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ジラール・ペルゴ/ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフ(1/1) 2016年01月号(No.62)

GIRARD-PERREGAUX
1966 Column-Wheel Chronograph

ジラール・ペルゴは2013年、
1966コレクションにコラムホイールクロノグラフを加えた。
そのレトロで個性的な外観は、
アルファ ロメオが1966年に製造を始めた
スパイダーのエッジの利いた丸いボンネットを彷彿とさせる。
クロノスドイツ版編集部がコラムホイール クロノグラフの真髄に迫る。

ユリア・クナウト:文
Text by Julia Knaut
OK-PHOTOGRAPHY: 写真
Photographs by OK-PHOTOGRAPHY
岡本美枝: 翻訳
Translation by Yoshie Okamoto

point

・個性的なデザイン
・美しく装飾された自社製ムーブメント
・快適な装着感

point

・精度がやや劣る
・制限のある視認性
・バックルが簡単に開いてしまう

美麗なシルエット。
成形加工のプッシュボタンと「GP」のロゴを
エングレーブした薄いリュウズが
フラットなケース側面を魅力的に演出する。

 

 

歴史は電光石火のごとく

1966年。それは、ビートルズが最後のライブ公演を行い、ベトナム戦争が本格化し、宇宙探査機が人類史上初の月面写真を地球に送り、FIFAワールドカップでイングランドが初めて優勝した年である。さまざまな分野の主要な出来事が1966年に集約されていたと言っても過言ではないが、「スウィンギング・シックスティーズ」と形容される1960年代は、政治的・文化的に劇的な変化があっただけではなく、モータースポーツでも熱い局面を迎えた時代である。それを象徴するかのように、アルファ ロメオは1966年にスパイダーを発表する。自動車の歴史でほぼその姿を変えず、最も長い間作られ続けたカブリオレのひとつである。

 ジラール・ペルゴも1966年、激動の時代に合わせるかのように、毎時3万6000振動のハイビート機を初めて発表、それから約30年経った1994年には、多事多端な年だった1966年を冠した時計コレクションをリリースする。そして2013年、完全自社製のコラムホイール クロノグラフがここに加わり、ジラール・ペルゴ 1966コレクションがさらに充実した。
 モダンなクロノグラフを搭載した新作だが、そのエレガントなボディは過去へのオマージュを感じさせるレトロな仕上がりとなっている。コラムホイールクロノグラフの上品な18Kピンクゴールド製ケースは、1966年に発表されたアルファ ロメオのスパイダーのように、エッジの利いたラインと丸みを帯びたフォルムが融合されており、ラグが先端に向かってスリムになっているケースや、ファセットが施されたクサビ型インデックス、自動車のメーターを彷彿とさせるタキメータースケールとサブダイアル、そして、先端を切り落としたかのように見える針やスクエア型のデイト表示など、各要素のデザイン的なコントラストは明瞭である。さらに詳細に観察してみると、小ぶりで薄いリュウズや、別のカラーではっきりと区別されたタキメータースケール、高低差のある文字盤表面、また、クロノグラフ秒針に付けられた長いカウンターウェイトなど、洗練されたさまざまなディテールを発見することができる。
 加工品質はどうだろうか。シンプルなケースは、いささかの疑念も生じさせない素晴らしい仕上がりである。ポリッシュ仕上げは申し分なく、スリムでシンプルなデザインのプッシュボタンはリュウズ同様、ケースへの座りに遊びがなく、しっかりと取り付けられている。
 だが、熱狂的なレースの最中に、このジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフでお気に入りのマシンの走行時間を計時し、計測時間を素早く読み取ろうとすると、いくつか問題があることに気づく。明るいトーンの文字盤と、ポリッシュ仕上げされた18Kピンクゴールド製の針とインデックスにはあまりコントラストがないことから、判読がやや困難なのである。特に読みづらいのは細いクロノグラフ秒針で、タキメータースケールとサブダイアルに配された数字も非常に小さい。また、日付ディスクが文字盤から奥まった位置にあるため、光の当たり方によってはデイト表示の枠が日付ディスクの上に影を落としてしまう。そのため、大事なレースを観戦する際は、予備としてもうひとつ計測器を持って行った方が賢明かもしれない。
 また、このレトロなクロノグラフは、操作自体にも集中力が必要だ。クロノグラフボタンは力を込めてしっかりと押さなければならないからである。それとは異なり、遊びなく取り付けられた薄型のリュウズは驚くほど扱いが快適である。リュウズは、深い刻み目の恩恵により、つかみやすく、指の爪で簡単に引き出すことができる。特にユーザーフレンドリーなのは、リュウズの第1ポジションで行う日付の早送り調整である。
 半へり返しで仕立てられたダークブラウンのアリゲーター・ストラップも装着感が素晴らしい。作りは極めてクリーンで、斑の入り方も繊細だ。手放しで称賛し難いのは18Kピンクゴールド製のフォールディングバックルである。バックルを構成するパーツがあまりにも繊細なため、急いで時計を着用したい時には曲がらないか、少しはらはらする。バックルは作りが薄いだけでなく、簡単に開いてしまうため、モーターレースが佳境に入り、熱狂のあまり席に座っていられなくなった場合でも、立ち上がって激しく拍手喝采するのは意図的に控えた方がよいだろう。少なくとも、テストウォッチに関してはこの点がマイナスポイントとなった。

ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフのバックルは、美しいが信頼性はいまひとつ。テストウォッチでは、不本意ながらもバックルが簡単に開いてしまった。

 とはいえ、ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフは、18Kピンクゴールドのモデルにしては重量89gと非常に軽く、一体型のクロノグラフ機構によって厚みも抑えられていることから、装着感は極めて快適である。さらに、角のない丸みを帯びたケースバック、薄くフレキシブルなアリゲーター・ストラップ、そして、人間工学に基づいて設計されたバックルを備えていることから、手首へのなじみも心地よい。
 サファイアクリスタルのトランスパレントバックを通して見える、美しく装飾された自社製キャリバーGP038000は圧巻で、視認性と操作性のマイナスポイントを十分、カバーしてくれる。ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフは水平クラッチとスマートなブリッジを備え、ストップ/リセットボタンを操作すると機構のどの部分で何が起こるかを正確に観察することができる。
 ジラール・ペルゴは、ブランド初の完全自社開発のクロノグラフムーブメントを、2013年からラ・ショー・ド・フォンの工房で製造している。それ以前は、ベースムーブメントGP3300に載せるためのクロノグラフモジュールをモジュールメーカーのデュボア・デプラから購入していた。クロノグラフ機構がムーブメントと一体型になったことで、ムーブメントの厚さがわずか5・4㎜になったのは喜ばしい。このムーブメントが優れているのは技術の面だけではなく、さまざまな模様彫りが施され、面取りされたエッジや青焼きネジなど、デザイン的にもいくつもの見どころを提供している。

キャリバーGP03800は、
ジラール・ペルゴ初の完全自社開発の
クロノグラフムーブメントである。

コラムホイール、水平クラッチ、繊細な模様彫り。このマニュファクチュールキャリバーは、ムーブメントの審美性を求める愛好家の要望にすべて応えてくれる。

 次に精度を見てみよう。ジラール・ペルゴ 1966コラムホイールクロノグラフは、ウィッチ製歩度測定器で行ったテストでまずまずの結果を見せてくれた。13秒という最大姿勢差では中の下といった評価だが、平均日差がプラス0.7秒/日だったことで、ポイントをひとつ上げることができた。
 ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフを手にすれば、独自のデザイン、快適な装着感、そして、高品質に仕上げられたケースやストラップを備えた自社製クロノグラフを楽しむことができるだろう。また、水平クラッチや美しく装飾されたムーブメントのパーツなど、見どころも多い。ただ、418万円という価格はあまりにも高額である。だが、モータースポーツをこよなく愛する時計愛好家で、価格を気にせずに購入できる幸運を享受することが許されているならば、ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフと時を共にすることで、手に汗握るロードレースとオールドタイマーのアイコンに彩られた「スウィンギング・シックスティーズ」の夢を間違いなく見ることができるだろう。

これは「ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフ」発表の前年である2012年にリリースされた「ジラール・ペルゴ 1966 クロノグラフ 42MM」。自社製基幹キャリバー3300にデュボア・デプラ製のクロノグラフモジュールを搭載したモデル。自動巻き(Cal.GP3300-0057)。57石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。18KPG(直径42mm)。3気圧防水。270万円。

技術仕様

ジラール・ペルゴ/ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフ

製造者: ジラール・ペルゴ
Ref.: 49529-52-131-BABA
機能: 時、分、スモールセコンド(ストップセコンド仕様)、30分積算計を備えたクロノグラフ、日付
ムーブメント: 自社製キャリバーGP03800-0001、手巻き、2万8800振動/時、31石、日付早送り調整機能、調整用偏心錘を備えたフリースプラング、耐震軸受け(キフ使用)、コラムホイール、水平クラッチ、パワーリザーブ約56時間、直径26mm、厚さ5.4mm
ケース: 18Kピンクゴールド製、サファイアクリスタル製ドーム型風防(片面無反射コーティング)、押し込み式サファイアクリスタル製トランスパレントバック、3気圧防水
ストラップとバックル: アリゲーター・ストラップ(半へり返し仕立て)、18Kピンクゴールド製フォールディングバックル
サイズ: 直径40mm、厚さ11.25mm、重量89g
バリエーション:
価格: 418万円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 (T24の日差 秒/日、振り角)

  平常時 クロノグラフ作動時
文字盤上 +5 +4
文字盤下 +7 +3
3時上 -6 -7
3時下 +3 -4
3時左 -2 -9
3時右 -3 -1
最大姿勢差: 13 13
平均日差: +0.7 -2.3
平均振り角:    
水平姿勢 322° 294°
垂直姿勢 289° 259°


評価

ストラップとバックル(最大10pt.) 7pt.
操作性(5pt.) 4pt.
ケース(10pt.) 8pt.
デザイン(15pt.) 13pt.
視認性(5pt.) 3pt.
装着性(10pt.) 9pt.
ムーブメント(20pt.) 17pt.
精度安定性(10pt.) 7pt.
コストパフォーマンス(15pt.) 11pt.
合計 79pt.

>>ジラール・ペルゴのモデル一覧はこちら

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