
ベースキャリバーETA2824-2に比べて緩急調整システムが改良されているのが分かる。
我々編集部が知りたかったのは、果たしてラグジュアリー オートマティックは、実際に長距離ランナーなのかということと、その場合、歩度の様子がどのようになるかということだった。テスト開始から24時間経過しても正確な時を刻んでいたが、48時間後には10秒の進みが見られた。72時間後には、進みは20秒に及んでいた。測定が進行するにつれ、テスト機の心拍数はさらに上がっていく。78時間後になると、進みは30秒になっていた。急速に進んでいった原因はテンプだろう。改良にあたり、香箱からのエネルギー流入のロスが減少した関係で、テンワのスピードが上がりやすいようだ。最終的に、テスト開始から79時間34分経過後、テンワの動きは停止。テスト機では少々早く息切れしてしまったが、パワーリザーブ約80時間と謳われている時計で、この程度の目減りは許容範囲内だろう。週末に腕から外して置いていたとしても、月曜日の朝に針合わせをする必要はないので、少なくともその間はエネルギー切れの心配をせず放っておける。
まとめると、ラグジュアリー オートマティックはロングパワーリザーブの最高峰とまではいかないが、その価格においてはほとんど天下無敵と言える。機械式で新開発のキャリバーを載せ、かつロングパワーリザーブの腕時計として、8万5050円(SSケースとブレスレット)は超がつくほどお買い得だ。さらに、2万5200円(同じSSケースとブレスレットの場合)上乗せすれば、C.O.S.C.認定クロノメーターバージョンもある。その上、金属素材や文字盤の色違いのものもあり、バリエーションは合計10種類。シンプルでエレガント、そして、扱いがややこしくない日常使いの時計を探すなら、ラグジュアリー オートマティックは飛びつきたくなる逸品に違いないだろう。
技術仕様
ティソ/ラグジュアリー オートマティック
| 製造者: | ティソ |
| Ref.: | T086.407.11.031.00 |
| 機能: | 時、分、秒(ストップセコンド仕様)、日付表示 |
| ムーブメント: | ETA C07.111(ベースキャリバー:ETA2824-2)、自動巻き、2万1600振動/時、23石、穏急調整用偏心スクリュー付きテンワ、耐震軸受け(KIF使用)、パワーリザーブ約80時間、直径26㎜、厚さ4.6㎜ |
| ケース: | ステンレススティール製、両面無反射加工のサファイアクリスタル風防、トランスパレントバック(ミネラルガラス使用)、5気圧防水 |
| ブレスレットとバックル: | ステンレススティール製ブレスレットおよびダブルフォールディングバックル |
| サイズ: | 直径41㎜、厚さ9.8㎜、重量155g |
| バリエーション: | 他金属仕様および文字盤色各種あり、C.O.S.C.認定クロノメーター仕様モデルあり |
| 価格: | 8万5050円 |
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。
精度安定試験 (T24の日差 秒/日、振り角)
| 平常時 | ||
| 文字盤上 | -4 | |
| 文字盤下 | +5 | |
| 3時上 | 0 | |
| 3時下 | +1 | |
| 3時左 | +3 | |
| 3時右 | -3 | |
| 最大姿勢差: | 9 | |
| 平均日差: | +0.3 | |
| 平均振り角: | ||
| 水平姿勢 | 281° | |
| 垂直姿勢 | 279° |
評価
| ストラップとバックル(最大10pt.) | 7pt. |
| 操作性(5pt.) | 4pt. |
| ケース(10pt.) | 7pt. |
| デザイン(15pt.) | 10pt. |
| 視認性(5pt.) | 4pt. |
| 装着性(10pt.) | 7pt. |
| ムーブメント(20pt.) | 14pt. |
| 精度安定性(10pt.) | 7pt. |
| コストパフォーマンス(15pt.) | 14pt. |
| 合計 | 74pt. |
