エナメル装飾や細密彫金など、伝統的な手工芸の粋を極めて生み出されるメティエ・ダール。複雑系のムーブメントや宝飾系とは異なった、もうひとつのオート・オルロジュリの究極である。再び盛り上がりそうな予感を受けて、腕時計限定で良作をチョイス。さてその結果は?

 

華麗なるメティエ・ダール

1位 91point / 5persons

ヴァン クリーフ&アーペル / ポエティック ウィッシュ

Photo:「ミッドナイト ポエティック ウィッシュ」。 手巻き。18KWG。4431万円。 問ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク ■0570-00-8202

●お題を見て真っ先に思い出した文句なしの1位。エナメル装飾、彫金、象嵌細工などなど名門ジュエラーが持てる技術の粋を集め、詩的で物語性のあるダイアルを創り上げた。機構も秀逸。工芸技術と時計技術の幸福なマリアージュである。(髙木)
●エナメルやエングレービングなど、手工芸の極致が凝縮され、どんな細部も見逃せない。昨年急逝されたエナメル芸術家ドミニク・バロン氏を称えて。(菅原)
●最高の技術を投入して完成された、詩情溢れる世界が文字盤に展開される。リピーターの機能とオートマタ、装飾技法が渾然一体となって、ひとつの世界が構築された点を評価する。(名畑)



シンプルトゥールビヨンの良作

2位 42point / 3persons

ヴァン クリーフ&アーペル / ポン デ ザムルー

Photo:「ポン デ ザムルー」。 手巻き。18KWG。1050万円。 問ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク ■0570-00-8202

●単なるギミックではなく、橋の上のいじらしい男性と高飛車な女性という対比も面白い。(篠田)
●すでに買えないけど敢えてチョイス。古典的なコントルジューヌ・エナメルが生み出す微妙なトーンで表現された夜の街は、ロマンティックな機構と相まって、見た瞬間に圧倒され、惹き込まれた。時計史に残る名作。(髙木)


シンプルトゥールビヨンの良作

3位 41poin / 3persons

ヴァシュロン・コンスタンタン / メティエ・ダール‐ユニヴェール・アンフィニ

Photo:「メティエ・ダール-ユニヴェール・アンフィニ ポワソン ウォッチ」。自動巻き。18KWG。日本未入荷。問ヴァシュロン・コンスタンタン ☎03-3288-6597

●恒例のコレクションで、2012年はエッシャーのだまし絵がモチーフ。3作が発表された中、鮮やかなブルーが目を惹いたポワソン(魚)を選んだ。魚のうろこ模様はギョーシェで象り、さらにクロワゾネで色分けして、エッシャーの世界観を緻密に表現している。(髙木)


シンプルトゥールビヨンの良作

4位 30point / 2persons

カルティエ / ロトンド ドゥ カルティエ 42mm ベア モチーフ

Photo:「ロトンド ドゥ カルティエ 42mm ベア モチーフ」。手巻き。18KWG。930万9300円。問カルティエ カスタマー サービスセンター ■0120-301-757

●シンプルだが実に手の込んだ時計。エナメル技法の一種であるプリック・ア・ジュールは、割れやすい反面、高い透明度を得られる。これを採用した現行唯一の時計。文字盤の歩留まりは相当悪そうだが、その透明感は群を抜いている。(広田)


シンプルトゥールビヨンの良作

5位 26point / 3persons

ショパール / L.U.C XP 漆

Photo:「L.U.C XP 朱雀(鳳凰)」。自動巻き。18KRG。問ショパール ジャパン プレス ☎03-5524-8922

●漆芸は、英語でJAPAN。日本が誇る高蒔絵の技法とスイスの時計とがコラボレーション。漆を塗り重ね、凹凸を表した上に金や銀などを蒔絵した豊かな立体感は、漆のイメージを、そしてダイアルの印象を一変させた。(髙木)