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【86点】ヴァシュロン・コンスタンタン/パトリモニー・トラディショナル・14デイズ・トゥールビヨン(1/4) 2015年05月号(No.58)

VACHERON CONSTANTIN Patrimony Traditionnelle Tourbillon 14 Days

文字盤に開いた穴からテンプの回転を目で追えるという、視覚的な分かりやすさを備えたトゥールビヨン。
そのエレガントな姿に、かつてない強力なパワーが導入された。
時計技法の粋を集めた細密世界に、しばし想像の翼を広げて酔いしれてみよう。

イェンス・コッホ: 文 Text by Jens Koch
OK-PHOTOGRAPHY: 写真 Photographs by OK-PHOTOGRAPHY
市川章子: 翻訳 Translation by Akiko Ichikawa

 
point
・クラシックかつ時代の流れで色あせないデザイン
・カルト性のある独特なデザイン
・非常に長めのパワーリザーブ 

魅惑の細密ワールドへようこそ

計の世界では、仕上げに華麗な技法が数多く見受けられる。なかでも息を飲む情景に遭遇するのは、ムーブメントに施された面取りだろう。その佇まいたるや、まるでノミがショーを行う舞台のごとき細やかさ。そしてその奥は、壮麗な調度品や絵画などを設えた広間が連なる、豪華絢爛なミニチュア宮殿かのようだ。

ヴァシュロン・コンスタンタンのトラディショナル・14デイズ・トゥールビヨンは、まさにそういった趣を備えている。その微細な世界に引き込まれると、己が身も小さくなって、コート・ド・ジュネーブが施されたブリッジの上をゆっくり散策してみたくなるだろう。極小の身の丈では、鏡面に磨かれたネジ頭や、金文字で彫り込まれたエングレービングも、間近に見ると驚くに違いない。かの誉れ高きジュネーブ・シールのそばでは、しばし感慨にふけることだろう。ブリッジの端まで歩くと、手仕上げで面取りされたエッジに足を滑らせたり、サンバーストに装飾された香箱の上をぶらついてみたりもするかもしれない。手で丸みを付けたトゥールビヨンブリッジの上を、丸太の橋の上のようにバランスを取りながら歩いて、回転木馬のように回る様を眺めつつ、キャリッジのマルタ十字の上をぴょんと飛び越える気分たるや、いかばかりか。その下の心臓部にあるチラネジ付きテンワをのぞき込む時、刻音はきっと相当な音量のはずだ。差してあるオイルの匂いも漂ってくるかもしれない。ワンミニッツトゥールビヨン周辺の冒険を堪能したら、次はシルバーに輝く文字盤の上によじ登ってみるのも一興だ。レイルウェイトラックに沿って歩き、面取りされたアプライドインデックスを倒木に見立てて越え、金のドーフィンハンドが通る時は身をかがめて北を目指す。12時位置までたどり着いたらようやくゴールだ。対岸の南側のトラックから聞こえるであろう歓声を意識して目をやったりしても、残念ながら観客は誰もいないが、はるか遠くを見つめて、ようやく時分針が若干オフセンターに据えられていることに気づかされるだろう。
その後は、文字盤の下に入り、ペルラージュで飾られた大きなブリッジの上を歩き、パワーリザーブインジケーターのスネイルの所でくつろぐのはどうだろう。のんびりと疲れを癒すうちに、我知らず時は流れ、パワーリザーブ針が追い立てるように終点を知らせ、14日も経ったのかと気づくことになるのかもしれない。

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