年発売の6桁表示デジタルウォッチ、「未来技術遺産」に認定

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2019.09.19

 1973年発売のデジタルウォッチ「セイコー クオーツLC V.F.A 06LC」が国立科学博物館によって「重要科学技術史資料」(通称:未来技術遺産)として認定された。同作は世界で初めて時刻表示に6桁液晶ディスプレイを採用した腕時計で、諏訪精工舎(現・セイコーエプソン)が開発・製造した。

セイコー クオーツLC V.F.A 06LC

「セイコー クオーツLC V.F.A 06LC」。開発・製造:株式会社諏訪精工舎(現・セイコーエプソン株式会社)。販売:株式会社服部時計店(現・セイコーホールディングス株式会社)。Tiケース(縦26mm×横29mm、厚さ8.35mm)。

 未来技術遺産は2008年に創設された。日本の科学技術史の観点から重要な意義を持つ発明や開発品を、国立科学博物館が認定・登録する制度で、2018年には世界初のクォーツ式腕時計「セイコー クオーツアストロン35SQ」が登録されている。

「セイコー クオーツLC V.F.A 06LC」は、時・分・秒を常時表示できる画期的なデジタルウォッチとして、1973年10月に発売された。70年代初頭、デジタルの時刻表示としてはLED(発光ダイオード)方式やその他の液晶方式も存在していたが、諏訪精工舎(現・セイコーエプソン)はより消費電力が低く、視認性が高いFE(Field Effect・電界効果型)方式液晶の独自開発に着手・成功した。
 FE方式液晶では、電圧を加えると配列を変える液晶分子の仕組みを利用し、かける電圧を変えることで色や透明度を調整して時間を表示。FE方式による6桁時間表示は以降のデジタルウォッチの世界的な標準となった。

「セイコー クオーツLC V.F.A 06LC」の実物は、セイコーミュージアム(東京都墨田区)の常設展示で見ることができる。