【82点】ゼニス/キャプテン グランデイト ムーンフェイズ

FEATUREスペックテスト
2011.07.29

ZENITH CAPTAIN GRANDE DATE MOONPHASE

1905年に初めて懐中時計用にムーンフェイズ搭載ムーブメントを製作したゼニス。その歴史を遺産として、「キャプテン」から古典的な意匠を持つムーンフェイズをリリースした。キャプテン グランデイト ムーンフェイズなどのモデルによって、ゼニスの星が再びドレスウォッチの高みに輝く。

アレクサンダー・クルプ:文 Text by Alexander Krupp
ニック・シェルツェル:写真 Photographs by Nik Schölzel
岡本美枝:翻訳 Translation by Yoshie Okamoto

point
・文字盤からストラップまで、すべてがエレガント
・快適な装着感
・使い勝手の良い日付修正機能

point
・完璧さに欠ける視認性
・バックルが簡素

「天頂」の輝きをふたたび

ニュファクチュールキャリバーを搭載したドレスウォッチで、しかも1年分の収入を使い果たさなくても手に入る時計を探している時計愛好家は、ゼニスにとって大切な顧客である。最新作のキャプテン グランデイト ムーンフェイズなら、ステンレススティールモデルが55万6500円で手に入る。ローズゴールドモデルが欲しければ、ステンレススティールモデルにプラスすること68万2500円で入手できる。

では、時計愛好家は支払った金額に対して何を得られるのか、検証してみよう。まず、調和の取れたデザインの、どこから見てもエレガントなタイムピースを手に入れることができる。パーティーシーンからデイリーユースまで、どのような場面にもふさわしい時計である。デイリーユースと言っても、もちろんオフィスでの使用が前提だ。工事現場や工場といった場所では、アリゲーターストラップを備えたムーンフェイズウォッチはまったく場違いだからである。

このニューカマーは、素晴らしいデザインであると同時に、モデルネームであるキャプテン グランデイト ムーンフェイズに謳われているように、ふたつの付加機能を備えている。ビッグデイト表示は誰にとっても有用な表示機能である。キャプテン グランデイト ムーンフェイズでは、1の位と10の位用の数字ディスクを別にすることで、1枚のデイトディスクで表示する場合よりも31までの数字を拡大することができた。ゼニスが採用したビッグデイト表示では、日付ディスクが扇状に重なり合うのではなく、1の位用ディスクの内側に10の位用ディスクを同軸で重ねることで、両ディスクが同じ高さになるように設計されている。今回の薄型ドレスウォッチでは、ゼニスが自社開発した同軸3枚ディスクのビッグデイト表示機構は採用されていない。同軸3枚ディスクのほうが数字をより大きく表示できるが、スペースにさらに厚みが必要になる。同軸3枚ディスクの場合は、1の位を表示するだけでも上下に重ねられた2枚のディスクが使用されているため(上部のディスクは切り込み入り)、ゆとりをもって数字を表示できるのだ。

日付早送り調整機能は非常に使いやすく設計されており、リュウズを1段目のポジションに引き出して回すと、どちらの方向に回してもビッグデイト表示が1日先にジャンプする。日付を数日前に戻したい場合は、逆戻しはできないが、リュウズに指をかけたまま前後に回して効率よく進めることができる。日付ディスクが完全に切り替わるまでには、通常使用時で約20分かかる。テストウォッチでは23時57分から0時17分までかかった。瞬時には切り替わらないが、約1時間半もかかる一般的なETA製ムーブメントに比べれば、切り替わり時間は格段に短い。